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月は放課後 夢をみる  作者: 金華鯖
1 月はまた昇る
5/10

1ー4 頼れる先輩

 お昼休憩まであと一時間。


 「 おなか空いた…… 」


 コンビニに寄って、おにぎりでも買おうか迷ったけど、寄らなくて正解だった。もし、コンビニに寄っていたら、確実に遅刻していた。

 朝は、しっかり食べる派の人間だから、朝食抜きの代償は大きい。


 「 うぅ~、おなかが空いて力がでない…… 」


 「 どうかしましたか? ()()()()? そんなにうなだれて。彼氏にでもフラれましたか? 」


 顔を上げると、白衣を着た女性の先生が、コーヒーを片手に話しかけてきた。


 「 千里(ちさと)先輩…… 」


 彼女の名前は、中上(なかがみ) 千里(ちさと)。科学を教えている。実は、私が高校一年生の時の三年生で、ある日を境に先輩と仲良くなった。


 「 学校では、先生と呼べって何回も言ってんだろ 」


 千里先輩は、私の事情を良く知っている。面倒見の良さに定評のある先輩は、昔も今も気遣ってくれて、教師になった私に余計なことを聞かず手取り足取り教えてくれた。


 「 せんぱ~い。フラれたとかはセクハラですよ 」


 「 なにが、セクハラだよ。ほらよ、あと少しの辛抱だぞ~ 」


 先輩は笑いながらコーヒーを一口飲むと、去り際にポケットからお菓子を取りだし、机の上に置いた。


 「 もう先輩…… キュンです 」


 「 何がキュンだよ。 それより、お客さん来てっぞ 」


 「 お客さん? 」


 職員室の入り口を見ると、見覚えのあるツインテールの生徒がこっちを見ている。山内(やまうち) 美月(みつき)だ。目が合うと、美月は凄い勢いで手を振ってきた。


 「 どうしたの、美月さん? 」


 「 いや~、たいした用じゃないんだけど…… 」


 美月は、指でツインテール弄り視線をそらす。


 「 まったく。そろそろ次の授業始まるから、早く教室に戻ってね 」


 「 わかってるって。先生これ! ちゃんと読んでね 」


 美月は、二つ折りにしたメモを渡すと、走って教室に戻っていった。


 「 廊下は走らないでね!! 」


 「 はーーーい!! 」


 「 返事だけじゃない 」



 始業開始の鐘がなる。

 

 「 私も早く行かなきゃ 」


 渡されたメモをポケットに入れ、少し急ぎながら先輩から貰ったお菓子を食べる。

 おなかは少し満たされた。


 「 よし、お昼まであと少し!! 頑張るぞ~ 」


 ひとつ背伸びをして、気合いを入れ直す。

 さあ、早く教室に向かおう。

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