アクセス
「なぁ、大天使ってやつを倒したら全部が解決するんじゃないか?」
俺の疑問にアイは慌てふためく。
「何を言っているんですか!? 大天使様はとてもとても偉い方なのですよ!!」
「偉いって……どういうこと?」
「大天使さまは天使を作った方なのですっ!」
なるほど、天使ってロボットだもんな。ということは、当然ロボットを作った人がいるってことだ。相当な頭脳の持ち主なんだろう。宇宙全てを司るレベルの天才。想像もつかない。大天使は人間ではない、何か見たこともないエイリアンのような生命体なのかもしれない。
「それで、その大天使とやらはどこにおるのだ?」
ランは大天使が相手でも全く動じていなかった。
「それは……わかりません。私も見たことがないので……」
「倒すは言い過ぎだったかもしれないけれど、大天使に会って説得しないとなにも解決しそうにないよ。天使たちは俺たちのことを排除するつもりみたいだし……」
「マスター、ワタシに良いアイデアがあります」
ヤヨイのアイデアなら良いアイデアに違いない! ヤヨイはいつも頼りになるから。
「ワタシとアイさんは天使なので、この宇宙に大天使さまがいればアクセスできるはずなのです」
そんなことが可能なのだろうか。天使は宇宙に関しては時間停止だろうがなんでもできる存在というのはわかったけれど。
「で、でも、私は見習いですし……」
「アイさん、時間がありません。やるだけやりましょう。大天使さまは答えてくれるはずです」
「やるしかなかろう。でなければ、わっちが天使たちを虐殺するだけの話だ……スズキさんを傷つけた罪は完全には許しておらぬ。加えて、スズキさんの故郷をめちゃくちゃにしようなど許せるはずもない。徹底的に叩き潰す……」
日本がめちゃくちゃになる前になんとかするしかない。
「やるだけやってみてくれ!」
「「了解です」」
ヤヨイとアイの目が光る。だが、途中でアイの瞳からは光が失われてしまった。
「と、とても無理です。処理すべき情報の量が多すぎて……」
だが、ヤヨイの眼は光りを放ち続けていた。そして、やがて口を開く。
「ワタシこそが大天使です。ワタシにアクセスをしてきたのは何故ですか?」
成功だっ!!
「だ、大天使さまっ!? 大天使さまなのですか!? アイという天使見習いです。私たちは天使たちに追われています。どうか助けてはくれませんか?」
「魔王がいるな? それもふたりも……魔王から地球を守ることが我々の使命だ。魔王を放っておけば感情エネルギーを食い尽くされて宇宙の木は腐ってしまう……」
「なら、私たちがこの宇宙から出ていけば見逃してくれますか?」
そうだな。それも選択肢の一つだ。地球に帰りたいと思ったけれど、地球に住む人たちの人生をめちゃくちゃにしてまで地球に帰りたいとは思わない。人間が家畜なのは気に入らないけれど。でも、自分の人生に関してはほんの少しだけど過去に干渉できて満足もしている。
「……魔王を見逃すことはできない。いずれ必ず宇宙に害を為すであろう……魔王は倒さなければならない……」
「そんな……おかしいです……大天使さまは慈愛に満ち溢れたお方のはず。人のことも護らないし、私たちの前にも現れてくれない……どういうことなのですか?」
ヤヨイの手からビームが放たれ、アイの体を貫く。
「こういうことだよ……」
おかしい、ヤヨイはビームを放つのにかなりの時間がかかると言っていたはずなのに。
「だ、だい、てんし……さ、ま……」
「こいつ、大天使じゃない!!」
俺の直感がそう言っていた。この宇宙はなにかがおかしい。




