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山吹色の雲の中で

 僅かに聞こえてくる低いエンジン音をバックに、リィルアは窓の外を眺めていた。何かが見えるわけではない。ただ山吹色の雲が一方向に流れていくだけだ。しかしその無生物的な流れが、彼の退屈をある程度紛らわしていた。

 彼が今居るのは、とある大型の飛行船の中。普段彼の脚となっているジェインが居ないわけではない。この山吹色の雲は有毒で、ドラゴンも人も中を通過することができないのだ。

 積乱雲を何倍にも膨らましたような山吹色の雲は全方向への迂回を阻み、多くの往来を阻んでいた。そこで建造されたのが、今リィルアが乗っている飛行船である。近隣の国の高度な技術が用いられたこの飛行船は、乱れた気流の中でも安定して航行ができ、かつ有毒な雲を防ぐ気密性と、ドラゴンや各種航空機を格納できるドックも備えられていた。

 このような飛行船に乗る機会はまずない為、利用することに関しては即決だった。しかしいざ乗ってみると、変わらぬ景色の中で暇を持て余すことになったのだ。そこで壁際に用意されていた椅子に座り、ぼんやりとすごしていたのである。

 何を考えるでもなくただ外を眺めていると、徐にリィルアに人影が近づいた。

 リィルアが視線をあげると、そこには一人の男。風体から商人等ではなく旅人のようだた。眼鏡を掛けているからか、落ち着いていて理智的な雰囲気のある男だ。

「こんにちは」

 その男はリィルアに向けて手を挙げ、挨拶をする。

「どうも、こんにちは」

 リィルアは窓枠に頬杖をつく体勢を変え、姿勢を正した。

「ただ到着を待っているというのが退屈でして、適当にお話ができる方を探していました。よろしければ是非」

 断る理由はない。リィルアは前方にある、対面した向きで置かれている椅子を示した。

 眼鏡の旅人は一礼して、その椅子に座る。

「実はこの船に乗り込む時、貴方をお見掛けしていました。ドラゴン乗りですよね?」

「ええ、そうです」

「つかぬ質問ですが、ドラゴンの繰り方はどのように学ばれたんですか?」

 そう質問する眼鏡の旅人の様子は、如何にも雑談の取っ掛かりとなる質問をしたようだった。

 リィルアは少し返答の仕方に困り、考える。正直な経緯は雑談の種には重すぎて、もし話すと間違いなく話が終わってしまうのだ。

「……独学です。訳あって故郷を追われて、その時に偶々乗ったのがドラゴンでした」

 眼鏡の旅人は特に驚くことなく相槌を打った。この程度ならば、旅人の中でもありふれた生い立ちで、特別には受け取られない。

「なるほど……。この近辺は島も少なく長距離の連続飛行が必要です。それをこなす技術を独力で学んでいるのは凄い」

「……貴方はどこでドラゴンの扱いを?」

「故郷の伝統です」

 リィルアとは違い、男は淀みなく答えた。

「伝統?」

 強く興味を持っていたわけではなかったが、敢てリィルアは聞き返した。自分の生い立ちに話題が移る前に、相手の事へと話題を移すほうが良かったのだ。

 旅人は懐かしそうに眼を細め、語る。

「私の村は国にドラゴン乗りの騎士を献上する伝統を持ってい増した。男は皆幼い頃から村伝統のドラゴンの繰り方を学んでいたんです」

「伝統の繰り方……、あまり聞かないですね」

 そうでしょう、と言わんばかりに旅人は少し身を乗り出した。

「そうです。私も旅に出た当初は知りませんでしたが、私の村ではとても独特なドラゴンの繰り方をしていたんです。ドラゴンと心を通わし、まさに自分の手足のように操ることが出来て、旅をするにも、戦いをするのにも応用が効きます。ただ……」

 旅人は一旦言葉を切ると、顔に少し寂しさを浮かべる。

「私の村や、騎士を献上していた国は取り返しがつかないほどの衰退をしてしまったのです。若い世代が生まれなくなり、未来に絶望するしかない状態でした」

「なるほど」

「それで私は旅に出たのです。この伝統をどこかの誰かに継承するために」

 彼の目には、伝統を背負う者としての矜持が強く感じられた。

「ちなみに、伝統的なドラゴンの繰り方というのは、どのようなものなんですか?」

 リィルアが尋ねる。

 眼鏡の旅人は、勢いよく身を乗り出した。

「興味がおありですか?!」

 その様に気圧されるリィルア。

「ご教示してほしいとか、そういったものではないです。ただ、それほどまで独特な繰り方というのは、一体どのようなものなのかなと」

 眼鏡の旅人は自身の先走りに気付いた様子で、慌てて様子を戻した。

「すみません、取り乱しました。そうですね……言葉のみで説明するのは少し難しいものでして……。特殊な装具を着けて、ドラゴンと密接に意思疎通をとる、というようなものなのですが……」

 少しの間考え込む素振り。そしてああ、と呟いて手を打った。

「この船から降りたら、実際にご覧になられますか? もしご都合がよろしければ、ですが」

 その提案に、リィルアは賛成する。ドラゴンと共に旅をするものとして、多少好奇心が湧くものではあったのだ。

 二人で合意が採れた時、新たな人影が傍に現れた。

「おっ、お兄さん、また伝統だかなんだかの自慢をしてんのか?」

 若い男だ。身につけているゴーグルなどからドラゴン乗りの旅人らしいことが窺える。しかし服装は奇抜な色合いで、口調や態度からも不良めいた印象だ。顔には何かの紋様の入れ墨をしていた。

 彼の物言いに、眼鏡の旅人は眉尻を少し持ち上げる。

 それをみて、入れ墨の男はひらひらと手をはためかせた。

「いやいや、自慢は冗談だ。伝統なんざ誰かに喋ってねぇと消えちまうもんな」

「ええ。少なくとも貴方の愚痴を聞かされるよりは、実のある話をしていると思っていますよ」

 眼鏡の旅人の発言に、入れ墨の男は自嘲的な笑いを返す。

「全くその通りだ。ただまあ、こっちとしても同じドラゴン乗り位にしか話せない愚痴なもんでね」

「ということは貴方もドラゴン乗りなんですね」

 入れ墨の男の言葉を受けて、リィルアが口を開いた。

 それを聞いて、入れ墨の男もリィルアがドラゴン乗りであることに気付いた様子。

 そして、眼鏡の旅人は椅子から立ち上がった。

「もしまだ愚痴があるなら、私は遠慮させていただきますよ」

 眼鏡の旅人はリィルアに一礼し、その場を去る。

 彼の背中を、入れ墨の男はぼんやりとした眼差しで見送った。

「ありゃー、嫌われたなぁ」

「同じ旅人同士でも、反りが合うとは限りませんからね」

 入れ墨の男は肩を竦めつつ、眼鏡の旅人が座っていた椅子に腰かける。

「いや、まったくだ。まあ分からないこともねぇよ。あれだけ上手くやれてる奴に、俺の愚痴は理解できねぇだろうな」

「上手くやれてる?」

「気になるか? 俺の愚痴」

 悪戯っぽい笑みを浮かべる入れ墨の男。

 リィルアは一瞬男から窓に目線を外し、返答を考えた。

「他人の愚痴に関心があるわけではないですが、暇潰しにはなりそうですね」

 すると入れ墨の男は、愉快そうな笑い声をあげる。

「それでいい、別に真剣な相談じゃねぇんだ。上手くやれてるってのはズバリ、ドラゴンとの関係のことだ」

 リィルアの反応を待つような男。

 その様子に、リィルアは分からない、という表情を返した。

 すると男はリィルアの表情を見て間髪入れずに口を開く。

「俺が使ってるドラゴンが、マジで最悪な性格してんだ。飛ぼうが降りようがずっと口論しっぱなしで、黙ってる時間が殆どないくらい」

「……はあ」

「航路の意見が一致したことなんて一度だってないし……。ああそうそう、この飛行船に乗るときなんか、『このまま俺を解放して飛行機乗りにでもなればいいだろう?』だってよ」

「その選択肢はないんですか? 飛行機なら口論は起こらない筈ですが」

 男の話す内容に純粋な疑問を感じたリィルア。

 すると男は、その発言に気分を害したとも、逆にその発言を待っていたともとれるように感情を昂らせた。

「それが出来りゃ全部解決なんだ。ただな……」

 一旦言葉を切り、わざとらしく弱気な表情になる男。

「どの飛行機械も全く操作できねぇんだ。からっきしって奴だ」

「……はあ」

「行く先々で新しいものを見つける度に試してみたが、自分でもびっくりする位に扱えねぇ」

「じゃあ、いっそどこかに定住してしまうというのは……」

「俺が他人と仲良く働いたり、生活できるガラに見えるか?」

 リィルアは少し返答に悩んだ。

「見えない、というのは初対面の相手に対してあまりに失礼ではないですか?」

 数秒沈黙。そして男は吹きだし、手を打って笑った。

「そりゃそうだ。言わせた俺が悪かった。まあ、どれもこれも俺が悪いと言えばそれまでなんだが、奴と旅をするしかねぇんだ。当然諦めてはいるんだが、どうしたってストレスは溜る。だからあんたやさっきの奴みたいなドラゴン乗りに会ったら、愚痴らせてもらってるんだ」

「なるほど……」

 その後、入れ墨の男は同行しているドラゴンの言動について、様々な愚痴をまくしたてる。どれも些細な出来事ではあるが、そういう些細な点で反りが合わない存在とずっと旅を続けるのは、他人には共感しえない大変さがあるのだろうと、リィルアはぼんやりと考えていた。

「……大分付き合わせちまったな」

 暫くして、男が言う。

「いえ、お気になさらず」

 実際リィルアにとっては、ただ窓を眺めているよりはずっとマシだった。

「いやいや、流石にずっと俺だけが愚痴吐いてるのもな。そうだ、あんたのとこのドラゴンについて聞かせてくれよ。どんな奴なんだ?」

 リィルアとしては一番答えづらい質問が来てしまった。どう答えたものかと、少しの間天井を長め、考える。

 そして――


――


 傍から見たら寝ているのかどうか判別がつかないような様子で、ジェインはただ時が過ぎるのを待っていた。

 人や物を乗せて空を飛ぶのが、ドラゴンの存在意義である。ジェインはその中でも異質な出自ではあるが、少なくとも何かに乗ってただ運ばれるだけというのは、あまり楽しいものではなかった。

 彼が居るのは、雲の中を進む飛行船の、下部にあるドックの中だ。ジェイン以外のドラゴンや、いくつかの飛行機も置かれている。変わり栄えのしない景色の中、エンジンの音だけが低く唸っていた。

「暇だな」

 ふと、ジェインの傍から声がする。

 声の方向に視線を向けると、深緑色の体色のドラゴンが、ジェインと同じような体勢で伏せていた。

 ジェインが返答を迷っていると、深緑のドラゴンは不思議そうな表情になる。

「暇じゃないのか? ここは食うかじっとしているかしかできない。ドラゴンは空を飛んで人の役に立ってこそ存在意義がある。それを飛行船に任せてずっと待たないといけないなんて、屈辱的な『暇』だろ?」

 さも当然のように語る深緑色のドラゴン。

 確かに普通のドラゴンならば、そのような発想になるのだろうと、ジェインは胡乱気に考えた。

「確かにやることはないが、ここで待っているのも結果的には乗り主の為だ。そう思えばいいのではないか?」

 深緑のドラゴンは、納得したような反応をする。

「それは確かに一理あるな……。なあ、あんたはどう思う?」

 そう言って目線を向けたのは、ジェインを挟んで反対側だった。

 ジェインがその視線を追う。その先には、紺色の鱗を持ったドラゴン。

 声を掛けられるまで、紺色のドラゴンは目を閉じ、微動だにしていなかった。しかし声に反応して目を開く。深緑のドラゴンとジェインを一瞥すると、詰まらなさそうに目を閉じた。

「話しかけないでくれ。クソの飼い主と離れられる貴重な時間なんだ……」

 その無気力な様子に、深緑のドラゴンは、ああ、という気まずそうに声を漏らす。

「……なるほど、色々あるんだな」

 ジェインは、紺色のドラゴンの様子を少し観察した。胴部や翼の付け根を中心に、鱗に大小無数の傷がついている。

 成体のドラゴンの鱗は非常に強度が高い。それにここまで大量の傷がつくのは、並大抵の事情ではない。彼の心中を察するのに十分なものだ。

 一方深緑のドラゴンに視線を向けると、バツが悪そうな様子で伏せていた。

「……良い飼い主を持っているんだな」

 ジェインは思わず深緑のドラゴンに声をかける。

 深緑のドラゴンは、ジェインに視線を向けた。

「ああ、今改めて実感したよ」

 声色には少し自嘲的な響きがある。

「どんな奴か、聞いてもいいか?」

 これまでのやり取りで、ジェインには彼の飼い主に対する興味が少し湧いてきていた。深緑のドラゴンの言動を聞くに、彼は無意識に刻み込まれる程に飼い主との強い信頼関係を築いているらしい。

 深緑のドラゴンは、少し言葉に困りながら語る。

 曰く、どのような状況でも最終的には相棒である自分の事を第一に考え、動く飼い主なのだ、と。意見の相違が無いわけではないが、深緑色のドラゴンにとって彼以上の飼い主は居ないのだという。

「……まあ、互いが必要だって確信してる感じかな」

 すぐ傍にいる紺色のドラゴンの手前、少し遠慮がちな様子で、言葉を締めくくった。

「なるほどな。……俺も全てを知っているわけではないが、それほど互いに信頼しているドラゴンとドラゴン乗りはあまり見ない。幸運に恵まれているな」

 ジェインが言うと、深緑のドラゴンは少し困惑した様子になる。ジェインの言葉に実感が持てないようだ。

「まあ、ありがたく受け取っておくよ……。そうだ、あんたの飼い主はどんな奴なんだ? この際だし、聞かせてくれよ」

 その問いに対して、ジェインは少しの間沈黙する。

 そして――。


――


 数日の航行を終えて、飛行船は港に到着した。トラブル等もなく、事前の予定通りである。

 先に下船したリィルアは、他の乗客と共に乗り物用のドックが開くのを内心やきもきしながら待っていた。

 そしてドックが開くと、足早にジェインのもとへと駆け寄る。

「久しぶりだねジェイン。大丈夫だった?」

 その様子にジェインは思わず、リィルアの顔に自分の顔を摺り寄せかけた。しかし周囲の人目にギリギリで思いとどまる。

「……ああ。リィルアこそ、大事無さそうでなによりだ」

 その後二人は、軽く雑談を交わしつつ先の旅への支度を始めた。

 彼らの周囲にも、同様に下船した客達が各々の準備をしている。その殆どは小型の飛行機などに乗っていて、リィルア達同様ドラゴンに乗っている者は極僅かだった。飛行機乗りが多いのが周辺空域の特徴らしい。舗装された広い飛行場で、それぞれが散り散りに支度をしている。

 何気なくリィルアが周囲を見回していると、ふとドラゴン乗り達の姿が目に入った。

「そういえば、船に乗ってる間ドラゴン乗りの旅人と少し話したんだ」

「ほう」

「まず一人があの人で……」

 二人の声や視線にはまず気づかないであろう距離に居る男を指差すリィルア。示しているのは、眼鏡を付けた旅人だった。傍には、紺色の鱗を持ったドラゴンがいる。

 眼鏡の旅人は、ドラゴンに装具を着けていた。その装具はジェインが使っているものとは違う、独特なものだ。騎手が跨る背中部分だけでなく、羽の付け根や首、顎の周辺なども重厚感のある金属で覆われている。

「珍しい装具だな」

 ジェインが呟いた。

「うん……確か一度だけどこかの島で見たことがある気がする」

「そうなのか」

「その時聞いた話だと、装具の中に絡繰りが仕掛けられてて、ドラゴンの身体を騎手が動かせるようになってるんじゃなかったかな」

 それを聞いて、思わずジェインは顔を顰める。同時に、紺色のドラゴンの身体についていた傷に納得がいった。自身の身体を傀儡のように動かされるのは、どのような生き物にとっても苦痛だろう。

「あの人が言ってたのはそういうことだったか……」

 リィルアは眼鏡の男が話していた内容をジェインに話す気が、一気に失せてしまった。

「あ、それでもう一人あの人とも話したんだ」

 眼鏡の男とは離れた位置に居た入れ墨の男を指差す。

 入れ墨の男も、相棒らしき深緑色の鱗を持つドラゴンと、支度をしていた。ドラゴンとは何か口論をしているようだが、ドラゴンに装具を着ける手つきは非常にスムーズで、その練度が窺える。

「あのドラゴンとは船の中で話したぞ」

 ジェインが口を開いた。

「随分と飼い主との信頼が深そうな様子だった。あれほどの仲のドラゴンは初めて見た」

「へ、へぇ……」

 思わず気の抜けた声がでるリィルア。

 その様子をジェインが訝しがった。

「どうしたんだ?」

「……と、とりあえず詳しいことは空の上で話そうか」

 リィルアは一旦会話を止め、旅の支度を急いだ。


――


 島を離れ暫くの間で、二人は互いに飛行船内での出来事を語った。

「分からないもんだね、色々と」

 一通り互いの話が終わると、リィルアはある種の感心をしたような様子で呟く。

「全くだな」

 その後二人は暫くの間口を閉ざした。深刻ではないが、何かしらに思いを巡らせている様子。

 日中の穏やかな空気が、二人を撫でて流れていく。随分と遠くなった山吹色の雲は、来るものを拒む威容が少し薄れて見えていた。

「そういえばさ」

 不意にリィルアが、ジェインの顔を軽く覗き込むようにする。

「なんだ?」

「僕の印象を聞かれたって言ってたけど、何て答えたの?」

 ジェインは何も答えずに、目線をリィルアへと向けた。

 その様子を見て、リィルアは思わず笑みを浮かべる。

「わかった、当てるよ。『何も具体的に言わなかった』んでしょ」

 視線を前に戻すジェイン。

「どうしてそうだと思ったんだ?」

「僕がそうしたから」

 そういってリィルアは、ジェインを覗き込む為に傾けていた姿勢を直した。

 ジェインは顔色を一切変えない。

「なるほどな。……正解だ」

「やった」

 満足そうな顔になるリィルア。

「簡単に言語化できるなら、俺は多分ここに居ない」

 ジェインの言葉を聞いて、リィルアは今跨っている彼の背の鱗を撫でた。

「そういうところ、好きだよ」

「俺もだ」

「……久しぶりに一緒に飛べて嬉しいよ」

「ああ」

 二人の会話は他の誰にも届くことなく、風の中に消えていった。

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