清明様の憂鬱 特別篇 青龍と天使 68
石榴が消えてくれてほんと助かった
俺もあんなふうにワープできればいいのだが、もうそれだけの力は残っていない
しょうがないのでレグを肩に抱えて走る。
レグは力が入らないらしくものすごく重いがその体が異様に冷たいのが心配だ
その時何かが俺の足を止めた。
異様な臭い生ごみの腐ったが流れてくるような後ろを向くと凍っていた肉塊が溶けて流れて
流れてくるのが見えた
その中で、内臓がうごめく音がする
(ダメだ、逃げきれない)俺の疲労は限界に達しているし、レグは気を失いかけている
その時にブレスレットが目に入った、先住民のまじない
それから狐からもらったペンダントを思い出した。
もう結界を張る力もないが試してみる価値はある。
プールのふちに座って呪文を唱えた。
「飴男飴男飴男降臨」
奥にぼんやりした影が現れた長身でまるで彫刻のような綺麗な顔をした黒人だった。
長いマント着ていて片方の手はフックになっている。
顔を上げると途方に暮れた悲しみをたたえた澄んだ目が見えた。
知的だがこんな悲しそうな眼は見たことないと思ったその時その黒人がぱっとマントをはね上げた
その中には体がなかった。
だが、ぶんぶんいう音がして、黒い霧のようなものが活発に動いていた
その正体がわかったとき、俺は全身が凍り付いて一瞬動けなくなった
それは蜂だった。 何万匹か、何十万匹か
頭より内蔵的反応が動いてレグの肩に手をかけた
「レグ潜るぞ、それしか助かる道はない」
レグが急に正気に戻ったように頭を振って言った
「俺、泳げない」 俺はまっすぐレグの眼を見て言った
「大丈夫、俺を信じてくれ」言ってから唇をくっつけて、肩を引っ張って思い切ってプールに倒れた
派手な水音がして体がくるっと回った、本当に金槌らしい
プールの底に着いてドンと音がした
俺はレグがパニックを起こさないように、背中をさすりながら空気を送り込んだ
「ゆっくり呼吸するんだ、落ち着いて」思念を送りながら空気を送り込み続けた
だんだんレグの体も硬直が溶けて、俺たちはプールの底でブクブク泡を立てながら
何時間もキスしていた




