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もと神さま、新世界で気ままに2ndライフを満喫する  作者: 可燃物


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神さま、悩む。

 間違ってもそう言う事が起こらないように、と保護者が同伴するのは分かる。

 夢魔と戦闘になった時のために、戦力を揃えておくのは大事だしね。


 だからカノン・地の精霊(テルモ)・アルベルトが娼館‘’スファンクス‘’に一緒に行くのは理解出来る。

 納得もする。



 大所帯で押しかけて、迷惑にならないと良いなぁ。

 手土産の一つくらい持っていくべきかなぁ。

 もし持って行くなら何が良いかなぁ、位は思うけど。


 お菓子は具合が悪い人が居るのに持って行ったら、食べられない人が出てしまい不公平になる。


 夜のお店で必ず使う消え物、となれば避妊具になる。

 だがそれは性病予防の為に、無料で(オルトゥス)からの名義で提供している。


 申請すればタダで貰える物だ。

 お土産にはならないだろう。


 衣服は好みもあるし、流行とか全然分からないから却下。


 装飾品も、好みや似合う色が人それぞれだからね。

 争奪戦が始まったらいけないし、ダメだね。



 ……プラスして、夜職の人となると、いわゆるモテる体型の人が多いんでしょ。

 そうなると、特にサイズが分からない。


 だって女性って、実際のサイズと申告する数値が違う事が多いじゃない。

 年齢と言いウエストサイズと言い、サバ読むのが趣味なの!?


 だから女性の肉体の大きさって、俺の中ではブラックボックスにも等しいんだよね。



 あぁ、あの人と見た感じのサイズ似てるし、この位の腹囲なのかな?

 と思って口にするじゃない。


 そうすると、大抵鉄拳制裁が飛んでくる。

 もしくは罵詈雑言。


 最っ低!

 デリカシーがない!!


 と皆似たり寄ったりの悪口を告げてくる。


 女心を傷付ける、無神経な数字を言ってしまった俺が全面的に悪い。

 だって小さめのサイズを言っても、それらの行動は見られないもの。



 んで、貧富の差が激しいせいで、この世界で所謂おモテになるのは、肉付きの良い人だ。


 出るトコ出てて、締まる所はキュッとしているのが最も魅力的なのは、地球の大衆傾向と変わらない。


 ただ次点で細身の体型が好まれる傾向にあったのに対して、コチラの世界ではふくよかな人が好ましく思われる。


 贅肉は裕福の象徴だからね。


 そうなると、娼館で働く人達は、軽肥満から肥満体型の人が多い事になるだろう。


 施設では食事も運動も徹底的に管理されていたので、標準体型から細身の人しか居なかった。

 なのでそう言う人達のサイズが、皆目見当もつかない。


 なので、服にしてもアクセサリーにしても、大きさが分からないんだよね。

 ショールやストールみたいな、あまりサイズ感の関係ない服装品でも、肩から掛けた時の布の垂れ具合で見栄えって変わるじゃない。


 ブレスレットとかネックレスだって、想定しているよりも大きな人だと、付けられないことも、あるかもそれない。


 そう考えると、難しい。



 プレゼント選びを難しくはさせるけれど、この世界の流行が肉付きの良い人だ、と聞いた時には嬉しかったよ。

 抱いた時に骨が刺さるよりも、ふわふわ柔らかい方が良いと、俺も思う。


 硬いのは男だけで十分だもの。

 

 何より、肉が付いていた方が、性別関係なく健康的じゃない。



 女の人は細いと心配になるから、BMI値二〇以下になるのは禁止すれば良いと思うんだよね。


 BMI値ってあくまで体重と身長で算出されるから、見た目が細くても筋肉量が多いとBMI値って高くなるからね。

 それだけを指標にしちゃダメだけど。


 俺も見た目は細身ではあるけれど、筋肉量が多いから、BMI値こそ23を超えるが、体脂肪率は十五%ない。



 とは言え体脂肪率も、巨乳かどうかで変わるからなぁ。


 女性の場合は二五%はあるべきだと思うんだよね。

 欲を言うなら三〇%あって欲しい。

 軽肥満の方が長生きしやすく、病気になりにくいのだし。


 特に女性は月の物で貧血になりやすいじゃない。

 栄養をシッカリ摂って、健やかに過ごして欲しいよね。



 ……ソレを考えると、日持ちするような焼き菓子ならアリか。


 直ぐに食べなきゃいけないものがダメってだけの話だ。


 食事をする場所もある店だから、お酒を飲む接客もするのだろう。

 お酒とケーキの組み合わせは、気持ち悪くなりそうだもの。

 そういう意味でも、避けるべきだ。


 ブランデーケーキは美味しいのにね。

 別々になると、途端に吐き気を催すのは何故なのだろう。



 花なんかは店に飾ってあるだろうから要らないだろうし、着飾ることは大事だけれど、ブランド物が無い世の中なのだから、それなら自分の好みの服を着るのが一番だろうし。



 ……色々考えたが、現ナマが、一番なのでは?


 真理だろうけど、紙袋いっぱいに詰められた金額を「ハイ、どーぞ」なんて渡されたら、恐怖でしかないよね。

 地上げ屋さんと間違えられそう。


「山吹色のお菓子にございます」ってやるべきかな!?



 それなら働いているお姉さん達に向けてではなく、オーナーさんに向けた物を用意すれば良いか。

 税金として収める金額を減らすとか、そう言うの。


 流石にそれは越権行為になるな。

 ヌリアさんに怒られそうだから辞めておこう。



「……で、何でヌリアさんまで居るの?」


「この際だ。

 女性の視点でも接客に問題が無いか、視察しておくべきだろう」


 どうしても夜のお店は犯罪の温床になりやすい。


 世界で最も古くからある職業は、羊飼いか娼婦――神聖娼婦か、なんて言われている位に、娼婦と言う職業は需要が高い。

 「ヒトのみが行える高尚な文化的営為だ! 故に尊いのだ!」なんて擁護する人もいる位に。



 娼館で働くのは奴隷商から買われた奴隷であったり、直接娼館に売られた人だったり、在籍するに至る理由は様々なのだが、総じて支配人は金を持っている。


 安く買った商品を高値で売る、プロデュース力が必要だし、先見の明が無ければならない。

 そう言うのって、心に余裕が無いと自分の内側から出てこないからね。


 その為には自分にも設備にも、モチロン娼婦にも投資が必要だ。

 だから資金がある人にしか出来ない。



 利用者が多いから、その分一晩で動く金額は大きい。

 更に奴隷商なんてアウトローな横の繋がりがある人達が往来するのだ。


 そりゃ更なる儲けを求めて、違法スレスレな事をしたり、調子に乗って完全アウトな事をしたりするのは、まぁ、世界も時代も問わず同じなのだろう。



 ドラッグのような物がこの世界にもあるなら、(オルトゥス)に入ってくる前に阻止したい。


 売り掛けを支払わせるために、無理矢理客をソッチの道に引きずり込むような、タチの悪い商売をしているようなら、摘発しなくちゃならないしね。



 その為にも、娼館のオーナーさんとはキチンと顔を合わせておきたかったんだよね。

 多過ぎる保護者同伴なんて形になるとは思わなかったけど。



 夜鷹みたいな人達が、俺が丹精込めて綺麗に整備した路上で、隠れてコッソリそう言う仕事をする位なら、と思ってそう言う商売の出来る店も創ったけれど……どうなのかなぁ。


 今の所、住み分けはされているようで、昼職の人達からクレームは入っていないようだ。

 少なくとも、フリアンくんがまとめてくれた資料の中には、その手の記述は一切なかった。


 まだ大人しくしているだけなのか、オーナーが徹底してくれているからなのか……



「ヌリアさんから見て、娼婦の人達って、どう?」


「えぇと、どう、とは……?」


「変な先入観で悪いんだけど、日中は寝ている事が多い上、訴えが多いように、病気をしている人が多いから、見た目が不健康そうで関わりたくない、とか。

 性を売り物にしているのが穢らわしいから、同じ街に住みたくない、とか。

 そう言う意見は無いのかなって」


「ジューダス様は娼婦や男娼の方々に、否定的な意見を持っているのですか?」


「うぅん……正直、分からない。

 需要があるから商売として成り立っている以上、俺がとやかく言える問題では無いし。


 ただ、性を売り物にする以外に生きる道がないから、仕方がなく嫌々やっている人がいるのなら、この街では少なくとも、そんな事をする必要は無いんだよって言いたいのは、ある、かな」


「皆覚悟をした上で、働いているでしょう。

 少なくとも、そう言う話は聞きません。


 私も、ジューダス様に拾って頂けなければ、その道に入っていたでしょうから、なんとも……

 

 そもそも、そうでなければあの時息子と共に死んでましたしね」



 あっけらかんと笑って言うが、まぁ、そうね。


 ヌリアさんを含めた、(オルトゥス)の第一移住者の大半は、アルベルトがリーダーを務めていたパーティ(ディヴィティアエ)に村を襲われている。

 そしてその時、フリアンくんは死にかけて――イヤ、ぶっちゃけ、あの時一度フリアンくんは死んでいる。

 自覚こそなかったが、アルベルトと同様、俺が「スキル」で生き返らせた。


 他の人達も蹂躙され、全滅寸前まで陥った。



 あの時、俺とカノンがあの場に居なかったら、皆この街で平和に暮らせては居ない。

 精霊の皆が魂の回収というお仕事で、大忙しになっていた事だろう。



 もしあの場から、ヌリアさんが自力で逃げ果せていたとしても、だ。

 ゴルカさんが町長を務めていた村にいたヌリアさんの夫――あの時はまだ婚姻関係にあったが、その時から浮気三昧のクソ野郎――が、突如転がり込んできた奥さんの面倒を見るとは、到底思えない。

 良くて追い返され、別の街で生きて行くために、自分を売り物にする日々に身をやつす事になっていただろう。


 自分はたまたま運が良かっただけ。

 そう考えると、マジメにそう言う店で働く人達に、とやかく言える立場には無い。


 そう言いたいのだろう。



「……それこそさ、ヌリアさんはガルバとの結婚は嫌じゃないの?

 街を代表する人同士で、って事なら、ゴルカさんでも良かったじゃない」


 ゴルカさんは奥さんに先立たれているので、今現在フリーである。


 年齢は、まぁ、ヌリアさんよりも一回り以上上になるが。

 結構歳の差がある結婚は珍しくない。



 街をあげてのお祭りにするために、(オルトゥス)の偉い人二人を結婚させようと言うのなら、街の代表者と秘書という組み合わせでも、良かったんじゃないだろうか。



 わざわざ、エロとグロとで十八禁指定されるような事をして来た加害者と、結婚をする必要無いじゃない。



 ヌリアさんに母性を求めているとか、好意を持っているとかではなく。


 俺が面倒を見た部分もあるかもしれないが、それ以上に俺が今、現在進行形で世話をして貰っている。


 (オルトゥス)の運営が主になるし、ソレは自分達の為でもあるからと言うけれど、事実俺は、助けられているのだから。


 それに俺は完全女尊男卑の人間だからね。

 ヌリアさんが断りきれずに勝手に話が進められていると言うのなら、ガルバを堀に沈めてでも、この結婚話を阻止するよ。


 ……それなら、やはり教会を建てるべきか。

 式の最中に掻っ攫う方が、いかにもソレっぽくて良いよね。



「前の夫も、褒められるような人ではありませんでしたから……

 女子供に対して態度を変えない、ジューダス様やカノン様のような紳士な方は、まれなのですよ。


 それに、フリアンがガルバさんに懐いているらしく、よくギルドに出入りしているのです。

 ギルド所属の三人の中から選ぶなら、あの子がサージさんやジャビルよりも、ガルバさんがいいって言ったので、ならガルバさんかな、と」


 あ、地味にサラッとジャビルだけ呼び捨てだ。

 流石に息子を含めた村人を解体しかけたヤツに敬称を付けるのはイヤなのね。



 ジャビルもアルベルトの元パーティメンバーの一人だ。

 生物全般を生きたまま腑分けするのが好きな嗜好の持ち主なのだが、今はその技術を活かして、魔物の解体専門家になっている。



 ヌリアさん達のトラウマになっていそうな人物なので、普段はなるべぬ顔を合わせずに済むように、街の外で仕事をさせている。

 そして住処は、街の出入口のすぐ近くにある、冒険者ギルドの上の階にある職員寮だ。



 接触はほぼ無いだろうと思うが、今の様子を見ると、仕事の関係で顔を合わせなければならない時はあるみたい。


 ジャビルの名前を言った途端、仄暗い胡乱とした目で遠くを見ていた。



 ヌリアさんが納得していて、フリアンくんも乗り気なら、俺が口出しする事じゃないか。



 ……でも、新たな疑問が生まれたな。

 フリアンくんは、どうして冒険者ギルドに出入りしているのだろう。


 聞いてる感じだと、書類のやり取りのお使いをする以外にも、個人的な時間を使って、わざわざガルバに会いに行っているみたいだ。



 はっ!

 フリアンくんがこの街の代表者ではなく、冒険者になりたいと言い出したらどうしよう!?


 イヤ、応援はするけどさぁ……

 もしホントにそうなら、別にゴルカさんの後任を早めに手配して育てなければ。



 俺が好き勝手に生きるためにも、(オルトゥス)を大事にしてくれて、俺のワガママも聞いてくれて、使いっ走りもしてくれるような人じゃなきゃダメだけど。


 居るか?

 そんな都合の良い人??

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