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世の中の真実

ありとキリギリス、相容れない二人のその後は?

そして人間の真実とは?

人のこころを捉えんとする人に自らのこころを捉えた作品に仕上げています。

第1章


アリのおかげで音楽教室は大盛況。生徒もどんどん増え、アリもキリギリスも充実した生活を送っていました。


生活に余裕が出てくるとキリギリスは夜な夜な遊びに出るようになりました。

そして、それはだんだんと派手になっていきました。夜遊ぶものですから、昼の講師業にも影響してきます。


そのうちに音楽教室の評判はガタ落ち、生徒も離れていきました。


一度遊ぶことを覚えてしまったキリギリスはもう元に戻ることはできず、その後も遊び続け、音楽教室はつぶれました。

アリは元の生活に戻り、またコツコツと働き続けました。



アリは堅実で真面目でしたので程なくよい伴侶を見つけ結婚しました。


キリギリスは怠け者でその日暮らしですから、彼女はできるのですが、そこまでで相変わらずの一人暮らしでした。


ある時、食うものにも困り、行き場をなくしていたキリギリスはアリのことを思い出しました。


アリさんはどうしているのかな?元気かな?また、働きすぎて体を壊していないかな?


気になったキリギリスはアリの家に向かいました。


アリの家に行くと最初に出てきたのはアリの奥さんでした。

キリギリスはビックリしました。あんな生真面目で堅物のアリに奥さんがいるとはおもわなかったのです。


しかも、奥さんは若くて美人。優しそうで、キリギリスが過去に遊んできた女の子達とは全く違うタイプでした。


続いてアリが出てきました。


やあ、やあ、キリギリスさん久しぶり。元気でしたか?私は今ではすっかり落ち着いて結婚もしました。


さあ、お入りください。お酒でも飲みましょう。



食うものにも困っていたキリギリスは家に上がり、ご馳走にありつき、お酒もたらふく飲ませてもらいました。


アリもアリの奥さんも真面目で羽目をはずすということを知らないので、キリギリスの話はとても楽しく聞き入っていました。

アリの奥さんは今まで聞いたことのない話にびっくりするやら感心するやら、まるで別の世界の話を聞いているかのようで、何度も何度も笑い転げました。

それは過去に夫のアリにも見せたことがないような笑顔でした。

その笑顔を見て、アリも大変喜びました。


キリギリスさん、もしよかったらまた遊びに来てくださいな。


アリもアリの奥さんもこれから起きることなど想像することもできなかったのです。




第2章


アリは几帳面な性格でしたので雨の日も風の日も毎日同じ時間に起きて、同じ時間に食事をし、同じ時間に家を出て、同じ時間に家に帰ってきました。


平凡そのものを絵に描いたような生活にです。

アリの奥さんも生真面目な女性でした。幸せとは平凡の中にあると信じて疑わない、良妻賢母で古めかしく、奥ゆかしい女性でした。


毎日飽きることなく、同じ時間に同じことをして、家事に明け暮れていました。

しかし、それを不満に感じることもなく、毎日過ごしていました。


キリギリスに出会うまでは、、、




キリギリスは相変わらず定職に就かず、その日暮らし。金に困ってはアリの家に行きご馳走になったり、お金を借りていました。


人のいいアリ夫婦は文句も言わずアリを受け入れました。キリギリスはそれをいいことにますます働かなくなり、毎日アリの家に来るようになりました。


それでもキリギリスの話しは退屈で平凡な生活を続けているアリ達にとっては魅力的で刺激になりました。


特に一日中家にいて、家事をするだけで、外の世界を知らないアリの奥さんにはたまらないものでした。


キリギリスが毎日昼間に来て、奥さんと楽しく過ごすうち、キリギリスと過ちを犯すようになりました。

最初は抵抗していましたが、キリギリスの軽いノリや楽しい雰囲気に、自然とそうなるようになっていきました。


アリは奥さんがキリギリスとそういう仲になっているとは露知らず、奥さんのアリを信じて疑わいませんでした。



しばらくしてその平和が崩れる日が来たのです。アリの奥さんに赤ちゃんができたのでした。アリは大変喜び、生まれるのを楽しみにしていました。

アリの奥さんはどことなく、不安そうで、時折暗い表情を見せていました。しかし、アリはそれに気づくことはありませんでした。


そして出産の日が来ました。

アリは病室の中で奥さんの手を握り、出産の瞬間を待ちました。

そして数時間後、アリの奥さんは赤ちゃんを産みました。女の子でした。アリは産まれてきた赤ちゃんを見てショックを受けました。赤ちゃんはアリとはかけ離れた姿をしており、あきらかに自分の子供ではないとわかったからです。

アリはその場に崩れ落ちました。


産まれてきた子を殺さんばかりの鬼のような表情をしていました。殺気を感じた看護婦が赤ちゃんを取り上げ、奥さんに渡し、アリを病室の外に出しました。


アリはその後、家を出て、奥さんの元に戻ることはありませんでした。



アリの奥さんはアリがいなくなった家で赤ちゃんとキリギリスと暮らすことにしました。


アリからの連絡はその後まったくありません。

どこでどうしているのやら。

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