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となりの場所と交わるとき  作者: 西野了
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Y・4 ワルキューレ猫族が風船にぶら下がって、やって来た!

 赤色の風船にぶら下がり、ワーグナーの「ワルキューレの騎行」の旋律にのって猫族がやってきた。ワルキューレ猫族と人類の命運を賭けた最終決戦の始まりだ。

 猫たちは青い鈴をつけて首とお腹に風船の紐を巻き付けて空を飛んで僕の部屋にやって来た。彼らは物凄いスピードでガラス窓をぶち破って部屋の中に入ってきた。そして壁や天井を猫パンチ、猫キックでボコボコに破壊した。彼らの最も恐ろしい攻撃は、口の中で鉄球を作りそれをミサイルのように発射するものなのだ!これでは人類は太刀打ちできない!

 そう言えば以前、猫は壁の中から出てきたと聞いたことがある。猫の体はとても硬いのだ。猫族のメンバーは白いちゃんちゃんこを着ている「白太郎」、首から黒いネクタイ模様のある「リーマン」、巨躯で怪力の茶猫「ドラ」。そして手足は短いが不屈の闘魂を持つキジ猫「マル」。それから韋駄天の「クロ」もいる。いずれも一騎当千の猫たちだ。

 司令官はうちの白猫タマちゃんらしい。彼女は人間の情報を完全把握して、猫族が決起する時を探っていたようだ。このままだと人間が地球をダメにしてしまうと思い、闘い嫌いの猫族がついに立ち上がったのだ。

 僕は雪が降るとガラス窓が壊れているので、部屋が寒くなって困ったなあと思っている。僕はとてもで寒がりで冷え性だから冬の寒さは体にこたえる。だから司令官のタマちゃんに「人類は反省してこれまでの悪行を正し善行を致しますから、皆さんどうかお引き取り願いませんか?」と哀願した。

「うにゃ」タマちゃんは蒼い瞳でクールにそう言った。

「にゃんにゃん」白太郎は僕の言葉を信じていない。

「にゃあにゃあ?」リーマンは考えてもいいのではと言ってくれた。

「・・・・・・」ドラは話すのが面倒くさいみたいだ。

「シャー!」クロは待つことができない。

「アーッ?」マルは武闘派だが意外と思慮深い。

「アウーッ、ニャニャニャニャ?」タマちゃんはそれなりの見返りを出せば考慮すると言ってくれた。

 僕は急いで電子レンジにトウモロコシを入れて加熱した。「ブーン」という音がしてポップコーンを作った。それを団扇であおいで冷ませた。それから中華そばををつくり、それも団扇であおいで適当な温度にした。最後にキャベツサイダーを出した。

「にゃーあ、あーっ」タマちゃんは納得してくれて、他のメンバーは一斉に食事をし始めた。彼らはどうやら空腹だったようだ。

 食事が終わると白太郎とクロは口の周りをペロペロなめてお掃除している。マルとドラは大人しく丸まって食べ物の消化は促進している。クロの奴は壁クロスで爪とぎしている。クロはじっとしてない。

 タマちゃんはしばらく瞑想していたが、カッと目を見開いた。

「にゃー!」みんなに号令をかけると白太郎たち5匹の戦士は紅い風船を装着した。司令官がステレオのリモコンのボタンをピンクの肉球で押した。またもワーグナーの「ワルキューレの騎行」が鳴り響き猫戦士は颯爽と帰って行った。

「フーッ」とタマちゃんは一息つき僕をじっと見た。

「今度は電気自動車に買え代えます」僕は慌てて言った。

「・・・・・・」タマちゃんは冷たく蒼い眼で僕を睨んだ。

「あっ、もう自動車は乗らないで自転車にします」僕はとっさに言ってしまった。

「うにゃ」タマちゃんはそう言うと何処かへ行ってしまった。



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