表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/166

序章

※ こんにちは!はじめまして!

デビルハンターの世界へようこそ✨


これが私の初めての小説執筆です!

まだまだ未熟ですが、少しでも楽しんでいただけると嬉しいです!


今回のエピソードは序章ですが、本編ではもっと激しいバトルや

深まる謎が待っていますので、ぜひ最後までお付き合いください!

 真夜中の街は依然として灯火が絶えず、ネオンの光が湿った空気の中で幻想的な色彩を映し出していた。しかし、その華やかさの裏側には、無数の闇が潜んでいる。

 エンは廃墟と化したビルの屋上に立ち、静かに眼下の街を見下ろしていた。夜風に揺れる短い白髪、そして漆黒の闇に浮かぶ翠緑の瞳――その輝きは冷静でありながら、どこか人を寄せ付けない冷たい光を宿していた。

 彼にとって、夜の巡回はもはや日常の一部に過ぎない。この街の影に潜む魔界からの脅威を幾度となく追跡し、討伐してきた。


 数十年前、人間界と魔界をつなぐ“門”が開かれた。最初のうちは、それは科学者や政府の目には単なる異常現象としか映らなかった。空気中のエネルギー波動、奇妙な磁場変動――さらには自然災害の前兆とすら考えられていた。


 しかし、観測が進むにつれ、それが単なる異変ではないことが判明した。それは人界と異界を結ぶ通路――魔界の門だった。


 門が開かれると同時に、魔界の生物が徐々に人間の世界へと侵食を始めたのだった。

それらの存在は、人類にとって未知なる脅威だった。やがて個体数が増加するにつれ、人々の悪魔に対する認識は次第に複雑なものへと変わっていった。


 確かに、悪魔の多くは攻撃的であり、破壊的な魔力を持ち、襲撃や略奪を好み、ときには人の心すらも操る。彼らは人間社会にとって大きな脅威となり得る存在だった。


 だが、すべての悪魔が敵対的というわけではなかった。中には純粋な好奇心から人間界に興味を持ち、この世界を探求しようとする者もいた。敵意を持たず、むしろ人間社会に溶け込もうとし、さらには人間と協力し共存を望む悪魔さえいたのだ。


 こうした異界からの来訪者がもたらすリスクに対処するため、政府は速やかに情報を封鎖し、悪魔討伐組織の設立に着手した。そうして生まれたのが、悪魔を狩る者たち――デビルハンターである。


 エンもまた、その戦いを見届けてきた者の一人だった。

 彼にとって、悪魔との戦いは“任務”であり、そして――すでに“日常”となっていた。

 そよ風が吹き抜ける中、背後から聞き慣れた足音が近づいてきた。


 エンが振り返ると、カルマが大股でこちらへ向かってくるのが見えた。

 闇夜に映える燃えるような赤髪。その先端にかかる緑の輝きは、街の灯りを受けて一層際立っていた。彼女の表情にはどこか余裕のある自信が滲んでおり、この闇に包まれた世界を少しも恐れていないようだった。


「で、今日のターゲットは?」

 気怠げな声で問いながらも、その瞳は興味を隠そうとしない。


「市街地の廃墟。正確な位置はまだ特定できていないが、付近で行方不明者が出ているらしい。黒燈会こくとうかいと関係がある可能性が高い。」

 炎は淡々と答え、遠くに広がる暗い建物群を指さした。


 カルマは片眉を上げ、手袋を引っ張ると、軽く指を動かしてウォーミングアップを始めた。

「また黒燈会か……今夜は退屈しなさそうね。」


 そう言って口元に笑みを浮かべると、わずかに身を乗り出し、挑発的な視線を炎に向ける。

「どう? 先に様子見してこようか?」


 エンは彼女を一瞥し、淡々と返した。

「好きにしろ。ただし、騒ぎは起こすなよ。」


 カルマは肩をすくめると、軽く跳躍した。その瞬間、腰から背中にかけて暗色の悪魔の翼が静かに広がる。


 翅をひと打ちすると、微かな風が舞い、彼女の身体は音もなく闇の中へと滑るように降下していった。夜の帳に紛れるその姿は、まるで幽霊のように軽やかで、ほとんど気配すら感じさせない。

 この翼こそが、彼女が異界の存在である証――普段は隠すこともできるが、必要な時にはその魔の力を惜しげもなく解放する。


 エンは小さく息を吐き、別のルートから静かに降下し、建物の内部へと歩みを進める。

二人は左右に分かれ、沈黙の影となって目標へと忍び寄る。闇に溶け込む二つの姿――一切の音も発さずに。


 建物の内部へと滑り込んだ瞬間、四方の空気は闇に呑まれ、深い静寂が支配していた。ただ、砕けた窓から差し込む微かな月光だけが、かろうじてその場の輪郭を浮かび上がらせていた。

 カルマの瞳が暗闇の中で鋭く光る。腰から背にかけて伸びる悪魔の翼は、いつでも展開できるよう待機していた。彼女は気配を殺しながら前へと進み、その姿はまるで夜そのものと一体化しているかのようだった。


 エンもまた、静かにその背を追いながら、周囲の環境を冷静に観察する。

建物の奥から、低く押し殺した囁き声が漏れ聞こえてくる。


 沈んだ声色に、焦燥を滲ませた早口。

 エンとカルマは一瞬視線を交わし、迷いなく静かに接近する。崩れかけたコンクリートの柱の影に身を潜め、慎重に声の主を窺った。

 ――数名の黒燈会こくとうかいの構成員が、古びたテーブルを囲んでいる。

 テーブルの上には、破れたルーン文字の書と羊皮紙が乱雑に広げられていた。

 一人が低い声で呟く。


 「前回の指示によれば、力の源の所在はすでに特定済みだ。儀式さえ完遂すれば、解放は成功するはずだ。」

 もう一人の男が、狂気じみた光を瞳に宿し、続ける。


 「この力はあまりにも長く眠りすぎた……人間界の再生には、これが必要なのだ。そして俺たちこそが、新たな世界の支配者となる。」


 エンの目がわずかに細められ、眉間に微かな皺が寄る。

 一方のカルマは、ただ小さく片眉を上げ、唇の端を吊り上げた。その表情には、軽蔑と嘲笑の色が滲んでいる。彼女は何も言わない――だが、その沈黙こそが、相手の計画を些かも恐れていないことを如実に物語っていた。


 黒燈会の構成員たちの会話が熱を帯び、言葉の端々が興奮と狂信に染まる。

 それを聞きながら、炎とカルマはすでに全貌を把握しつつあった。

 ――彼らは今夜、強大な儀式を行うつもりなのだ。

 異界の力を召喚し、さらなる悪魔を操るために。


カルマは無言のまま悪魔の翼を広げ、エンに向けて小さく頷く。――準備は整った。

 エンもまた、それに応えるように鋭い眼差しを向け、腰のホルスターに手を伸ばした。冷えた金属を握りしめる指先に、迷いはない。


 次の瞬間――

 カルマが影の中から一閃。手のひらに猛々しい炎が灯る。

 「――燃えろ。」

 炎を振り抜くと、それは鋭利な矢のように飛翔し、テーブルの上に散らばっていた符文と羊皮紙を瞬く間に呑み込んだ。暗闇に赤い閃光が弾け、業火が燃え広がる。

 「侵入者だ!」

 一人が叫ぶ。

 周囲の黒燈会こくとうかいの構成員たちは即座に武器を抜き、迎撃態勢を取った。


 その刹那――

 闇を裂く、一筋の青い閃光。

 エンの銃口がわずかに閃き、狙い澄ました弾丸が一直線に飛ぶ。銃声はわずかに遅れて響き、敵の肩を正確に貫いた。

 呻き声が上がる。

 エンは即座に身を翻し、物陰へと滑り込む。

 カルマが視線を交わし、彼の意図を察する。

 ――援護に回る、了解。


 彼女の翼が舞う。

 敵の刃が迫る中、カルマは滑るように身をかわし、華麗に空を舞った。彼女の動きに合わせるように、炎が影のごとく付き従い、敵へと降り注ぐ。


 エンの弾丸が確実に相手を追い詰め、カルマの焔がさらに包囲を崩す。

 炎と焔、影と闇――その戦場は混沌に染まる。

 燃え盛る火光が黒き建物を照らし、静寂を支配していた闇が混乱とともに蹂躙される。

 黒燈会の構成員たちは散り散りに逃げ惑う。だが、逃げ場はない。


 カルマは火の粉を撒き散らしながら疾走する。

 翼を巧みに操り、空間を縦横無尽に駆け抜ける。敵の攻撃を紙一重で避け、指先から放たれる炎が確実に標的を狙い撃つ。

 その瞳は獲物を前にした猛獣のように輝き、唇の端には嗜虐的な笑み。


 ――この戦場は、まるで遊び場だ。

一方、エンは冷静に標的を探し出し、確実に銃口を向けた。


 ――狙いは外さない。

 指が引き金にかかる。

 轟音とともに、弾丸が正確に要害を貫く。

 彼にとって、これは娯楽ではない。これは任務――ただそれだけだ。

 エンの眼差しは冷厳に研ぎ澄まされ、すべてが彼の掌の中にあるかのように見えた。


 火光と銃声が交錯する戦場の中、テーブルに残っていた符文と羊皮紙は完全に焼き尽くされ、儀式の道具は跡形もなく灰と化した。

 黒燈会こくとうかいの構成員たちは次第に陣形を崩され、隠れ場所も、優位性も失っていく。

 残された数名は明らかに動揺し、突然の襲撃に対応しきれず狼狽していた。


 ――その時。

 カルマの目の端に、一人の構成員の動きが映る。

 そいつは懐から、何かの符呪を取り出そうとしていた。

 カルマは瞬時に反応する。


 翼を広げ、一気に跳躍。

 宙を舞うように高く跳び上がると、鋭く俯衝し――

 「遅い。」

 符呪を握るその手を狙い、一撃の蹴りを叩き込んだ。

 符呪は宙を舞い、床に弾かれ転がる。

 蹴り飛ばされた構成員は、恐怖に目を見開きながらよろめき後ずさる。

 だが、カルマは迷わない。

 掌に再び灯る焔。


 ――迷いなく、投げ放つ。

 迸る火炎が敵を包み込み、抵抗の声すら焼き尽くした。

炎は静かに周囲を見渡し、敵が完全に制圧されたことを確認する。

 ゆっくりとテーブルへと歩み寄り、散らばった灰の中を探る。


 ――だが、何も残っていない。

 全ては焼き尽くされ、痕跡すら残されていなかった。

 炎の眉がわずかに寄る。


 この戦闘の結果に、彼は明らかに満足していなかった。

 カルマが悪魔の翼を収めながら前へ進む。

 倒れ伏した黒燈会こくとうかいの構成員たちを一瞥し、鼻で小さく笑った。

 「ふん……」

 嘲弄を滲ませた、軽い鼻息。

 そして、隣に立つ炎へと目を向け、片眉を上げる。


 「ちょうどいいタイミングだったわね。あいつらの茶番、見事にぶち壊してやったってわけ。」

 炎は冷ややかに頷く。

 その瞳には、未だに消えない疑念が渦巻いていた。


 ――今回の作戦で、たしかに黒燈会の儀式は阻止した。

 だが、すべてが終わったわけではない。

 やつらの野心は、こんなもので終わるはずがない。

 二人は無言のまま建物を後にする。


 崩れた瓦礫と焦げ跡を残したまま、その場を静かに去っていく。

 夜の街は変わらず輝いていた。

 ネオンが瞬き、喧騒が満ちるこの世界に、彼らの戦いの痕跡など何一つ刻まれはしない。

 だが、彼らは知っていた。

 ――次の戦いは、もう始まっている。


建物を離れた後も、夜の空気には湿った霧が漂い、街全体を覆う目に見えないヴェールのように揺らめいていた。

 カルマは気楽そうに前を歩く。


 先ほどの戦いの余韻など、まるで気にも留めていないようだった。

 両手を頭の後ろで組み、燃えるような長髪を肩に無造作に垂らしながら、唇にはどこか含みのある微笑を浮かべている。


 その後ろを、炎が無言でついていく。

 表情はいつも通り冷徹。


 だが、その内心はまださきほどの戦いの余韻を引きずっていた。

 黒燈会こくとうかいの動向――そして「力の源」の手掛かり。


 あの時、焼き払った符文と儀式の道具は、単なる氷山の一角にすぎないかもしれない。

 黒燈会の背後には、何かもっと深い企みがあるのではないか。


 炎の思考が巡る中――

 カルマがふと足を止め、振り返った。

 やや退屈そうな眼差しを向け、わずかに眉を寄せる。

 「ねえ、そんな渋い顔して、よく飽きないわね?」


 炎は挑発に乗らず、静かに答える。

 「今回の作戦は完全に成功したとは言えない。黒燈会の計画は、まだすべて明らかになったわけじゃない。」


 カルマは肩をすくめ、気のない笑みを浮かべる。

 「ま、好きにやらせておけばいいじゃない。私たちは任務を遂行するだけ。それ以上、あの狂信者どもの野望に付き合う義理はないでしょ?」

炎はわずかに顔をそらし、カルマを一瞥した。

 その瞳に、一瞬の疑念がよぎる。


 ――彼女の性格は、よく知っている。

 陰謀や計画など、彼女にとっては二の次。

 カルマが求めるのは、何よりも刺激だ。


 黒燈会こくとうかいの野望にも、大した興味はない。ただ、その過程で面白いものが見つかるかどうか――それだけが、彼女の関心事だった。

 「でもさ……」

 カルマが突然立ち止まり、炎に歩み寄る。

 そして、少し声を潜めて囁いた。

 「もしこの計画が本当に『力の源』に関係してるなら――ちょっとは興味あるかもね。その力で、本当に何かが変わるのかどうか。」


 炎は沈黙する。

 カルマの言葉を反芻しながら、思考を巡らせた。

 彼の胸の奥に、漠然とした違和感が広がっていく。


 ――これは、単なる黒燈会の儀式や陰謀にとどまらない。

 背後には、まだ見ぬ別の何かが潜んでいる気がした。


 「どうせ、またやつらと遭うことになるだろう。」

 炎がようやく口を開く。

 その声は揺るぎなく、確信に満ちていた。

 「次こそは、もっと核心に近づけるはずだ。」


 カルマは小さく微笑む。

 その表情には、炎の真剣な態度をどこか面白がるような色が滲んでいた。

 「勝手にすれば?」

 肩をすくめ、軽く笑う。

 「私はただ、楽しめればそれでいいのよ。あなたがどこまで追いかける気かは知らないけど。」

 その声音は、相変わらずの軽薄さを帯びていた。


 まるで、黒燈会の陰謀など眼中にないと言わんばかりに。

 ――彼女にとって、黒燈会など所詮、道端の障害に過ぎない。

 彼女の関心は、もっと別のところにある。

 ――父の行方。


炎は黙って彼女を見つめた。

 胸の奥に、一抹の疑念がよぎる。

 ――カルマは、決して隠さない。

 彼女の瞳に宿る、あからさまな軽蔑を。

 人間の陰謀や策略など、彼女にとっては取るに足らないもの。

 それらは彼女の目的とは何の関係もなく、ただの退屈しのぎにすぎない。

 彼女がこの世界に降り立ったのは、たった一つの理由――父の行方を追うためだ。

 それ以外のすべては、ただの気晴らし。


 狭い路地を抜けると、喧騒の中へと戻る。

 ネオンの灯りがまた視界に飛び込んできた。

 闇の中で繰り広げられた戦いとは対照的に、街は何事もなかったかのように、今日も騒がしく、無関心に輝いている。


 カルマの姿は、人混みに溶けるように徐々に遠ざかっていく。

 炎はその背中をじっと見送る。

 そこに芽生えた、言葉にできない何かを自覚しながら。

 ――今宵の戦いは、幕を閉じた。

 だが、これは終わりではない。


 黒燈会こくとうかいの陰謀、力の源の秘密、そして――カルマが抱える、漠然とした過去。

 それら全てが絡み合い、深い霧のように彼の前に立ちはだかる。

 答えを求めるならば、進むしかない。

※ ここまで読んでくれてありがとう!✨

これが私の初めての小説なので、ドキドキしながら投稿しました……!


まだまだ拙い部分もあるかもしれませんが、

これからもっとバトルシーンやキャラの掛け合いを楽しめるように頑張ります!


次回から、いよいよデビルハンターとしての戦いが本格化……!?

黒燈会の動きも見えてくるので、お楽しみに!


よろしければ、感想や応援コメントをもらえると嬉しいです!✨

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ