決意
翌日の朝、俺はけもままの家で目が覚めた。
この天井も見納めか。
真っ白な天井を眺めている。ここは俺の第二の故郷だ……。
「スズキさん……」
けもままはほとんど眠れなかったのか目が赤い。泣いていたのかもしれない。愛があるって良いことばかりじゃないんだなって気がついた。愛があるからこそ別れるのも辛い。
「いっちゃイヤっ!」
めずらしく、いや、初めてけもままが駄々をこねた。
「わたしも行くっ! わたしはスズキさんのためなら命なんて惜しくないもんっ!」
必ず殺されるとわかっているのに……どうしてこんなに勇敢な決断ができるのだろう。
「スズキさん〜会いに来ましたわ〜〜わたくしもご一緒します〜〜」
ぱいぱいちゃんまでけもままの家に来てくれた。ヤヨイも一緒だ。
俺も腹をくくることにした。誠意を伝えたい。三人には真実の気持ちを伝えよう。
「わかったよ。伝えたいことがあるんだ……」
けもままの部屋にぱいぱいちゃんとヤヨイも座る。
「マスター、なんですか?」
「俺さ、実は魔王のことを知っているかもしれないんだ」
「「「ええっ!?!?」」」
三人が同時に叫んだ。それもそうだろう。俺が魔王と顔見知りかもしれないなんて。
「その、魔王って子は、もともとはランって名前の獣人の女の子なんだ。その女の子が……えーっと、俺を好きになって魔王になっちゃったみたいでさ……」
「わたしもスズキさんのこと好きだよっ!! 世界で一番好きっ!!!! おじさまの中で一番好きっ!!!!!!」
「わたくしだって〜スズキさんのことがみんなに負けないくらい大好きですわ〜〜〜っ!!!!」
「ワタシもマスターが好きです。ロボットなので魔王になることはないですがっ!!!!」
三人から同時告白されると迫力があってびっくりするな。しかも三人とも地球だったら絶対に付き合えないような美少女だ。
「その……けもままみたいな獣人の女の子はさ、おじさんに恋をすると魔王ってのになっちゃうんだって……だから、俺といたらけもままもぱいぱいちゃんも魔王になっちゃうかもしれない……」
だが、けもままもぱいぱいちゃんも覚悟の決まった強い女の子の瞳をしていた。なんというか、眩しい。キラキラしてる。
「いいよ。わたしは……スズキさんのためなら魔王になる」
「わたくしも同じ気持ちですわ〜〜誰よりもおじさまのことが好きですもの。それに、おじさまを産むなんて素敵だと思いましたし〜〜」
ぱいぱいちゃんはけもままよりも少しませているんだな。それがどういう意味かわかっているのかは……たぶん、わかってないだろうな。でも、覚悟は十分伝わってきた。
「うん、それじゃあ、みんなでランのところへ行こう。実はランと相談したいことがあるんだ」
「マスターが相談したいこと?」
「ああ、俺はこの街から出て行こうと思う。それで、前に俺が住んでいた地球ってところに戻ってみたい」
「ちきゅう???」
けもままもぱいぱいちゃんもなんのことだかわからないみたいだ。仕方ないよな。俺だって、急にそんな意味不明なことを言われたら混乱する。
「ものすごく簡単にいうと、前に俺が暮らしていた街みたいなものだよ」
ああ、と二人は納得した。
「確かに故郷へ帰りたい気持ちはわかりますわ〜」
「もっと早く言ってくれたらいいのに! わたしもその旅についていくよっ!」
これからどうなるかわからない。でも、俺も決断をした。そして、その決断に後悔はない。ただ、万が一の時はけもままたちだけは命懸けで守るつもりだ。今度は俺が愛情を返さないといけない。みんなからは地球で一生過ごしても貰えないくらい、もう十分な愛情をもらったのだから。




