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【 悲報 】異世界転生して即死した俺、種族ゴーストで再転生!? ~唯一、俺を認識する少女と始まる異世界逆転生活~  作者: おでこ
第2章:安住の地は魔族領!? ゴーストの新生活

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第15話「ゴースト俺、少女の勇気に立ち会う」


復讐が終わってから、一週間が経った。


 文哉とエリスは、いつもの路地裏で――静かな時間を過ごしていた。

木箱の上に座るエリスと、その隣に浮かぶように立つ文哉。二人だけの、穏やかな時間。


「ねえ、フミヤ」

 エリスが、ふと空を見上げながら呟いた。


「最近、考えてることがあるの」


「何?」

 文哉が、エリスの方を向いた。


 エリスは、少し迷うように視線を泳がせてから――小さく口を開いた。


「私……自分の力のこと、もっと知りたいの」


「力?」


「うん。なんで私だけ、光が見えるのか。なんでフミヤと話せるのか」

 エリスの声は、どこか切実だった。


「ずっと、変だって言われてきた。でも――」


 エリスが、文哉を見上げた。


「フミヤに会って、初めて思ったの。この力は、変なんかじゃないって」

「だから……知りたいの。私のこの力が、何なのか」


 エリスの瞳には、強い意志が宿っていた。


 文哉は――その目を見て、胸が熱くなった。


文哉の脳裏に、かつての自分の姿が浮かんだ。

地球にいた頃も、異世界に来てからも――いつも受け身で、流されるままに生きてきた。


(けれど、エリスは違う)


(エリスは……自分から、答えを探そうとしている)

(僕にはできなかったことを、この子はやろうとしているんだ)


 文哉が、優しく言った。


「エリスの力について、知る方法――何か、心当たりはあるの?」


 エリスが、小さく首を横に振った。

「ううん……分からない。でも――」


 エリスが、少し考えるように視線を落とした。


「お母さんに、聞いてみようかなって……思ってる」


「お母さん?」


「うん。育ての母、私のこと嫌ってるけど……でも、私の本当の両親のこと、知ってるはずだから」


 文哉は、あの日のことを思い出した。エリスの腕を乱暴に掴み、引きずっていった中年女性。


(あの人か……)


 正直、文哉はあの女性のことを――好きになれなかった。

 エリスを虐待しているようにしか見えなかったから。けれど――エリスは、そんな相手にも勇気を出して、話しかけようとしている。


「エリス、君は――強いな」

 文哉が、静かに言った。


 エリスが、不思議そうに首を傾げた。

「強い……?」


「ああ。僕なら、怖くて聞けないと思う」


「でも、君は――自分の未来のために、一歩を踏み出そうとしている」文哉は、本心を口にした。


 エリスの頬が、わずかに赤くなった。

「そ、そんな……私、強くない……」


「それでも、行こうとしてる。それが、すごいってことだよ」


 文哉が、微笑んだ。

「僕も、一緒に行く。君が怖くないように――側にいるから」


 エリスの目が、潤んだ。

「……ありがとう、フミヤ」

 エリスが、嬉しそうに笑った。


 ◆


 その日の夕方。

 文哉とエリスは――あの中年女性の家へと向かった。


 城下町の外れにある、古びた木造の家。

 看板には「雑貨屋」と書かれていたが――客の姿は、ほとんど見当たらなかった。


「ここが……エリスの家?」


「うん……」


 エリスが、小さく頷いた。その表情は――緊張で強張っていた。


「大丈夫。僕がいるから」

 文哉が、励ますように言った。


 エリスが、深呼吸をして――扉をノックした。コンコン。


 数秒後――扉が開いた。

 そこには、あの中年女性――エリスの育て親が立っていた。


「……エリス? 帰ってきたのかい。まったく、お前は……」

 女性の声には、呆れたような響きがあった。


「あ、あの……少し、お話が……」


 エリスの声が、震えている。


 女性は、面倒くさそうに溜息をついた。

「また独り言の相談かい? 何度も言ってるだろう、お前のその病気は治らないって」


「ち、違うの……そうじゃなくて……」


 エリスが、必死に言葉を絞り出す。


「私の……本当の両親のこと、教えてほしいの」


 女性の表情が――一瞬、凍りついた。手に持っていた布巾を、ぎゅっと握りしめる。


「……両親?」


 女性の声が、わずかに震えていた。


「うん。私の力……光が見える力のこと、知りたいの」


「どうして今更、そんなことを……」

 女性の目には――驚きと、そして何か覚悟したような色があった。


「……この日が、来たか」

 女性が、小さく呟いた。


「お母さん……?」


「……分かったよ。中に入りな」


 女性が、扉を開けた。


 ◆


 家の中に入ると――薄暗い部屋に、簡素な家具が並んでいた。

 女性は、椅子に座り――エリスにも座るよう促した。文哉は、エリスの隣に――透明な姿で立っていた。


「お前の両親はね……ヴァランティエール家の末裔だった」


 女性が、重い口調で語り始めた。


「ヴァランティエール……」

 エリスが、その名前を繰り返した。


「昔、お前の親や一族は、死者を見ることができ、命を操る力を持っていたと言われている」


 女性の声は、どこか忌々しげだった。


「でも、その力は――人々から恐れられた。『悪魔の力』だと」


「命を操る……悪魔……」


「ああ。だから、お前の両親は――迫害されて、この街に逃げてきたんだ」


 女性が、視線を落とした。


「二人は……必死に生きていた。お前を守るために、必死に」


 女性の声が、わずかに震えた。

「そして、お前が生まれて間もなく……二人とも、病で死んだ」


 エリスの目が、悲しみに揺れた。


「私が……生まれたから……?」


「違うよ。ただの病気さ」

 女性が、素っ気なく言った。けれど、その声には――わずかに優しさの欠片が混じっていた。


「私は、お前の母親と――昔……いや、引き取った。それだけだ」


 女性の言葉が、途中で途切れた。何かを隠すように。


「でも……お前のその力は、やっぱり気味が悪いよ」


「……ごめんなさい」

 エリスが、小さく謝った。


 文哉は――その光景を、黙って見ていた。


(この人も……何か隠している)

(けれど、エリスを完全に嫌っているわけじゃない)

(ただ、怖いんだ。理解できない力が)


 女性が、立ち上がった。

「もし……お前が本当に、自分の力について知りたいなら――お前の故郷に行くといい」


「故郷……?」


「ああ。『セレスティア村』……お前の両親が生まれ育った場所だ」


 女性が、地図を取り出して――ある場所を指差した。

「ここから北東の山の中にある、小さな村だ」


「セレスティア村……」


 エリスが、その名前を――じっと見つめた。


「そこに行けば……何か、分かるかもしれない」

 女性が、地図をエリスに渡した。


 そして――女性は、小さな引き出しを開けた。中から、古びた鍵を取り出す。


「これは……お前の母親、()()()の形見だ」

 女性が、鍵をエリスの手に握らせた。


「何の鍵かは……私も知らない。でも、きっと――セレスティア村で、必要になる」


「お母さん……()()()の……形見……」

 エリスが、鍵を握りしめた。小さな、錆びかけた鍵。

 けれど、エリスにとっては――初めて手にした、母親の痕跡だった。


「危険だ。街の外には、魔物がいる。お前一人では――」


「大丈夫」

 エリスが、女性の言葉を遮った。


「私、一人じゃないから」


 女性が、不思議そうにエリスを見た。

「……また、独り言かい」


「ううん」


 エリスが、微笑んだ。

「一人じゃないの。本当に」


 女性は、エリスの様子を――不思議そうに見つめた。

 けれど、それ以上は何も言わなかった。


「……気をつけるんだよ」

 女性が、そう言って――エリスの頭に、そっと手を置いた。その手は――少しだけ、温かかった。


「ありがとう……お母さん」

 


 ◆


 その夜。

 エリスが自分の部屋で眠りについた後――


 育て親の女性は、一人暗い部屋に座っていた。手には、古びた写真が握られている。

 若き日の自分と――笑顔のセレナが写った、大切な思い出。


「……本当に、この日が来ちまったよ、セレナ」


 女性が、小さく呟いた。


「お前が言ってた通りだ……『いつか、エリスが自分の力を知りたいと言う日が来る』って」


 女性の目から、一筋の涙が零れた。


「エリスを……頼んだよ……か……」


 写真の中のセレナは――優しく微笑んでいた。


「私は……お前との約束を、守れたのかね」


 女性の声が、暗闇に消えていった。


 

 文哉はその姿を陰で静かに見つめていた。

 ――女性の独白は胸の中にしまっておくことにした。


物語が着実に次に進もうとしています。

エレナの持つ能力とはいったい何なのか。

次回は本日の18時に更新予定です!

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