清明様の憂鬱 番外編 青龍と天使 ①
ああ面白い 楽しいな 楽しくって面白い
おっきなバスで水好きなだけ使って潜ったりぐるぐる回ったりとかしても怒られないし
前は長風呂すると怒られたし水使いすぎても怒られたし風呂には水量を増すためにペットボトルが
入ってたので暴れられなかったしでも今水使い放題で何時間入っても怒られない
昨日食べたサーロインは激烈においしかったしビロードの箱に入ったチョコレートも食べた
あの女狐と同じ部屋に泊まるのかと思ったらうんざりしたけどなんとこのホテルには
二部屋あった 大きなベッドとまっさらなシーツ
おまけにバスも二つ
ノックの音がして葛の葉の声がした
「ちょっと 香水忘れたから入っていい?」
「あ なんだ お前のぞく気か?」と言ったら
「そんなわけないだろう」といって扉を抜けて入ってくる
甘ったるいにおいがした
「なんで自分のバスルーム使わないんだ」シャワーカーテンの中から眼だけ出して聞いた
「使うけどこっちのほうが入り口に近いから置き忘れたの それよりこれどーよ」
葛の葉はぴったりした黒いドレスを着て自慢げに言った
「どうしたんだ それ」と聞くと 「昨日買ったの」と嬉しそうに言った
「新小岩のスナックのママみたいだ」と言ったら人を睨みつけやがった
「お前 そんなとこに出入りしてたのか
無駄遣いしおって」
あ 怒っていたのはそっちか
ちょっと違うと思うけど
「 5年ぐらい前の話だそ それに入り浸ってない2、3回だ 」
また人をにらみつけた
「漁師仲間におごってもらったんだ それにそんな高そうなドレス買いやがって
俺にもタキシード買ってくれるんじゃないのか」と聞くと
「お前が風呂ばかりはいってるからだろう、何時間入れば気が済むんじゃ」
「だって 快適なんだからしょうがないだろう」
「とにかく出かけるから・・・」と言って出て行ってしまった