~決意~
~~ストリートファイター II V - Hadouken Theme
町の端っこにある家の中、木で覆われた大きな部屋の真ん中で、アンジールは二つのエルムの前に座っていた。一つは不思議なくらいアンジールに似ていて、彼も何かしらの葉っぱのエルムのようだ。もう片方は、全身緑色ではあったが、髪が違うので、葉っぱではなさそうだ。白と紫の花びらで、あまりに長いので目にかかっていた。
三エルムは丸テーブルに分かれて座っていた。全く楽しそうではない。
「カザンについて話してるんだよ!」アンジールが叫んだ。「僕らには調査する義務がある!」
いつもと違い、その声は怒りに満ちていた。
「ジェロン、その点について、アンジールは嘘をついちゃあいないよ。」アンジールに似ているエルムが発言した。
「本当に、そのよそ物が見たビジョンのせいで、ここを離れるっていうのか!?」不思議な見た目のもう片方が言った。「密使の言ったことは絶対だ!カザンは炭鉱に戻ったんだぞ!」
「プラタン、頼むからコイツを説得してくれ!」アンジールが片割れに言った。
「悪い、アンジール…でも、こいつも嘘はついていない。カザンは火の山でケガを負った。それは紛れもない事実なんだ。ヤツが、もう戻ってきたなんて信じられん…」
「ヤツら、本当にカザンを負傷させたんだよね?」アンジールが椅子に身を沈めながら、ふーっと溜息をついた。その目は虚空を見つめていた。「カルシネ大陸には化け物しかいないんじゃないの?」
「その通り!」プラタンがイライラした様子で、顔を引きつらせて言った。「前回、あいつの使者を送り返したのが間違いだったのか…俺らの密使によると、あの極悪党は、自分に服従する物らは生かしておくらしいしな。」
アンジールが唇をキッと結びながら首を横に振った。それは「君の言ってることは間違ってる」の意だ。
「間違いを犯してるのは君でしょ?」と頑なに言った。混沌の騎士団に参加することになってもいいんでしょ?そうなんでしょ?」
「俺らはヤツの本当の力を知らなかったんだ。」ジェロンが答えた。「カザンは止まらねぇだろうな。神の園に留まらず征服を続け、そして、俺らに逃げる場所はなくなる。プラタンが今言ってることは、俺らが今考えてることだ。殺されるくらいなら、条件を飲んだ方がいいに決まってるよな…」
「なんでそんなことが言えるの!?」突然アンジールが拳でテーブルを叩きながら叫んだ。「残酷で野蛮な帝国主義と一緒に暮らしたいのか?虐殺行為に加担したいって言うのか!?なんで!?この臆病者!!!」
「アンジール、さっき自分で言ってただろ。」プラタンが言った。「ヤツらは怪物だ。神が宮殿からわざわざ降りてきて、俺たちを助けてくれるとでも?はっ、そんなこと俺は思わない…」
「ごちゃごちゃうるせえな!」今度はジェロンがどなった。頭の花びらが四方八方に揺れ動いている。「ここで怒鳴りあっても意味ねぇだろ。数もそろってねえし、リーダーもいねぇしよ…なんにせよ、真面目に取り合ってくれねぇだろうな。アンジール、もう一度言っておくが、そんな馬鹿げたビジョンなんかでこの土地を離れることなんかしねぇからな!」
「俺もそれに賛成だ。」プラタンが呟いた。「すまん、アンジール…」
「いや、いいんだ。謝るのはこっちの方…」アンジールが答えた。「カッとなって悪かったよ…多分、君の言う通りだ、ジェロン。でも、これをなかったことにはしたくない。グレーイがこのビジョンを見たのは、おじと接触したからだ…それまでカザンの名を聞いたことはなかったはずなんだ…」
「それを信じたいね。」ジェロンが溜息をつきながら言った。「だが、だからといって何も変わらねぇ。俺らを説得できなかったんだから、評議会のやつらを説得するのは難しいだろうぜ。大きな決断を下す前にはよーく話し合わなくちゃいけねぇ。未来はいつも不確実なもんだが、急いては事を仕損じるってヤツよ…」
「あぁ、そうだな…」
一方その頃、土のドームの中では、グレーイがいつもと違う様子で座っていた。片方の膝を地面につけ、もう片方を上げている。目を閉じ、体から全ての力を抜き、完全にリラックスしていた。一歩も動かず、まるでトランス状態であるかのように集中していた。
「完璧だ。お前さん、全部完璧に理解したようじゃの。」と不思議な声が言った。
その声はグレーイにしか聞こえないが、彼の頭上をフワフワ漂っている、光る葉っぱから聞こえているのは間違いないようだ。あれは…
「ありがとう、アンシャンドラクト!」目を開き、体を起こしながらグレーイが礼を言った。
「今お前さんが何を学んだのか言うてみぃ。」
「腕を上に上げるだけじゃ、ナミアを実体化させられない。ジンを使いこなすには瞑想することが必要。こうすればミナモトと繋がることができる。ミナモトっていうのは…全ての要素が合わさったものだっけ?」
「ミナモトは原初の要素で、4つの要素の基礎となる。水、空気、土、火。それらはどこにでも存在する。瞑想することで自然と繋がり、ミナモトとも繋がることができる!」
「分かった、ありがとう!」雨雲は熱っぽく叫んだ。「でも、どうしてアンシャンバーダルは教えてくれなかったんだろう。以前、ミナモトのことを話してくれた。精霊がこの要素でできてるって…でも、瞑想については一切触れなかった!」
「大概のエルムにとっちゃあ、生まれた時から力は使えるもんだ。お前さんが稀なんだよ…。それに、バーダルってやつは、とんでもない優等生だった。やつのような天才は、教えることが苦手なやつが多い。そんでも、バーダルが教えたトレーニングは、体力と身体能力を鍛えるのには役立っている。このまま続けるんじゃ。よいか、これは全ての基礎となるでの。」
「仰る通り。アンシャンバーダルには感謝してもしきれない…必ず彼を救い出してみせます!見ててくださいね!」
「疑っちゃあおらんよ。だがな、もし本当に行くとしても、今すぐは止めておきなさい。行っても隣の牢屋に放り込まれるのがオチじゃ。まずはもっと強くならないと!今日はこれで終わりじゃ。続きはまた明日。」
「えっ、でもまだ俺が見た炎のコトについて教えてもらってません!」
しかし葉っぱは、来た時と同じく、甘い香りと共にパッと消えてしまった。グレーイは、なんだかあのエルムはとても変だと思った。我々が出会ったことを内密にするように、と言われたのだ。諸々の答えを貰えるまで、辛抱強く待つしかないようだ。
グレーイはドームを出た。アンシャンドラクトとの特訓は、あれが本当に彼だったとしたら、本当に役に立った。雨雲はようやく、エルムの力がどのように機能するかについて、この午後の間に理解した。新しい師匠を見つけたということだ!
誇らしい気持ちで天文台に帰る途中にパリを見つけた。なんと木から降りている。パリが地面に降りているだなんて…グレーイはうっすらと嫌な予感がした。
「グレーイ、話があるの。」
「なに?」主人公が言った。「なんかあった?食べる物が見つからないとか?」
「違う、そうじゃない…。今から話す事をよく聞いて。よく考えたんだけど、ここに長居するつもりはなくて…つまり…ネフェリアに帰るわ。」
パリがついに旅立つ決断をした !
グレーイはパリを説得しなければならないが、チャンスはあるのか?