清明様の憂鬱 特別篇 青龍と天使 84
食べながら、ハリエットのことを思い出した
地味だけどいつも控えめで穏やかな横顔、スカートにまとわりつく僕たちをたしなめると
きもそれは同じだった。
暖かくなると庭を耕していろいろな花や小さな木を植えそして、僕たちは季節が変わったことを知る
時には、泡立った石鹸をざあざあ流して玄関やテラスを掃除する。
その清潔な匂いはブクブクと泡立って、そこら辺をいっぱいにしてそれが僕らを幸福にする
僕らもモップをもって、泡を立てながら笑いあう
ハリエットも笑いながら言う「ころんじゃじゃ駄目よ、前かがみになってね」
言われた通りにすると、面白いほど泡立ってくる、自分が泡を作る、魔法を使っている気分になれる
レグの母親は死んでしまったはずだ
あの忌々しい戦争がなければ、ハリエットと結婚したのだろうか?
でも、戦場に行ってしまった。
劇的な盛り上がりなど何もないままに・・・・・
それから、どうなったんだろう、最後に思い出すのは、ハリエットがひどく夜を怖がったこと
心配になった僕らは、両側から手を握って眠った
でも、本当にあっけなく死んでしまった。
ささやかで静かな儚い人生
でも、自分だったら、ああいう優しくて、女としての有能さを身に着けた人を好きになるだろう
いつも同じ髪型で同じ服で装飾などしなかったが確かに綺麗だったのは、自分の中に決まりを作ってい
たんだ
大きな声を出さず、身のこなしは優雅に・・・・
と、ここまで考えて、俺は不思議なことに気づく
(なんで、俺はここまで知ってるんだろう)
あの狐の仕業か? それともハリエットが狐を依り代に使ったのだろうか?




