清明様の憂鬱 特別篇 青龍と天使 ㉓
相手には利己的な面が一切なく くつろぎだすと余計にそれが目立った
こういう人間というのは実は得な人種だ葛葉は思った
感動をともにし情緒的に共鳴しあうこと それは理由抜きで気持ちのいいことだ
ところが 人間のほとんどがちょっとのところで得をしようと幼稚な画策をしたり
小さなお山の大将になりたがったりする
いつだったかネズミの実験で生き残るには協力が必要なのに権力争いをすると聞いたことがある
レグにはまるでそんなところがなかった レグは人間だった時は医師だったらしい
レグの父親もそうだった レグは愛され父親を尊敬し多くを語らずともわかりあえる理想的な関係を
築いていた
家族を愛し仕事を愛し人生を愛した そのうえ家は裕福だった 申し分のない人生
レグが時折楽しそうに笑う顔は疲れ切った人間がたっぷりした大きな枕を見つけたような安堵感を与えた
でも本当に疲れているのはこの人のほうなのに・・・・
葛の葉もくつろいでいろいろな話をした 屋敷の中のこと 日本の妖怪たちのこと 清明様のこと
重大な問題は時間 もう時間がない
葛の葉は背筋を伸ばして聞いた「そろそろ 本当のことをお話ししていただけますか?」
レグは少し暗い目になった
その時 どたどた音がして結界の外で何かわめいている声がした
(ああもう 何て間の悪い) レグには聞こえていないはずだ
「あ あのちょっと失礼いたしますね」 レグはうなづいた
隣に行って結界を張りなおす
脳の血管がふつふつと煮え立ってくる
結界を切ると青龍が飛び込んできた
「たたた助けてくれー」「ちょっと 静かにしなさい」
「追われてるはやく入れてくれ」
「追われてるって人間の波動しかしないぞ」
「だって 抱きつかれて尻も触られたぞ なんか まさまさぐられたし」
「下品なことを言うな そして泣くな」言いながら葛の葉は外に出た
青龍は呆然としながら立ち尽くした
「ただの身長2メートルマッチョのゲイ男子でしょう 大体そんな恰好でうろつくからじゃ
はやくシャワー浴びておいで 天使さんに恥ずかしくないのか?
知らないホモにホイホイについていくなってあれほどいったでしょう」
青龍はウグウグと目をこすりながらシャワーに走って行った




