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Re:氷天の波導騎士  作者: 牡牛 ヤマメ
01〈勇者の帰還〉編
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第一章 (4)


 

 校門をくぐったところで、ふらふらとおぼつかない足取りでクラスの下駄箱に向かう女子生徒が目に入った。後頭部で結われた茶髪が右に左にと揺れている。


「知り合いですか?」


 真宵後輩は俺の視線の先を目敏く察知すると棘が割り増しになったような口調で訊いてくる。

 柊の一部を鋭く睨み付け、自分のと比べてものすごく落ち込んでいた。私も五年も経てば、などという小さな呟きは聞かなかったことにしておく。

 たしかに異世界にいた頃は豊満とまではいかずとも、戦闘で激しく動けば揺れるほどには肉付きがあった。だが異世界から帰還した俺たちは、死にかけた際の傷跡や鍛えた肉体だけでなく、旅をした五年間の成長もなくなっていたのだ。


「ただのクラスメートだよ」

「……ふうん。そうですか」


 真宵後輩の訝しむような視線がひしひしと伝わってくる。ありのままを答えたはずなのになんでそんなに疑われなければならないのだろうか。


「そんなに胸がいいんですか、先輩……?」


 朝っぱらから身の毛もよだつ真宵後輩の声にたらりと眉間を汗が滑り落ちた。壊れたブリキ人形のような動作で首を横に振れば、生気の抜け落ちた奈落の底のような瞳が静かに俺を覗いていた。


「だ、誰もそんなこと言ってねぇだろ」

「ほんとうですか? 私にはあの人の駄肉に見蕩れてみっともなく鼻の下を伸ばしていたようにしか見えなかったのですが」

「ンなわけねぇだろ。バカなこと言ってんなよ」

「バカなことではありません。とても重要なことです」


 無表情でそう言われても困るんだが。俺に言わせれば胸なんて飾りだ。

 よくわからないこだわりで迫ってくる真宵後輩を躱して柊の背後に忍び寄る。


「よっす柊。ふらふらだけど大丈夫か?」

「ひょわっ!?」


 柊は奇声を発して面白いほど大きく肩を上下させた。背筋と、どういう仕組みなのかポニーテールまで真っ直ぐに伸ばしてぎこちない動作で振り返った柊の頬は、熟れた林檎を彷彿とさせるほど真っ赤に染まっていた。


「よ、よ、よー、ととと冬道か。お、おは、おはよー」

「いくらなんでも噛みすぎだろ。まだ昨日のこと気にしてんのか?」


 どうやらまだ誉められたことが恥ずかしいらしい。容姿を誉められたことなんて何回もあるはずなのに、いくらなんでも不馴れすぎるだろ。それとも今までは冗談だと思って流してきたのだろうか。

 溜め息混じりに言えば、柊は顔を真っ赤にしたまま、


「は、はぁ? べべ別に気にしてねぇし。気にしてねぇしっ!!」

「なんで二回も言ったんだよ」

「そんなんあたしの勝手だろ!? い、いいか。気にしてねぇって言ったら気にしてねぇだからな!」

「わかったから離れろ暑苦しい!」


 ずいっと顔を近づけてきたかと思えば肩に掴みかかって前後に揺さぶってくる柊に叫ぶ。ぴたっと挙動を止めた俺と柊の距離は思いのほか近く、お互いの吐息を感じられるほどだった。

 しかし俺にはそれにドキドキする余裕はなかった。しこたまアルコールを摂取したらこうなるのではないかと思われる酔いに襲われ、二歩三歩と後ずさってその場に踞る。逆流してくる朝食を口元を押さえて堪える。

 背中を真宵後輩が優しく撫でてくれて、吐き気も収まってきた。

 俺は弱々しく立ち上がり、挙動不審な柊をじろりと一瞥する。


「お前、照れ隠しにそれはやめろよ」

「や、照れ隠しとかじゃねぇんだけど、さ……」


 両手の指を絡めて内股でもじもじする姿は、いつもの勝ち気な柊とギャップがあって大変可愛らしく見えるはずなのに、いかんせん脳を激しく揺さぶられたばかりである。むしろ俺を苛めて恍惚としているようにしか映らないのは当然のことだろう。

 喉に引っ掛かる酸の味に眉をしかめる。


「つうか冬道があたしを……か、可愛いなんていうから悪いんだろ!」

「……っ!?」


 真宵後輩の首が勢いよく俺の方に回る。瞼が裂けんばかりに見開かれ、驚愕と不安の色が濃く彩られていた。無意識なのか俺の制服の裾をぎゅっと握りしめている。

 正面には頬を上気させ上目遣いで睨んでくる柊。

 周りにすればとんでもない修羅場だった。その証拠に生徒たちが遠巻きに俺たちを見てひそひそとしている。

 なにせ真宵後輩は昨日の入学式の答辞で一躍有名人になったからだ。

 壇上に上がっていく姿、立ったあとの佇まい。何者も寄せ付けない神々しいまでの容姿。紡がれる声は心を鷲掴みにし、彼女に向ける欲望や嫉妬は粉々に打ち砕かれ、もはや少女は神聖視されるまでに至っていた。

 気怠そうに嫌々で棒読みで読み上げていたのに、どこをどう見てどのように解釈すればそんな間違った見方ができるのだろう。

 そしてもう一人は柊である。

 グサグサと俺に突き刺さってくる奇異の視線に居心地の悪さを感じた。


「あー、じゃあ俺が悪いってことでいいから騒ぐな。さっさと教室行くぞ」


 睨む柊の肩を叩いてそう促す。


「またあとでな、真宵後輩」

「あ……」


 真宵後輩の手から掴んでいた制服の裾がするりと逃げ出し、何もなくなった手を寂しそうに開閉している姿に後ろ髪を引かれる思いだったが、この視線を浴び続けることと天秤にかけた結果、俺はさっさと歩みを進めることにした。


     ***


 昼休みになった。


「あ、冬道! やっと見つけたぞ!」


 いきなり肩を掴まれたと認識したときには、すでに体を反転させられていた。

 

「ありゃあどういうことだ?」


 開口一番に何事だと思いつつ柊の視線を追えば、教室の前に人だかりができていた。

 柊が刺々しいので人垣を分けてレールを越えると、そういう理由かと納得させられた。

 中央からやや左にずれた最後尾の机。日が当たるようで当たらないその席は、しかし案外過ごしやすく、これといった不満はない。

 そこに黒髪を頭の脇に一つ、さながら尾っぽのように結んで揺らす少女がいた。姿勢正しく正面を無機質に見つめ、揺れず動かずの不動を保っている。机上には赤と青の包みがあり、おそらくはその席の人物を待っているのだろうと推測できた。


「なにやってんだあいつ……」


 柊にまともに答える余裕すら失った俺は、頭痛を覚えつつ少女に接近する。


「お前ちょっとこっちこい」


 真宵後輩の手を引いて立ち上がらせ、もう片方で包みの一つを掴むと、野次馬を掻き分けて教室を出る。背後で罵詈雑言に近い悲鳴が飛び交っていたが聞こえないフリを決め込む。


「そんなに急がせてどうしたんですか? もしかして、それほどまでに私が恋しかったのですか?」

「……勘弁してくれよ。お前があんなことしたら、聡明な真宵後輩は俺にどんな被害があるかわかってるだろ?」


 呆れ半分で諭すように言う。


「先輩があの人と仲良さげにするから悪いんです」

「あ?」

「なんでもありません。大変でしたね」

「……おかげさまでな」


 他人事のように言う真宵後輩に憤りを感じて声が震えるも、彼女がこういうヤツだと異世界で散々思い知らされてきたので、そのたびに培われてきた類まれな自制心でぐっと堪え、階段を上がった先にある屋上に続くドアを開け放った。

 涼しい風が俺たちの間を通り抜け、すれ違い様に髪を撫でていく。

 フェンスに囲まれた正方形の空間。それ以外には何もない殺風景な景色だった。

 周りに誰もいないことを気配を探って確認して真宵後輩の手を離し、フェンスに凭れかかるようにして腰を下ろす。真宵後輩も隣を陣取った。


「どうぞ」


 真宵後輩は俺が持つ赤い包みを差してそう言う。


「先輩のために作ってきたお弁当です。よかったら食べてください。よくなくても私が手作りしたんですから、文句を言わずに食べてください」

「文句があるとしたらお前の行動にだけだ。食べ物に罪はねぇよ」


 包みを開いて姿を現したのは飾り気のない弁当箱だった。蓋を取っ払えば、一つ一つ時間をかけて作ったと見られるおかずの品々が並んでいた。


「すげぇ豪勢だな。俺のために?」

「いつもこんな感じですよ。気合いは入れましたけど」


 おかずを一品、箸でつまんで口に持っていく。


「どうですか?」


 すかさず真宵後輩が訊いてくる。心なしか、不安そうな雰囲気が見え隠れしている。

 ゆっくりを租借してそれを飲み込むと、


「うん、美味い。さすがだな」

「当然です」


 しかしガッツポーズである。あえて見えなかったことにして弁当を食べ進める。

 旅をしてる間はパーティーの女性陣の料理の腕前が壊滅的だったので、真宵後輩が食事を用意するのが必然だった。そのときは動物の肉とか野草、キノコを簡単に調理しただけで、現地調達にしては美味しく感じられたけど、やっぱりまともな食材の方がいいな。

 つうか焼いたりするだけの加減が壊滅的に下手くそって……俺たち、よく魔王斃せたもんだ。


「それで真宵後輩や。今朝の話の続きついでに訊きたいことがあるんだがいいか?」

「もちろん構いませんよ。とは言っても、私にわかる範囲に限り・・・・・・・・・・になりますが」

「……お前がわかんねぇんだったら大抵のヤツがわかんねぇだろうよ」


 真宵後輩は異世界の書物のほとんどを読み漁り、そのすべてを記憶している。子供向けに創作されたお伽噺から歴史書、波導の成り立ちから種族間の禍根、魔獣や薬草の名前や効力、果てには役に立たないだろう知識を脳に刻み込んでいた。

 これだけで藍霧真宵という少女の元々のスペック・・・・・・・が異常であるのは言うまでもない。どうやら真宵後輩は今まで目にしてきた文字列や光景だけに限らず、十五年間と異世界での五年間のすべての記憶を、必要に応じて瞬時に思い出せる・・・・・・・・らしい。

 覚えているのとは違うのかと訊いてみたことがある。覚えているのは忘れられない、つまり記憶という書籍が剥き出しのまま放置されている状態らしい。思い出すというのは、本棚にしまわれた書籍を引っ張り出してくる行為のため、似ているようで全く異なるとのことだ。

 どちらにしろ凄いという点では大差ないだろう。


「ところで訊きたいことというのは、猛獣のようにギラギラと輝く赤い瞳についてですか?」


 両腕で体を守るように抱いた真宵後輩は、貞操の危機でも覚えたように俺から距離を置く。

 頷くのは不本意だが、訊きたいのはその通りなので否定もできない。

 箸を咥えたまま「猛獣のようには余計だ」と前置きし、


「また目ェ赤くなってるか?」

「はい。真っ赤っかです。また、ということは前にもなったんですか?」

「朝もお前がくる前にな。やっと治ったかと思ったらまた赤くなりやがったか」


 最後は愚痴るように呟いて、弁当箱の縁に口をつけて一気にかきこむ。

 空になった弁当箱をアスファルトの上に置く。


「これ、どうにかなんねぇか? さすがに赤い目を引っ提げて学校通うわけにはいかねぇからさ」


 真宵後輩は胡座をかく俺の目の前に移動して太股に手をついて体を支えると、瞼を上下に開いて眼球を覗き込んでくる。

 その際に前屈みになった彼女の胸元が見えてしまい、鼓動が一度だけ大きく跳ねた。


「なると言えばなりますが、現状ではやや難しいとしか言えませんね。症状としてはお粗末というか情けないといいますか……ふむん、ところで何故か色が濃くなったのですが、どうしてでしょうか、先輩?」


 俺の顔を両手で挟み込んだ真宵後輩はジト目を向けてくる。


「……お、お前の魅力にやられたんじゃねぇか?」

「それはそれは、どうもありがとうございます」


 眼球の動きで俺が真宵後輩の胸元を覗いてしまったのはバレているようだ。

 しかし素直に言わずにチクチク突いてくるのが彼女らしい。いやがらせを任せれば右に出るものはない。嫌な才能だ。


「それでどうなんだ?」

「波脈に異常があるわけでもありませんから、別に心配することはないですよ。こんなの、ただのお漏らしですから」

「……なんだって?」


 ついに俺の耳は天寿を全うされたのか、真宵後輩の口から理解を拒む言葉が飛び出したように聞こえた。


「聞こえなかったんですか? だから、ただのお漏らしです」

「お漏らしってなんだよ!? それとこれがなんの関係があんだよ!」

「なんの関係って――ああ、そういえば先輩には馴染みのない言い回しでしたね。すみません。今回は私の先輩への足りないおつむへの配慮が至りませんでした」


 珍しく自分の過失を認めて頭を下げたにも関わらず、自然な流れで俺を貶してくるとか徹底しすぎじゃあありませんかね。


「お漏らしというのは私たち後衛、主に術士間に通じる単語なのですけど、それでもほとんど使うことはありませんね。せいぜい、教育機関に通って戦い方を学ぶ甘ちゃんたちに多く見られる症状です。稀に高位の術士にも起こりますが、基本的に調子のいいときだけになります。勘違いしないように言っておきますが、先輩は前者です。お疲れさまでした」

「なんにもお疲れじゃねぇよ。俺はまともに戦えない口だけは達者なヤツらと一緒にすんな」

「事実その通りなのだから仕方ありません」

「……で、なんなんだよ、これ」


 頭が痛くなり、眉間を揉みほぐしながら空を仰いだ。

 真宵後輩に口で勝とうなんて一瞬でも考えたのがいけなかった。


「今朝の話の続きに近いのですが構いませんか? 少し回りくどくなりますので」

「ああ、べつに構わん」


 首肯してやれば、真宵後輩は息を吸い込む。


「異世界にあってこの世界の人間にない器官は波脈というのは、もう言うまでもありません。私たちに波脈があるのは天剣と地杖があるからです。この二つによって、私たちの肉体は限りなく異世界人と同一の構造になっています」

「まあ、短期間で一から急造したわけだから、俺みたいに無理やり回路を抉じ開けるか、お前みたいにゆっくりと馴染ませなきゃ使いもんにならかったわけだけど」

「そうですね。とりあえず波脈についてはクリアしてます。次に波動になりますが、これは異世界人が膨大に秘めているというだけで、こちらの世界の人間も微量ながら所持しています。帰還直後に自身を徹底的に調べあげましたから間違いないでしょう」

「よくもまあ、そんな余裕あったもんだな」


 俺なんて現実か夢か区別がつかなくなって一晩中混乱してたのに、えらい違いだ。

 次の日になっても足が地についてないようにふわふわして実感がなく、やっとそれを肯定できたのは、真宵後輩から会いたいという内容の電話を貰ってからだった。


「波動は、誰しもが秘めるエネルギーです。当然、異世界に召喚された記録のない私たちにもそれは適応されます。そして私たちはそのエネルギーを扱うだけの器官が生まれた――それはすなわち、扱うための肉体・・・・・・・になったということです」

「ふむふむ」

「……そこまで難しいことは言ってないのですが、ちゃんとついてきてますか?」

「もちろん。ようは元々の微量な波動が、俺たちの持ち帰ってきた石ころ二つのおかげで使えるようになったってだけだろ?」


 これでも小難しい政治にも一枚噛んだこともあるのだ。少しばかり難解な言い回しで説明されたところで、それを砕いて自分が理解できるよう細かくするだけでいい。

 俺の返答に満足したらしい真宵後輩は、滑らかな舌使いで続ける。


「肉体が適応したことで、成長の概念が生まれます。異世界人も最初から膨大な波動を持っていたわけでなく、波脈や肉体の成長に合わせて増えていったのです」

「……そうか。俺たちも進行形で波脈が成長してるから、波動の量も増えてきてるってわけか。でもそれがなんの関係があるんだ?」


 それは異世界で勇者に生まれ変わったときと取り立てて言うほどの差異はないだろう。

 しかし、こちらの世界では波動の調整がうまくいかず、俗に言うお漏らしとやらが発生している。真宵後輩が長々と説明しているのだから関係しているのだろうけど、どうにも関係性が掴めないでいた。


「異世界では生まれる前から波脈の形成が始まり、無意識に使い方もマスターしています。私たちのように試行錯誤して馴染ませる作業はありません。――つまり、成長に比例して増していく波動を、どういう形であれ確実に放出、あるいは消費してるんです」


 ですが、と言って真宵後輩は息継ぎを入れる。


「先輩は成長に比例して増していく波動を使うことなく、体内に閉じ込めてしまっています。波動を溜め込むにも限度がありますし、調整がうまくいかなくなったのは、内包できる量の限界を越えたからなんです」

「あー……そういうことか」


 真宵後輩が言いたいのはこういうことだろう。

 天剣と地杖があるおかげで波脈――波動を全身に行き渡らせる器官が根付き、比例して波動の量も増え続けることとなった。

 今はお世辞にも敵に脅威だ、と言わせるにはほど遠いとはいえ、最終的には魔王を討ち取った勇者になるわけだから、増加の速度は俺が予測するよりずっと早いだろう。

 異世界人は幼少時から波動の扱いに長けているため、いかに天才や神童と持て囃される類いでも、生活の一部になっている『常識』を使わないわけがないのだ。

 だからどれだけ波動が多くても一定以上は溜まらない。

 だが、俺は使えないがゆえに増え続けて溜まり続ける。

 その結果、溜めておける量を越え、身体が悲鳴をあげて強制的に波動の放出を始めたのだ。

 やっと放出し終えたのに、たった数十分で回復するほどには全盛期に近づいているらしい。


「じゃあ解決法はとにかく波動を使えってことか?」

「そういうことになりますね。学院の甘ちゃんたちの場合は、恵まれた環境にいるくせに力を隠そうとして、実習でもまともに扱えないがゆえになる現象です。……さっきは同じと言いましたが、私たちは特殊な例となりますね」

「そっか。……そうなると、もう一回強引に抉じ開けて術式を組めるまでにはしないと、ずっとこのままってことだな。――しゃあねぇな」


 立ち上がって首を鳴らすと、今の最低ラインである身体強化ブーストワンを全身に施す。これで多少は減っただろう。

 とはいえ身体強化ブーストで減少する波動などたかが知れている。おそらく自然回復力の方が減少値に勝っているだろう。


「すみません。こうなるとは予測していませんでした」

「いいよ、お前が気にすることことじゃねぇ。――ってわけで真宵後輩」

「はい。わかりました」


 俺が言う言葉がわかっているようで、先に返事をされてしまった。

 苦笑いを禁じ得ないなか、俺は唱える。

 そして想像を絶する痛みを感じる前に、意識が飛んだ。



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