第16話「ゴースト俺、少女と旅立つ」
翌日。
文哉とエリスは、いつもの路地裏で会っていた。
「頑張ったね、エリス」
文哉が、優しく言った。
「うん……」
エリスが、地図と鍵を握りしめていた。
「セレスティア村……私の、故郷」
「そこに行けば、君の力のことが――分かるかもしれない」
「うん……!」
エリスが、嬉しそうに頷いた。
けれど――すぐに、表情が曇った。
「でも……街の外に出るの、怖いな……」
「魔物が、いるからね」
文哉も、それは理解していた。
この世界は、人族と魔族が争っている。街の外には、多くの魔物が徘徊している。
レベル5程度の弱い魔物から、レベル30を超える強力な魔物まで――様々だ。
(エリスは、戦闘能力がない……)
文哉も、ゴーストになってからポルターガイストの力を得たが――それでも、魔物と戦えるほどではない。
(どうすれば……)
文哉が、考え込んだ。その時――エリスが、文哉を見上げた。
「ねえ、フミヤ」
「ん?」
「私……行きたいの。怖いけど――行きたい」
エリスの瞳には、強い決意が宿っていた。
「このまま、ずっとここにいても――何も変わらない」
「だから……勇気を出して、行ってみる」
エリスが、拳を握りしめた。
「フミヤが、一緒にいてくれるなら――私、頑張れる」
文哉は――その言葉に、胸を打たれた。
エリスは、本当に――強い子だ。怖くても、前に進もうとしている。
(なら……僕も、覚悟を決めないとな)
文哉が、エリスの前に――しっかりと立った。
「分かった。じゃあ、準備をしよう」
「準備?」
「ああ。旅の準備だ」
文哉が、真剣な表情で言った。
「食料、水、地図、それから――護身用の武器も必要だ」
「ぶ、武器……?」
「念のため、だよ。魔物に襲われた時のために」
エリスが、少し不安そうな顔をした。
「で、でも……私、戦えないよ……」
「大丈夫。僕が、君を守るから」
文哉が、力強く言った。
「ゴーストの力で、できることを――全部やる」
「それに――」
文哉が、少し考えるように続けた。
「エレナの『霊体使役』の力も、使えるかもしれない」
「霊体使役……」
「ああ。夜になれば、周りの霊体に頼んで――物を動かすことができるだろう?」
「う、うん……でも、それって……」
「戦闘にも、使えるかもしれない」
文哉が、真剣な表情で言った。
「石を投げたり、枝を動かしたり――直接戦わなくても、魔物を撹乱することはできる」
エリスが、目を輝かせた。
「そっか……私にも、できることがあるんだ……」
「ああ。君は、特別な力を持っている」
文哉が、微笑んだ。
「その力を、一緒に活かそう」
「うん……!」
エリスが、嬉しそうに頷いた。
◆
その日の午後。文哉とエリスは――旅の準備を始めた。
エリスは、僅かなお金で――保存食と水筒を買った。短剣も一本、購入した。
「これで……いいかな」
エリスが、荷物を確認している。
文哉は、その様子を――透明な姿で見守っていた。
(食料は三日分……水も十分ある)
(武器は短剣一本だけど……まあ、ないよりはマシだ)
文哉が、『鑑定』で荷物をチェックする。
【保存食×6:鮮度90% / 保存期間 残り15日】
【水筒×2:容量満タン / 清潔度 良好】
【短剣:攻撃力+2 / 耐久度85%】
【エレナの形見の鍵:用途不明 / 古びているが頑丈】
質素だが――これで何とかなるだろう。
「よし、これで準備は整った」
文哉が、エリスに言った。
「明日の朝、出発しよう」
「う、うん……!」
エリスが、緊張と期待が入り混じった表情で頷いた。
その夜――エリスは、なかなか眠れなかった。明日から、初めての旅が始まる。
怖いけれど――同時に、ワクワクもしていた。
(私の故郷……セレスティア村)
(そこに行けば――私の力のこと、分かるかもしれない)
(そして――フミヤのことも……)
エリスの胸に、温かい気持ちが広がった。
(フミヤを、助けられるかもしれない)
それが――エリスの、一番の願いだった。
◆
翌朝。
夜明け前の薄暗い時間。
エリスは、荷物を背負って――家の前に立っていた。
育て親は、まだ眠っている。文哉が、エリスの隣に浮かんでいた。
「行こうか、エリス」
「うん……」
エリスが、深呼吸をした。そして――静かに、家を後にした。
城下町の門は、夜明けと共に開かれる。エリスと文哉は――門の前で、少しだけ待った。
やがて――門が、ゆっくりと開いていく。
「さあ、行こう」
文哉が、優しく言った。
エリスが――一歩、踏み出した。城門をくぐり――街の外へ。目の前には――広大な平原が広がっていた。
朝日が、地平線から昇り始めている。
エリスは、その光景を――じっと見つめた。
「綺麗……」
「ああ。綺麗だね」
文哉も、同じ景色を見ていた。
二人は――並んで、前を向いた。セレスティア村へ。エリスの故郷へ。そして――二人の未来へ。
新しい旅が――今、始まった。
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【目的地】
セレスティア村:ルミナス王都から北東に三日の距離
- ヴァランティエール家ゆかりの地
- 山間部の小さな村
- 「聖女の一族」の秘密が眠る場所
【エリスの装備】
【保存食×6:鮮度90% / 保存期間 残り15日】
【水筒×2:容量満タン / 清潔度 良好】
【短剣:攻撃力+2 / 耐久度85%】
【地図:セレスティア村への道のり記載】
【エレナの形見の鍵:用途不明】
【エリスの決意】
- 自分の力の秘密を知りたい
- フミヤを助けられる方法を見つけたい
- 怖くても、前に進む勇気を持つ
【判明した情報】
- エリスの母親の名前:エレナ
- ヴァランティエール家は「命を操る力」を持つ聖女の一族
- 両親は迫害から逃れてルミナスへ
- 育て親はエレナと何らかの深い関係があった(詳細不明)
ついに文哉たちが旅立ちました。
ここからどのような展開になっていくのでしょうか?
次回もお楽しみしてください!明日も更新予定です!
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