神さま、宣言する。
ご覧頂きありがとうございます。
プロローグというか、説明回になります。
宜しけば、引き続き次話もお読み頂けると幸いです。
ココだけの話。
「文明の発達や戦争によって、滅びかけた地球を救いたい」
そう思った連中の思考は、理解出来る。
「とりあえず環境汚染が酷いから、逃げ込むためのシェルターを作ろう」
そう考え汚染された外に出なくても良いように、一次産業から消費まで、全て行えるように完結させた、超大型施設を造ったのも、納得出来る。
たださ。
「地球を元通りにするための超能力を使える、神様みたいな存在を作っちゃおうぜ!」
……と、ぶっ飛んだ意見を出したのは、一体どこのどいつだ!?
探してとっちめてやりたい。
そう思ってしまう。
よくもまぁ、いい歳した大人が揃いも揃って、夢物語を形にしようとしたもんだ。
それで作られておいてなんだけどさ。
ハンドルの切り方、雑過ぎない?
石抱きして、気が済むまで説教させろ。
首謀者は色んな無関係な人間を巻き込んだ罰として、既にこの手で一度、地球で殺した。
更にこの世界に転生しても尚、罪を償うために磔刑のようなものに処されているから、もう、溜飲は下がっているよ。
だけどさ。
俺の恨みは、尾を引くよ。
きっと生まれた年はヘビ年だったに違いない。
さそり座だったら、カンペキだったね。
残念。
しし座でした。
よくもまぁ、穴だらけ、欠陥まみれの、妄想だけで終わらせそうな‘’地球再生計画‘’が、紆余曲折あったにしても、こうして形になったものだと、感心するよ。
この世界の神様に、感謝だね。
人工神様の俺がトチった尻拭いを全部してくれて、壊れかけた地球と、自分の世界を混ぜ合わせて、救ってくれた。
その上俺が‘’地球再生計画‘’に必要だからと殺した、かつての仲間の魂を拾い上げ、精霊という形で転生させてくれた。
イヤ、もう、マジで大感謝です。
弁明するつもりも、赦しを乞うつもりもなかった。
命令されて、それ以外の道が無かったとはいえ、最終的に実行を決断し手を下したのは、他ならぬ俺だもの。
そもそも、自分も死んだと思っていたし。
まさか新世界でこうして再び逢えるだなんて、そして直接赦免してくれるだなんて、思ってもみなかった。
実はちょっぴり、隠れて泣いた。
まだ十五歳の子供だもの。
見逃してくれ。
限られた資源の中で、少数精鋭しか生き残れなかった施設では、血縁関係というのは、余り重要視されていなかった。
子作りの相手は施設が決めるし。
当然そこに愛がある人なんて、殆ど居なかった。
子育ては専門家がするし。
血の繋がりがあっても、我が子を育てようとする人は稀だった。
そしてある程度の大きさまで育ったら、個室が与えられるし。
食事は食堂、風呂は共用。
半自立した生活を幼い頃からするのが、当然だった。
場合によっては、親でも蹴落として生き残ろうとするヤツだって、ごまんといたからね。
弱肉強食ってヤツだ。
だから、血縁上の繋がりでしかないし、殺した罪悪感以外には、特に何の感慨も湧かない相手ではあるのだけれど、地球で血縁上母親だったのが光の精霊に。
血縁上父親、かつ阿呆な計画立案者が闇の精霊に。
同じく阿呆な計画の片棒を担いだ伯父さんは時の精霊に。
血縁上の姉(?)が風の精霊に。
親友の兄が地の精霊、その妻が氷の精霊、妻の弟が水の精霊に。
また親友の弟が火の精霊へと、それぞれ生まれ変わっている。
氷の精霊に関しては、地の精霊の前世である夫への執着や、その夫を殺した俺への憎悪を抱いたまま死んで行った。
その為なのか、精霊とは真逆の立ち位置にいる、この新世界をぶっ壊そうとしている燼霊という存在になっていた。
なんやかんや色々あって、精霊サイドの力を増すために寝返らせたケドね。
その燼霊サイドには、俺の恋人、でいいのかなぁ。
あぁ、今となれば元恋人か。
殺されかけたし。
地球を壊そうとした魔王を倒して、世界を救った三英雄の一人として、この世界で華々しく語り継がれている、暁ってヤツなのだが。
どうやらソイツが、燼霊のトップに座してるらしい。
なんで「世界を破滅に導いてやるぜ!」と厨二病満載な感じに拗らせてしまっているのかは、分からない。
だが確かな事がある。
地球で犯した罪の、償いをしなければならない事。
せっかく死んだと思っていたのに、どうしてかは不明だが命を拾えたのだ。
その上犠牲になった人達から、直接赦しを貰えた。
だから自分の人生を取り戻す為にも、第二の人生を謳歌する事。
あとは辛い思いや痛い思いをして、更にこの世界の神様にも迷惑をかけて、様々な奇跡が重なって、漸く手に入れた新世界じゃない。
だから俺は、沢山の恩に報いる為にも、世界を平和にして、幸せに満ちたものにしたいと思っている。
だから思想を同じとする、精霊サイドについた。
ようは今は、敵対しているってことだね。
くんずほぐれつ、泥沼の愛憎劇に発展してしまうのだろうか。
あ〜、やだやだ。
精神体である燼霊は、霊力の満ちるコッチの世界に顕現し続けるのは、難しいようだけどね。
だから、今後もしかしたら、一生会わない可能性だってある。
そう思うと、少し寂しい気もするが……
ムダに争いなんてしたくないし、是非ともアッチ側の精神世界で、大人しくしていて欲しいものだね。
アッチとコッチの世界を繋ぐ、扉の門番代わりをしている闇の精霊にも出来れば会いたくないし、一生涯課せられたお仕事を頑張って頂きたい。
この世界で死んだ者の魂は、輪廻へと還り、また生まれ変わる。
そうやって巡っていくのが、理だ。
精霊の皆以外にも、生まれ変わった地球の知り合いを見かけたよ。
世界を救った三英雄と語り継がれている親友にも、いつか、逢えるだろうか。
暁と違って燼霊になっていないと、とっても嬉しいのだけど。
その時には、ちゃんと謝りたいな。
まぁ、アイツらは、この世界でチャッカリ夫婦になって、シッカリ子供までこさえたのだ。
恨み辛みの怨念を抱えて死んだ、なんて事は無いだろう。
いつか逢えると信じて、アイツらの子供であるカノンの世話になりながら、その日を待とう。
とりあえず今俺がすべきなのは、燼霊との戦いによって消耗して、深い眠りについてしまった火の精霊を叩き起しに行くこと。
あとは燼霊と同様、精神体である精霊の皆が活動しやすくなるように、入れ物である素体を作ること。
ついでに人間の生活を脅かす魔物を間引きしたり、人間の生活を向上させたりしながら、面白おかしく楽しく余生を生きられれば良いなと考えている。
地球では神様業務をするために、抑圧されて生きていたからね。
好き勝手生きて、第二の人生を謳歌してやるんだ〜。