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「ふたりとも!! まさか死んでないよな!?」


 柔らかな白肌を揺すると、けもままもアイも目を覚ました。


「ここはどこですか?」


「よかった……ここは地球みたいだよ。しかも俺がいた世界みたい……こんな奇跡ってあるもんなんだな……」


 けもままはきょろきょろと辺りを見回している。地球が見慣れない世界だからかもしれない。


「うーん、私ってば……いつの間にか寝ていたんですね……あれ、けもままさんにスズキさん?」


「アイも起きたか、俺の家に来れられたみたいなんだ。ちょっと家族の様子を見てくる……」


 どたどたと一階に降りていくと、コンビニ弁当を食べているもう一人の俺がいた。


「ええっ!! なんでもう一人の俺がいるんだよっ!!!」


 ということは、俺が死ぬより前の時間ということか。気のせいか俺も少し若い。


「だ、誰だよ。ドッキリテレビか? 引きこもりを無理やり外に出そうって企画か?」


 過去の俺ってばこんなこと言ってるのかよ。


「スズキさん、待ってください!」


「なっ!? その子たちはアイドルか? ネコミミと天使のコスプレまでしてっ!!」


 俺の後をついて来たけもままとアイを見て、より一層過去の俺は警戒心を強めてしまったようだった。


「ややこしい話かもしれないが……俺は未来のお前だ」


 もう一人の俺はコンビニののり弁の白身フライを床に落としていた。そりゃ、驚くよな。


「未来の俺は幸せなのか? この絶望から救われて美少女と暮らしているのか? その二人はお嫁さん? ハーレム? それとも、もしかしてAIロボットかなにかか?」


 質問が多いな。確かに過去ではAIの技術革新とか話題だったし、そういう映画もあったけれど。


「うん、まあ、そんなところだが……」


「すげぇっ! じゃあ、未来の俺は童貞じゃないのか?」


 そんなくだらない質問に瞳を輝かせるなよ。過去の俺には死活問題だったのかもしれないけれど。


「この世界の俺は、今何歳だ?」


「お、俺? 俺は35歳だけど……」


 ふむ、今ほど太ってないし、外見もなんとかすればそこそこ見られるようになりそうな可能性を感じる。それに働いたことがないせいもあって、同年代より若く見える。


「あ、あの! 私はスズキさんの彼女じゃありませんよっ! 私は天使のアイですっ! 見習いですが……」


 ぷくっと、アイが口を膨らませた。


「なんだ、この娘は彼女じゃないのか……でも……天使までいるなんてすごいな。本当に未来なのか?」


「お前の性格を治しに来た。そんなところだ。俺自身もやり直したいしな」


「へぇ、なんか子どもの頃に見たロボットアニメみたいだな。未来から俺を助けに来てくれたのか……競馬の当たりとか、儲かる株でも教えてくれるのか?」


 楽をすることしか考えてないな、過去の俺よ……客観的に見るとこんなにダメ人間だったのかと悲しくなる。


「もうひとりのスズキさんもかわいいねっ!」


 けもままは無邪気に過去の俺の頭を撫でた。


「うひょーっ、先輩(俺)の彼女めちゃ可愛くて若いじゃないですか! 俺は将来こんな娘とあれこれできるのか……」


「こらっ、過去の俺よ、だらしない顔をするなっ、この娘はけもままという純粋な女の子だ。俺の……俺の妹みたいなものだっ! 手を出したらいかんっ!」


「それにしても、未来の俺はスズキって名前なんですね。ネトゲ仲間と同じ名前だ……」


 未来の俺がスズキと呼ばれていることにきがついたみたいだった。


「うむ、ちょうどいい。そのスズキも誘ってやれ。ダメ人間二人を治してやる。あいつも何年経ってもネトゲ三昧の独身ダメ男なんだ」


「なるほどっ! 確かに一人だとモチベ上がらないですよね。一人で外に出たら不審者扱いされちゃうし」


「そうだ。ダイエットでも就活でも仲間がいた方が頑張れるだろう」


「じゃあ、メッセージ送ってみます……」


 この時代にもスマホはあるらしくて、スマホを使ってスズキというおっさんにゲーム内からメッセージを送っているようだった。スズキにも恩があるしな。過去の俺とスズキを救うことが俺が地球へ来た使命だったのかもしれない。いや、俺がやりたかったことだ。まだまだ若い。いくらでも人生やり直せる。こいつも、アラフォーの俺自身もだ。

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