恋愛未経験の高学歴お嬢様女子大生、波乱のラブストーリー
好きすぎて辛い。
そんな風に言っている人を今まで見下していた。
それ思い入れ強すぎない?もっとライトに恋愛しようよ、って。
でもあなたに出会って初めて思った。
好きすぎて辛い。
私は京都大学に通う大学3年生、平宮爽香。大学では理学部、物理学専攻だ。大学から京都に来た。出身は東京の女子校である。小学校から女子校で育てられてきた私は、大学1年の時は新しい環境に疲れ果てて心を壊しかけたが、大学3年の今は落ち着いた日々を送っている。
私は小さい頃から、何不自由ない生活をしてきた。実家は広尾で料亭を営んでいて、父は2代目に当たる。母も私の母校の出身で、祖父や叔父など母の家系は医師が多い。私の兄も医学部に進学した。
とはいえその環境が普通でないと知ったのは、大学に入ってからだ。私は、京都中心部、五条烏丸のオートロックマンションに住んでいるわけだが、その時点で同級生らは目を丸くした。月に一回、必ず新幹線で帰省するようにと言われてその言いつけも守っている。ちなみに私は人生でグリーン車にしか乗ったことがない。でも私の古い友人達も同じようであった。
大学に入ると、東京にバスで帰省する人が多くて驚いてしまった。この距離をバスで帰ろうなんて思ってもみなかった。また、実家にお手伝いさんがいるのは普通ではないと知った。
私はここに来てよかった、と本当に思う。
このまま広尾に住んでいたら、私は母の知り合いの医師とお見合いでもさせられて結婚していただろう。外の世界を知らないまま、さながらラプンツェルのように、家で趣味の油絵を描き、パンを焼く。料理はたまに作って、夜は夫と時間を過ごす。そして子供を母校に入学させ…
実際京大に来てみたところで、母はお見合いの相手を見繕っているしあまり状況は変わらないが、世の中には色々な人がいることを知った。