~雲脚~
♪ BGM : BLEACH- Mysterious
公園の真ん中で、笑い声と叫び声がはじけていた。
ネフェリアの中心部にあるその公園で、小さい雲たちが騒いでいた。
薄暮が迫り、別れる時間が近づいていた。
そのエルムたちの中に、一際かしましいのがいた。
若く活発なエルムで、名をウルナーという。
他の仲間と同じように成長し、少し大人びた姿になっていた。
グレーイの一件以来、ウルナーの両親は、日没後に帰宅することを禁じていた。
ウルナーはあの出来事について、くよくよと考えるのをやめた。
そうするうちに、時々は思い出すことがあっても、
時が思い出も巻き込んで流れていった。
疑念と悲しみの数日間を過ごした後、
他の子供たちと同じように、毎日を楽しむ日々に戻っていった。
家に向かって歩いていると、風がスーッと体を撫でていくのを感じた。
ブルッと少し身震いし、歩調を速めた。
まだ半分しか来ていないところで、背後から足音が聞こえた気がした。
そこで思い切って振り返ると、なんと、そこには、
地平線の他に何もなかった。
気味が悪い……と少し速足で歩き始めたその時、
「ウルナー!」
と、誰かに名前を呼ばれた。
しかし、声だけで周囲には誰もいなかった。
どこかの家から聞こえたのか?
ウルナーは怖くなり、家と家の間の、狭い横道を通って帰ることにした。
その時、誰かに急に肩を掴まれた。
恐怖のあまり叫び声を上げ、パニックになりそのまま地面に倒れ込んだ。
「怖がらないで!」
と雌の声が言った。
「傷つけるつもりはないから!」
ウルナーは呆然とした。
何もないところから声がする!
精霊が話しかけてきているのだろうか?
身震いしながら深呼吸をして立ち上がり、その神秘的な声に向かって、勇敢にもこう尋ねた。
「あなたは精霊なの?」
「いいえ。」
と、しばらく考え込んだような間があってから、声が答えた。
「アタシはグレーイの友達よ。」
その瞬間、ウルナーの記憶が一気に蘇った。
灰色の雲はまだ生きていて、
もしこの声の言うことが本当なら、グレーイも近くにいるはずだ。
「グレーイ?」
混乱しながら繰り返した。
「覚えてない?」
「ううん……でも、もう一年前の出来事だし、
最後に見た時は、おっきなフクロウの背中に乗って、遠くに行っちゃうところで……
まさか、またグレーイの名前を聞くことになるなんて、思ってなかったから……」
声は黙っていた……
まだそこにいるのだろうか?
ウルナーにも確信が持てなかった。
その声からは一切のジンを感じないのだ。
だから思い切って、手を伸ばしてみた……
すると、やった!
指先に何か柔らかくて不思議な感触がして、それに驚いて飛び上がってしまった。
「何すんのよ!」
とイライラしたトーンで声が話した。
「アタシに触らないで!聞いて。
アタシ、ここにお喋りしにきたわけじゃないの。
バーダルがどこにいるか知らない?」
「バーダルおじさん?
えっと……えっと……ちょっと待って!
グレーイもそこにいるの!?もしいるなら会いたい!
それに第一うち、あなたが誰か知らないのだけど!」
「お願い、アタシを信じて。」
と見えない誰かが言った。
「あんたがグレーイに会いに行くのは危険すぎる……」
「いや!」
ウルナーは断固とした口調で言った。
「グレーイに会わせてくれないと、何にも教えてあげない!」
ウルナーは頑固なところがあった。
そのお願いに従う以外の選択肢はなさそうだ。
どちらにせよ、下まで連れて行くのはこの『声』にとっては朝飯前だった。
なぜなら、この声の持ち主はあの白の貴婦人、パリなのだから。
ウルナーの腕のところを掴み、抱えて飛び立った。
しばらくすると町の外に出た。
ジンを隠しているお陰で、誰にも気づかれなかった。
町の外に出た途端にパリが姿を現した。
エルムの姿だった。
それを見てウルナーは身震いした。
美しさで目がくらむ思いだった。
「はぁ、みんな同じ反応しかしないんだから……」
パリはため息をついた。
「わぁ~あなたってとってもキレイ!!!」
パリは目を見開いた。
こんな風に、率直に褒められるとは思ってもなかったのだ。
何も答えずに振り向き、付いてきて、とだけ言った。
ウルナーには見えなかったが、パリの顔には笑みが零れていた。
ウルナーはまだ、この不思議な生き物のことを訝しく思っていたが、
グレーイにもう一度会いたいという、好奇心の気持ちには勝てなかった。
一年後、ウルナーは友である雨雲に再会する為に飛び立った!
グレーイは初めて、あの出来事の続きを知ることになる……




