清明様の憂鬱 青龍と天使③
テーブルに組んだ腕を乗せて「やあ 勝手にお邪魔してごめん」
と言って男が笑った
なんか高級感のだだよったスーツ 時計 そしてなんというハンサムなんだろう
イケメンとか呼ぶには安っぽくもったいない感じがする深みと奥行きをたたえた瞳 短く切った金色の髪
まあ俺には負けるかもしれないが でもドアには鍵がかかっているのに入ってきたということは
普通の人間ではないということだから衣服とかは関係ない
衣服のほかにまとっているものを見極めなければいけない
特に悪意は感じないが 間合いは取ってある
突然そいつがすごい速さで突っ込んできたやっぱり人間の速さではない
が、俺はくるっと回って入り身を使って反対側に体を入れ替えた
ついでに目にもとまらぬ速さで空中から日本刀を取り抜刀して目の前にかざした
威嚇のつもりだが相手は驚いて「OH」と言った
「お前 吸血鬼ってやつか?」俺は聞いた
「違う違う」相手は笑って手を横に振った
もう少し威嚇してやろう
「いいか 俺の血を吸おうなんて思うな 聞いて驚け俺は病気持ちだぞ 吸ったら病気になるぞ
病気になったらマツチョドラゴン戦慄病棟に叩き込んでやる そこに入ると輝くピンクのハイヒー
ルの爺がいて言えないところにいえないモノをあれやこれやされるんだ 気持ち悪いことこの上ないぞ
俺はもうごめんだだからお前に食わせるまぐろはねー」
あれ言ってるうちにわかんなくなってしまった
時代劇みたいに決め台詞言おうと思ったのに・・・・
相手は穏やかに笑って手をあげた
あれなんかこいつ白く発光してるぞ
「ごめんごめん ちょっと退屈だったんだ」相手は言った
「お前山にいたやつか?」俺は思い出して言った 確かに誰かが見ていた
「山?グランドキャニオンのことかあそこは夜は寂しくてね つい降りてきてしまうんだ
昼間は人がいていいんだけど」
「ふーん」 笑顔もよく見たら寂しそうだな
でも油断は禁物なので「お前は なんだ?」と聞いた
「天使 下っ端だけどね」