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清明様の憂鬱 特別篇 青龍と天使④

 「天使」 俺は聞き返した


「そう」言って笑った なんだか溶かしたバターを連想してしまうような笑いだった


 あるいは温かく蒸した野菜にかかった柔らかなマヨネーズ 


 天使と言えば神の使いだ 


こっちの神のことはよく知らないが下手に斬ったりしたら国際問題だなと思い刀をおさめた


 「証拠を見せようか」と言って控えめに人なつこくその表情がちょっと生真面目になったと思ったら


白くて大きな羽が見えた


 「うわ」と言って思わず後ずさった 「心を読んでもかまわないけど 座っていい?」


 「どうぞ」と言って何かどぎまぎした


通常俺たちは思念を読んで会話するいわゆるテレパシーってやつだけれど


読むのは 上澄みの部分だけで心というのはとても深く込み入ってめんどくさいものだ


そこまでしなくても信用できそうだと思った それからお腹がものすごくすいているのに気づいた


 「あの ルームサービスを頼みたいんだけど」というと電話の横のメモ書きに気づいたらしい


メモの葛の葉がカタカナで書いたサーロインステーキワンプリーズと書いた紙を見て


 「ステーキしかたべないの?」相手が聞いた


 英語がよくわからないというと 電話を取って綺麗な英語で注文をした


電話を切ったあと 俺もちょっとは落ち着いてきてたっぷりしたバスローブのまま座った


「なんでここに来たんだ」俺が言うと「なんというかな 人恋しくて」


 「俺 人じゃないけど・・・」俺もちょっとは落ち着いてきてたっぷりしたバスローブのまま座った


 「知ってる でも人間とは話せないだろう 実はちょっと前まで人間だったんだ」


と言った


  「こっちでは死んだらみんな天使になるのか?」と聞くと


「いや そうじゃないよ」と言って笑った  


  じゃあ特例なのかな?そういえば白虎もそうだなと思っていると料理が来た


 

ボーイが入ってきて次々と料理を並べた


ボーイには天使は見えないみたいで肉のほかにチーズと銀色のバケツで冷やしたワインを持ってきて並べ


だした


天使の分の肉はない


 料理がそろうと天使がワインを注いでくれた


「勝手に頼んで悪かった? この分は払うから」


「天使もお金もってんのか?」 「多少はね」と足を組みながら言った


  その時の眼が曖昧でそれでいで高貴だった


  目を伏せて寂しげに視線がさまようのを追いかけているとそれらが誠実さを表しているように見えた


 ワインを飲んでびっくりした飲みやすくっていい香りがする


 焼きたてなのかまるい暖かいパンもふかふかして思わず「うまっ」っと言ってしまった


 「それは良かった」天使は細い指でチーズをつまんでいた


「肉は食べないのか?」俺は聞いた


「あんまり 食欲がわかないんだ 死んで時間がたつといろんな欲求がなくなるらしい」


 「それはよかった」言ってからはっとして顔を見た


「君が何を心配しているかわかるよ 僕はゲイじゃない アメリカはそういうのが多くて生きてるときは


 苦労したけど・・・・」


  飾らない あけすけな笑みは青龍をすっかり安心させたと同時に後悔させた


 (そうだ 困っていたのは俺だけじゃないんだ 俺は何という被害妄想を)と思うと恥ずかしくなって


きた


食事が進むとさらに紳士的だし相手が自分と同じぐらいの体格だと気づいた


 顔も小さいし細くて繊細な指も彫刻みたいに見えてきた 


 それから注意しなければならないのはそういうハッテン関係にはサインがあるらしい 自分もキスやハ


グはするけれど


 「キスやハグって?」 「家族とか 親しい人だけだ 頬にキスして軽く抱きしめる」


 「何で?」と聞くと 「ああ これを見て」 自分の瞳をさした


 それでさっきからの違和感がわかった


  片っぽが茶色で 片っぽが緑だった


「オッドアイというんだ ヨーロッパはいろんな人種がいる だから突然似ても似つかない子供が生まれ


るんだ スキンシップはそのためにする 大げさに言うと絆を確かめるというか?」


 「ヨーロッパから来たのか」青龍は少しとろんとして言った


「生まれはロンドン 寒いところだ 日本にもいったことがある」


 「へーどこに・・・」 「トーキョー ホントは京都に行きたかったんだけど」


「ああ夏はやめたほうがいい暑いぞ 、だから俺を見て来たのか?」


 「そう 思い出したら懐かしくなった」


 「さっきダーッと来たのは・・・」 「ああごめん それが見たくて悪かった」


  自分の横に立てかけてある 日本刀をさした


  「なるほど これもみえてたのか 俺 剣舞もできるぞ」


  その時高周波の歌声が聞こえた   まずい黒下司狐が帰ってきたそれも酔っぱらってる


   こいつは戦闘妖怪じゃないが酔っぱらうと酔拳マスターを使うんだ 




 


 


 


 



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