寂しさ真空パック
私はきっとホットミルクを飲んでいた。
少し蒸し暑い日だった。
私は季節の移動ができていなくて、
熱い飲み物を長袖を着て飲んでいる。
少し汗をかいた。
窓の外が青いから、外へ出てみた。
落ち着く青で、とても気分が良かった。
ライトをつけた車がすぐそばを通り抜けても、
全然怖くなかった。
ふらふら、ゆらゆら夜に潜った。
大きなものが転がる音は
少しづつ遠くへと進んでいるようだった。
私は、ポケットに光があることに気づいた。
でも、気づかないふりをした。
小学校のころに書いた日記には、おばけの猫がいた。
今、電線の上を飛んでいるあの猫かもしれない。
私は家の冷蔵庫からブルーハワイを取り出し、
猫の方へと投げた。
今日は青の日だったから、
周りに溶け込んでしまうかと思った。
ブルーハワイの青は
キラキラ光るので猫にも見えたようだった。
前足を使い、キャップを開けると、
ゴクゴクゴクと飲み出した。
私は古い友だちに会ったような気分になった。
私はあの猫のおばけに
いろんな色の飲み物を飲ませては眺めていたのだ。
お化けの猫は足から真っ青になっていく。
少しずつ上へ、まだらに白が残るものも、
最後の一滴を飲む頃には無くなっていた。
青い猫に私は見とれていた。
すると私と同じように、
おばけの猫を見ているものがいた。
小さな魚だった。
おばけの猫は、泣き虫な魚を連れていて、
魚は自分の涙の中を泳いでいるようだった。
私は食べられてしまうのではないかと
ハラハラしたが、おばけの猫は、
ブルーハワイは飲むけれど、
魚は食べないみたいでした。
私は写真を撮ろうとしたけれど、
おばけの猫はおばけなので写らない。
魚も写らなかったので、
あれもきっとおばけの魚だったんだ。
家に帰ると、青い色はくすんでいて、
代わりに私のケータイには電信柱と青い夜の寂しさが真空パックされた写真が残った。