清明様の憂鬱 番外編 青龍と天使⑪
天使はこないだよりラフな服装で来ていたが変わらずゴージャスだった
街に出ていろいろなところに入れるように今日は人間にも見えるようになっている
この街には何でもある 光と色の洪水 いろいろな人種 いろいろな音と匂い
最初はあっけにとられて気分が勝手に浮き上がるのを感じていろいろなものに魅入られた
俺が喜ぶと天使が笑う
笑うとすごく優しい顔になってその顔を見ると嬉しくなる
周りにもテンションが上がった旅行者がたくさんいていろんな種類の精気を振りまきながら
歩いていく
ダウンタウンに向かうともっと違った種類の人間がたくさんいた
天使はこの街に住む人や働く人たちだと言った
繊細で綺麗な顔をした薬中毒者 派手な服で壁に寄りかかって煙草をふかす女や男
荒廃と退廃破滅に突き進む人々
ほんの息抜きに華やかなカジノとレストランをリムジンで回る大金持ち
対照的な存在が親密に重なり合って成り立っているのが理解できた
葛の葉がわかりやすいと言っていた意味が分かったここは極端である意味シンプルだ
人々はきっちりと分別されている
「少し疲れたな」と言うと静かなレストランに案内してくれた
暗くてあまり贅沢でない普通のレストランだ
俺は落ち着いたが 天使にはあんまり似合わないと思った
天使がジンライムを頼んだ
飲んだことがなかったので同じものにした
それから聞かなくちゃならない事がある
「まだ名前を聞いてないけど」俺が言うと「ああ レグと言うんだ 君は?」
「青龍」 「セーリュ?」発音しにくそうに言った
「うーんと発音しにくかったら 何でもいい リュウ とか シューリューケンとか ソニーリュウ
とか」
天使じゃなかった
レゴじゃなかったレグは楽しそうに笑った
俺もまた嬉しくなって笑った
そこにジンライムが来た プレートに乗ったサンドイッチも
一口飲んで恐ろしくまずいと思ったが口に出すのはやめたでもやっぱり顔に出てしまったらしい
「どうした 」天使が言った 俺が「石鹸の味がする」というとまた楽しそうに笑った