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清明様の憂鬱番外編 青龍と天使⑱

 外は寒かった


  寒くって乾燥していた でも楽しい たわいない話をしながら歩く



 時々並んだ車 車のフードに光る町の灯を眺めた


  暗くなるとますますこの街は本気を出す 一瞬の昼と夜のお別れパーテイ


 あちこちに輝きだすネオンピカピカのリムジンが渋滞を作る

  

 この大勢の人達はどこに向かっているんだろうなんだか不思議な感じがする


  天使が入ったのは高いビルの中エレベーターだった


 「こんなとこにプールがあんのか?」


  天使はいたずらっぽく笑って「お楽しみ」と言った


 それから「手を出して」と言ったのでポケットから手を出すと


 その手が暖かくなった


  缶入りの紅茶がのっている


 「ああ ありがとう」と言って缶を開けた


  いつも人を喜ばせようとしてるみたいだ


 でもそれが痛々しく見えるのはなぜだろう


最上階で降りて天使がこっちっと言った


 冷たくて掃除の行きとどいた 


長い廊下がある 扉を開けて小さな部屋を抜けるとプールがあった


 ただのプールじゃない 飛び切りに豪華なプールだ ターコイズブルーのタイルが敷き詰めてあって


 奥には大きなはめごろしの窓があり夜景が広がっている


 「なんでこんなとこにこんなもんがあるんだ」と言うと俺の顔を見て柔らかく笑った


 「この街には特別の招待客の為に秘密の場所があるんだよ」


「特別の招待客って?」


 「さあ たぶんカジノで大勝した人とか お金をたくさん使ってくれた人とかじゃないかな」


 水に触ってみた 清潔だ エンソの匂いもしない 夜景の見える大きくて完璧な水を張ったプール


なんという贅沢


 「泳ごう」と言ったが天使は首を振った


  俺はなんだか待ちきれなくなって一人で着替えて泳ぎだした


ひとしきり泳いで天使が座っているところに行って顔を出した


 「すごいな君の泳ぎ方小さくて素早い魚みたいだ あっちこっちすいっとに飛ぶ魚」


 「 だから人間の前では本気で泳げないんだ いざとなったら潜っていられるけど


それよりなんで泳がないの?」


  裸足の天使は曖昧に笑った 「あまり泳げないんだ」


「俺がいるから大丈夫だと思うけど天使も溺れるのか?」と聞くと


 「まあね」と言ってまた笑った




 


   







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