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清明様の憂鬱 特別篇 青龍と天使 ⑯
着替えて出て行くと 嫌な臭いがした
「おい フロンガスをまき散らすな 地球に厳しい奴だな」
「何言ってんのただのヘアスプレーでしょ」狐は和服に着替えて髪も結っている
「それから天使さんが来たらお茶室まで案内してまあこのお茶室自体が強力な結界だけども敵は何かわ
からん
だからちゃんと見はっておいてね」立ち上がって帯を治しながら狐が言った
「わかった」と言うとうなずいてにっこり笑った
「ちゃんと飲みやすいように薄茶にするからお菓子もおいしいわよ」
そして 天を仰いで目を閉じた 集中しているのがわかったので俺は黙っていた
( 狐茶室よ狐茶室 いで浮き我を迎えよ)と言って印を切った
結界の向こうで小さな木戸が開いた
ふっと息をついて目を開けると霞をまとったような曖昧で優しい表情になってすっと背筋を伸ばし結界を
超えて歩いて言った
その時ちょうど窓がコツンとなった
俺は立ち上がって窓を開け部屋に入れてから事情を説明しに行った