表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【 悲報 】異世界転生して即死した俺、種族ゴーストで再転生!? ~唯一、俺を認識する少女と始まる異世界逆転生活~  作者: おでこ
第2章:安住の地は魔族領!? ゴーストの新生活

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/34

第25話「ゴースト俺、浴場を作るも入浴は叶わず」


 オーク村に滞在してから一週間が経っていた。


 倉庫の整理、保存食作り、そして水路の修繕――

 文哉とエリスは、村の復興のために――様々なことを成し遂げてきた。


 村人たちからは、深い感謝を受け続けていた。


 その朝――

エリスが、文哉に話しかけた。


「ねえ、フミヤ」


「どうした?」


 文哉が、エリスの方を向いた。


「村のみんな、すごく喜んでくれてるし……感謝の気持ちも、たくさんもらったよ」


 エリスが、優しく微笑んだ。

「そろそろ、セレスティア村に向かおうかって……思うんだけど」


 文哉は――少し黙り込んだ。


 エリスの言う通りだった。

 村の主要な問題は、ほとんど解決できた。

 もう、この村を出る時期なのかもしれない。


 だが――


「エリス――もう少しだけ、待ってほしい」


 文哉が、静かに言った。


「えっ……?」


「実は――まだ、修繕すべき場所があるんだ」


 文哉が、ある方向を指し示した。

「あそこに――もう一つ、村の人たちに必要な場所がある」


 エリスが、不思議そうに首を傾げた。


「必要な場所……?」


「ああ」


 文哉が、真剣な表情で説明する。


 エリスの目が――少し見開かれた。


「浴場……お風呂?」


「そうだ。水路を探していた時に――井戸の近くに、浴場の跡を見つけたんだ」


 文哉が、説明を続ける。


「恐らく――数年前、この村を占領していた人間たちが作ったものだと思う」


「その時に――色々な設備を作ったんだと思う」


 エリスが、納得したように頷いた。


「修繕すれば――使えるようになる」


 エリスは――少し考え込んだ。

 確かに――この旅では、水で体を拭くことしかできていなかった。


 お風呂――温かいお湯に浸かること。


 それは、エリスにとっても――恋しいものだった。


「お風呂……入りたいな……」


 エリスが、小さく呟いた。


「それに――村の人たちにとっても、きっといいものになる」


 文哉が、続けた。


「体を清潔に保てるし――疲れも取れる」


 エリスが、頷いた。


「うん……じゃあ、作ろう!」


 ◆


 村長オークに――浴場のことを尋ねた。


「ブモ……? ブモモ……?」


 村長が、首を傾げている。


「えっと……浴場って、知らない?」


 エリスが、訳す。


「ブモ……ブモモ……」

 村長が、困惑した様子で答えた。


「浴場って何か――分からないんだって……」


 エリスが、文哉に伝えた。


(そうか……オークたちは、浴場を知らないのか)


 文哉は、少し考えた。


(人間が占領していた時――オークたちは村にいなかった)

(だから、人間が作った浴場のことを――知らないんだな)


「エリス――こう伝えてほしい」


 文哉が、エリスに説明を始めた。


「浴場っていうのは――温かいお湯に、体を浸ける場所なんだ」


「体の汚れを落として――疲れを癒す」


「それに――気持ちも、すごくリラックスできる」


 エリスが、一生懸命――村長に説明する。


「ブモ……? ブモモ……?」


 村長は――よく分かっていない様子だった。


「必要なものなのか――分からないって……」


 エリスが、困った様子で文哉に伝えた。


 だが――

「大丈夫。絶対に、いいものになる」


 文哉の声には――強い確信があった。

 その熱量が――エリスにも伝わってきた。


(フミヤ……すごく、本気だ)


 エリスは――文哉の気持ちを、村長に伝えることにした。


「あのね、村長さん――」


 エリスが、真剣な表情で言った。


「きっと、みんなの役に立つから――信じて」


 村長オークが――エリスの真剣な表情を見て、頷いた。


「ブモ……ブモモ」


「分かったって……作ってみようって」


 エリスが、嬉しそうに笑った。


 ◆


 浴場の修繕が――始まった。


 村の外れ――森に近い、少し開けた場所。


 そこには――崩れかけた石造りの建物があった。


 文哉が、『鑑定』で状態を確認する。


【浴場跡:建造時期 約5年前 / 建造者:人族】

【広さ約40平方メートル / 浴槽:2つ(男湯・女湯)】

【排水設備:機能あり / 給水設備:地下水路に接続可能】

【修繕必要度:中】


 文哉が、エリスに説明する。


「浴槽が二つある――男湯と、女湯に分かれてる」


「排水も、ちゃんと機能してる」


「それに――地下水路から、水を引けるようになってる」


 エリスが、目を輝かせた。


「すごい……ちゃんとした、お風呂だ……!」


 ◆


 修繕作業は――丁寧に進められた。


 崩れた石壁を――オークたちが修復していく。

 浴槽の底に溜まった土砂を――きれいに取り除く。


 文哉が、給水設備を調べて――地下水路との接続方法を考える。


 エリスが、オークたちに――作業内容を伝えていく。


 そして――

 火を焚いて、お湯を沸かす設備も作った。


 石を積み上げて作った簡易的なかまど――

 そこで薪を燃やせば――お湯が沸く。


 数日後――

 ついに、浴場が完成した。


 ◆


 村長オークが――恐る恐る、男湯に入った。


 石造りの浴槽には、温かいお湯が満たされていた。

 湯気が――ゆっくりと、立ち上っている。


「ブモ……?」


 村長が、お湯に手を入れてみる。


 温かい――

 村長が、ゆっくりと――浴槽に入っていく。


 そして――


「ブモォォォォォ――――ッ!!」


 村長の叫び声が――浴場に響き渡った。


 エリスが、驚いて駆け寄る。


「村長さん!? 大丈夫!?」


「ブモモモ……! ブモ……! ブモモモモ――ッ!!」


 村長が――感動した様子で、お湯に浸かっている。


 エリスが、笑いながら訳した。


「すごく気持ちいいって……!」


「こんなに素晴らしいものは――初めてだって……!」


 他のオークたちも――次々と、浴槽に入っていく。


「ブモ!」

「ブモモ!」

「ブモォォォ――ッ!」


 オークたちの感動の叫び声が――浴場中に響き渡った。

 文哉は――その光景を見て、満足そうに微笑んだ。


(やっぱり……お風呂は、いいものだ)


 ◆


 その夜――

 エリスが、女湯に向かおうとした時。


「フミヤ――」


 エリスが、少し恥ずかしそうに言った。


「壁、通り抜けられるからって――覗いちゃダメだよ?」


 その瞬間――

 文哉の光の色が――ふっと、変化した。


 普段の優しい白い光が――ほんのりと、ピンク色に染まる。


 エリスが、その変化に気づいた。


「……あれ? 光の色、変わった」


 エリスが、じっと文哉を見つめる。


「え、えっと……!」


 文哉が、少し慌てた。

 光の色が――さらに濃いピンク色に変化する。


「……エッチ」


 エリスが、少し頬を膨らませて言った。


「ち、違う! これは……!」


 文哉が、必死に弁解しようとする。


 だが――光の色は、正直だった。


 エリスが、くすっと笑った。


「冗談だよ――でも、本当に覗いちゃダメだからね」


「わ、分かってるよ……!」


 文哉が、真剣な声で言った。

 エリスが、にっこりと笑って――女湯へと入っていった。


 ◆


 エリスが女湯に入った後――


 文哉は、一人――浴場の外で、途方に暮れていた。


(……やばい)


 文哉の光は――まだ、ピンク色に染まったままだった。


(覗くつもりなんて――全くないのに……!)


 だが――壁を通り抜けられる、という事実。

 エリスが、今――お風呂に入っている、という事実。

 それだけで――文哉の心は、妙にざわついていた。


(落ち着け……落ち着くんだ、文哉)


 文哉は、必死に自分に言い聞かせる。


(覗いたら――犯罪者だ)

(覗いたら――信頼を裏切ることになる)

(覗いたら――エリスに、嫌われる)


 文哉は――自分を律しようと、必死だった。


(絶対に――覗かない)

(僕は――そんなことをする男じゃない……!)


 だが――


(……まあ、幽霊なんだけどね)


 文哉は、自虐的に呟いた。


(男ですらない……幽霊だ)

(犯罪者になりようもない……だって、僕は存在していないんだから)


 そう考えると――少し、虚しくなった。


(ああ……僕は、幽霊なんだな)


 文哉は――静かに、ため息をついた。

 その時――女湯の方から、エリスの楽しそうな声が聞こえてきた。


「はぁ……気持ちいい……」


 文哉の光が――再び、ピンク色に染まりかける。


(ダメだ――!)


 文哉は、慌てて――浴場から離れた場所へと移動した。


(距離を取ろう……そうしよう……!)


 文哉は――村の広場まで、逃げるように移動した。


 そして――夜空を、ぼんやりと見上げた。


(僕は……幽霊だから)


(エリスと――そういう関係には、なれない)


 文哉は――静かに、呟いた。


(でも――それでいいんだ)

(エリスが、幸せでいてくれれば――それで……)


 月明かりが――文哉の光を、優しく照らしていた。


 ◆


 女湯――


 エリスは、ゆっくりと服を脱いだ。

 この旅の間――ずっと、水で体を拭くだけだった。


 久しぶりの、お風呂――体を流してから

 エリスが、恐る恐る――お湯に足を入れてみる。


「……っ」


 温かい――

 そして――気持ちいい。

 エリスは、ゆっくりと――浴槽に体を沈めていった。


「はぁ……」


 思わず、ため息が漏れた。

 お湯が――体を優しく包み込んでくれる。

 旅の疲れが――ゆっくりと、溶けていくようだった。


 エリスは、肩までお湯に浸かって――目を閉じた。


(気持ちいい……)


 髪を洗う――

 お湯で、丁寧に流していく。


 体も――きれいに洗った。

 久しぶりに――ちゃんと体を洗えた。


 エリスは、再び――お湯に浸かった。

 湯気が――ゆっくりと、立ち上っている。


 石造りの天井――そこから、微かに月明かりが差し込んでいた。


(ああ……幸せ……)


 エリスは――心の底から、リラックスしていた。


 この村に来てから――色々なことがあった。

 倉庫の整理、保存食作り、水路の修繕――

 そして、浴場作り。


 文哉と一緒に――たくさんのことを、成し遂げてきた。


(フミヤ……ありがとう)


 エリスは――静かに、微笑んだ。


(フミヤのおかげで――みんな、幸せになれた)


 お湯の温かさが――体の芯まで、染み渡っていく。

 エリスは――ゆっくりと、目を閉じた。


 ◆


 しばらくして――


 エリスが、女湯から上がってきた。

 文哉は、すでに――平常心を取り戻していた。


 光の色も――元の優しい白色に戻っている。


「フミヤ――すっごく、気持ちよかった……!」


 エリスが、嬉しそうに言った。


 髪が――まだ少し、湿っている。


 ほんのりと上気した頬――


 リラックスした表情。


「それは、よかった」

 文哉が、優しく微笑んだ。


「フミヤも――入りたかった?」


 エリスが、少し申し訳なさそうに尋ねた。


「いや……僕は幽霊だから、お風呂は必要ないんだ」


 文哉が、穏やかに答えた。


「でも――エリスが喜んでくれて、それで十分だよ」


 エリスが――嬉しそうに笑った。


「ありがとう、フミヤ」



------------------------------------------------------------


【名前:中田文哉 / 種族:ゴースト / 年齢:28歳(死亡)】

【スキル:鑑定 / ポルターガイスト(中) / レベル:2】

【ステータス:HP??? / 攻撃力??? / 防御力???】

【特性:物理無効 / 視認不可 / 壁抜け / 浮遊】


【名前:エリス・ラ・ヴァランティエール / 種族:人族 / 年齢:16歳】

【特殊能力:生者と死者の境界視認 / 霊体との意思疎通 / 霊体使役(小)/ レベル:5】

【ステータス:HP115 / 攻撃力+6 / 魔力??? / 精神力:大】

【装備:短剣(攻撃力+2)/ オークの村からの贈り物(お守り)】

村の復興編もそろそろ終盤になってきました!

次回も明日更新予定です!

よろしければブックマークの登録/評価よろしくお願いします^^

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ