2.一生のお願い
体育の授業のあと、舞と瞬は二人で体育館で後かたずけをしていた。すると、瞬が突然「舞ってヒロの事好きなの?」と言ってきた。
舞は突然の瞬の質問に少しビックリしたが、「うん、でも片思いだけどね。」「なんで告らないの?」と瞬は不思議そうに舞を見た。すると舞は「今まで誰かに相談したくても心の中の本音を言える男友達がいなかった。でも、瞬になら言えそうな感じがする。」と少し顔を赤くし瞬をまっすぐな目で見た。
「ヒロの事をいつも考えて、目で追って、一言でも多くヒロと話したい、ヒロの特別な一人になりたい
ヒロの事いっぱい知りたい。」舞は一度も息継ぎをしないでイッキに瞬に言った。瞬は少し驚いた感じで「なんでそんなに好きなのにヒロに言わないの?」と聞いた。舞は急に声を小さくし「もし、私がヒロに告って、ヒロは私のこと友達としか思ってなかったらこの関係が無くなるのはイヤなの、万が一、付き合えたとしてもヒロが私の事好きじゃなくなって、別れたら・・・いろんな事考えると簡単には告れないよ」瞬は「じゃぁ俺が舞の特別な友達になる!ヒロやまわりの関係がどうなろうと俺は絶対舞の特別でいる!なら恐くないでしょ?」小さくうなずき瞬には聞こえないくらい小さな声で「うん」舞はこんなにやさしく、強い、まっすぐは人とは初めて出会った。
舞と瞬はこれ以来、頻繁にメールや電話をするようになった。内容はほとんどヒロ情報で、瞬は自分の知ってる事全部、舞に言った。舞も好きなものや、はまってる事、どうでもいい話など二人の連絡網は続いた。
授業中いつものように教室では寝る人、お弁当食べる人、マンガ読む人、しゃべる人とみんな好き勝手にやっていた。舞は数少ない女子の中でも仲がいい沙紀と昨日のテレビの話をしていた。突然、男軍団がドッと笑い出した、「ヒロ!!お前のそのたとえありえない!!」男子が何かヒロのこと言ってる。舞は全神経をヒロ達の会話にむけた。ヒロが「だから俺は付き合うなら処女はヤダって!痛いだの心の準備だの、恐いだのマジでめんどくさい。たとえで言うなら、買ってそのままのカップラーメンもらうより、お湯入れて三分経ったカップラーメンもらうほうがいいのと一緒!」テンション高めで言う、そのたとえで男子軍団はまたドッ!と笑った。
舞はまるで自分の事を言われているような感じがして愕然とした、なんでよりによってヒロがそんな事言うのか、いろんな事を考えているうちに授業は終わった。その日の夜、瞬からおもしろ画像付のメールがきたが舞は返信しなかった、しばらくすると電話が鳴って見ると瞬からだった、きっと、気をつかって電話をくれたと思ったが今日は誰とも話したくないと思い、出なかった。
そして次の日いつもの舞の朝の自転車猛ダッシュ、前に瞬の背中が見えた、昨日の電話のことがちょっと気になったが元気に声をかけた、「瞬、おはよ!」瞬は後ろを振り向き「あっ、舞おはよ。昨日おもしろ画像送ったの見た?早く見てほしくて電話もしたのに・・」「ごめーん昨日早く寝ちゃって」舞はごまかした。「瞬、乗る?」瞬はすぐに舞を後ろに押し自転車をこぎはじめた。舞はビックリした。これって憧れのお姫様乗り!?前に一度ヒロとも同じことがあったときとは違う。瞬はためらうことなく自転車をこいでいる、あー瞬っていいやつ、瞬のいい香りが風と一緒に舞にかかる。癒しの時間はすぐに終わり、二人は遅刻し、図書室の整理を高田から命じられた。
放課後二人は誰もいない図書室で本の整理をしていた。何冊も重なった重い本を持ってくれる瞬、ほんとこいつっていいやつ。舞は勇気を出して瞬に言った、 「瞬!一生のお願い私を処女じゃなくして!!」しばらく沈黙が続いた。やばいこの状況、私何言ってるんだろう後悔した。瞬が「いいよ」一言言った。また沈黙が続く「じゃ今日家来る?」舞はただうなずくことしかできなかった。