清明様の憂鬱 特別篇 青龍と天使 ⑰
けんけんけのけ
とうりゃんせ
狐のお茶室 はいりゃんせ
幽かな歌声が聞こえた
ここは長い間いろんな狐たちが心願を込めた場所なのでその念が残っている
今から自分も戦わなければならない
天使とはどういう者だろう 神の使い正しく清らかでまっとうな物
相手を理解するためには自分を相手の位置まで自分を持っていくのが一番だが
相手がわからない場合にはよほどの勇気がいる
それでも自分にも多少の経験と言う所産がある
それにかけてみよう 名誉も勇猛も必要ない 必要なのは・・・・
あの清らかな月
目を閉じてぼうっと遠方にぼんやりと薄明るく赤くそれからだんだんと澄んで透明に
輝く月と月の光を思った
その時誰かが入ってくる気配がしてゆっくりと目を開けた
青龍がうろうろと歩き回りながら待っていると狐が天使を連れて出てきた
思わずほっと胸をなでおろす
狐は天使をソファーに案内すると自分をとなりの部屋に連れて行った
「どうだった お前何か失礼してないだろうな」
「あのね 彼自体はもんだいないんじゃ ただねちょっと気になることがあって
これからプール行くんだってそしたら天使さんの体に何かないか見てきて」
「あ?」
「だからね 体に変なあざとかとか入れ墨っぽいものがないか見てきてって
言うとるんじゃ」
「お前 体を見ろってやらしいな なんかセクハラしたんじゃないのか」
とたんにどおんといって体が吹っ飛んだ
不意打ちだったので 反対側の壁まですっ飛んで後頭部を打った
「 ぎゃっあ いきなり なんだ」
「なんでこの流れでそんなことになるんじゃ なぜあんなものまで取り寄せてセクハラするんじゃ
そういうこと考えるお前が浅ましい 天使と遊ぶ資格はないわ 玄武様降臨してやるわ ああん?」
顔色が変わっている 俺も顔色が変わるのがわかった
「ごめんなさい」素直に謝ると少しだけ優しい顔になって「お前水着持ってんの?」
「あ忘れた」
「そうだと思ってそこに置いておいた お守りも忘れんな」と言ってさっさと行ってしまった
隣の部屋に行くと打って変わって愛想がよくにこにこと笑いながら
「楽しんできてくださいね♡」と天使に笑いながら言った
後頭部がまだ痛んだが天使とプールだっと思うと気分がよくなった