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1.出会い

「あーやばい、今日も遅刻だ。」


舞は自転車を立ちこぎでガンガンこぎ走ってた。いつもの見慣れた朝の風景だ。


他の生徒の背中を追い越し校門を目指す。そのとき、「おっ、舞 おはよっ。俺も乗せて。」


舞は自転車のブレーキをギッと握り後ろを振り返るとヒロがダルそうに手をあげていた。


はっつ、瞬。舞は風にいいだけバサバサにされた髪を必死で直した。 


「おはよ、いいよ乗って」あ−なんで今会うかな。舞は寝起きの顔とぼさぼさな髪をヒロに


見られないように少しうつむきながらヒロに言った。でもヒロと朝一緒になれた事と自転車に


二人で乗れる事がうれしかった。 


「舞、こげ」ヒロが自転車の後ろにドカッと座ると舞に言った。  えっ?私運転?


こういうのって普通、男がこいで女の子は後ろでお姫様座りでしょ。舞のささやかな夢は一瞬で終わっ


た。


何とか遅刻せずに間に合った舞は授業が始まるまで、朝のメイクに勤しんでた。


担任が教室に入ってきてもまだ生徒たちは話たり、朝ごはんを食べる人、教室に入ったとたん


寝る人それぞれだった。


「おまえら、座れ。食うな。しゃべるな。起きろ。」 担任の高田がいつものように大きな声で


言った。 「お前らよく聞け。今日からひとり増える。」


クラスの中で中心的なヒロが「もしかして転校生とか?」高田はニヤッとした。


するとヒロが「マジで?もしかして女子?」高田はまたニヤッとした。


ヒロはテンションを上げ「かわいい?」高田はヒロの質問に答えないまま「川崎さん入って」と廊下に


向かって言った。 クラス全員が一瞬シーンとなってみんな一斉に教室の扉が開くのを待った。


ガラッと扉が開くとそこにはすらっと背が高く、体型の割りには顔が小さい男子が教室に入ってきた。


「えーーっつ」  「男かよっ」 教室の中は大ブーイングだった。


舞のクラスは男子7 女子3という男臭い、女の目を一切気にしない男が主導権を持つクラスだった。


「俺は一言も転校生が女とは言ってないぞ。お前らが勝手に勘違いしてんだろ」高田はヤッタという


顔をしながらみんなに言った。 「川崎、適当に自己紹介して」 「川崎 瞬です。よろしく」


瞬は少しかったるそうに言った。「じゃ席は・・・」高田は教室を見渡し空いてる場所を目で探した


ヒロが「たか、俺の横空いてる」ヒロは楽しげに自分の横を指さした。 入学以来初めての転校生とい


うイベントにクラス中少し浮かれていた。 舞もその一人だった。


ヒロの横って事は・・・私の後ろだ。 転校生が男子で少しがっかりした舞だったが、自分の後ろの席


にくる事で舞もこのイベントに参加した気分だった。


高田が「ヒロと舞、川崎の机とイス用具室から持ってきて」ヒロははぁ、めんどくせと小さく言うと


「舞、行くぞ」と言い教室を出た。 舞は小走りでヒロの後を追った。 瞬も舞の後をついて教室


から出た。 「瞬でいい?」ヒロが言った。瞬も「あぁいいよ」と言い終わる前にヒロが「どっから


来たの? バスケ好き? 彼女いる?」聞きたい事全部いいました。って感じで瞬に聞いた。


瞬は「札幌から・・・バスケまあまあ・・彼女いない」聞かれた事全部に答えた。


「お前おもしろいな」 ヒロが言った。 「なぁ舞 瞬ておもしろいよな」突然話を振られた舞は


「あ・・ うん」と話を合わせる風に返事をした。


用具室につくと適当な机をヒロが持って、「舞、その辺にあるイス持って」と言った


舞がイスを持とうとすると瞬が「いいよ、俺持つから。」というとイスをガッと持って用具室から


出た。ヒロは舞と瞬を見ていたが、何も言わずに部屋からでた。


教室に戻ると、授業は始まっていた。 ヒロは自分の横に机を置くとさっさとマンガを読み始めた


瞬も席につくと暇つぶしにケータイを見始めた。


瞬はあっというまにクラスになじんでいった。 「瞬、昼休みバスケしない?」「いいよー」


舞のクラスの男子は昼休みに体育館でバスケをするのが日課になっていた。 昼休みを過ぎて5時限目


になっても戻ってこないのはよくあった。  授業中もとりあえず教室に居ると単位をもらえるような


学校で、授業中はマンガを読むか、友達と話すか、たまったメールを返信するか、寝るか。といった


いい学校だった。  ヒロと舞、そして瞬の三人は授業中よく話した。


昨日のテレビやあのアイドルがかわいいとか舞の好きな芸能人のブサイクネタとか・・


「ヒロと舞って付き合ってるの?」 突然 瞬が言った。 舞は顔を赤くして早口で「つ、付き合って


なんかないよ」といった。 ヒロは舞の顔を見て「お前 何顔赤くしてんの? 俺らは親友?いやテス


トの時は戦友? そんな感じだよな?」舞はあわてて「そう、そうだよ。付き合ってるように見え


た?」瞬に聞いた。瞬は「そーなんだ。 ならいいや」 舞が何か別の話題を必死で考えているうちに


チャイムがなった。


 

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