清明様の憂鬱 特別篇 青龍と天使 ㉞
「ちょっと待てなんで父親が死んだからって戦争に行くんだ?」
青龍は言った
「もちろん医師としてだけど」
「ああそれは分かるけど・・・・」
「 僕は身内が父しかいなくて父とはすごくうまくいってた
いろいろ手伝いもしてきて人の死もたくさん見たんだ
でもその父が急に死んでしまったら何かがすとんと抜け落ちた感じがして
すべてのもの事が何の意味も持たない羅列になってしまってすべての景色が抽象的な模様に
なってしまった どうしてもつながらないんだ」
レグは言葉を切った
「慰めてくれる人はいたんだろう 何も戦争に行かなくても・・・」
青龍は言った
「そうだね まあもっと許せなかったのは僕は自分がそんなに弱い人間だなんて思ったこともなかった
救ってくれようとした人も拒絶して冷たい惑星の様に孤立してしまった
今思うと本当に申し訳分けないと思うけど・・・・」
「それで 戦争でたくさん人を救おうと思ったのか?」
青龍は言った
「俺は頭がよくないからわからないけど悲しいことの上に悲しいことを重ねてるみたいだ
戦場はつらいだろう」
「まあ、でも考える暇がなかったから 忙しくしていて硬い枕で眠っていたら
だんだん目の焦点があってきて正気に戻ってきた 」
「ああ それはわかるけど・・・・・」
「君も家計を助けるために漁船に乗ってたんじゃないのか?」
急にレグが言ったので飲み物を吹き出しそうになってしまった
「あいつがいったのかあ」思わず大声を出してしまってレグがきょとんとした
「ああ ごめんほかに聞いてない?」
「いや」と言ったのでほっとした
そしてその労働の賃金はドン・キホーテで使い込まれたんだ
と思ったら変なところの毛穴が一斉に開いた気がする
そのころ葛の葉は地図をもってグランドキャニオンに向かっていた
何かとんでもない思い違いをしていたような気がする




