第三章9 【10月29日/初等部4年生活動中】9/禁断体12英傑集結2
【メタバース空間】では、12名の野心ある者達が一堂に会している。
【マエストロ(大巨匠)】は、
「これは、これは皆さんおそろいで。
今回お集まりいただいたのは、そろそろ決着をつけませんかと言いたかったのです。
【禁断体】との【契約】の【席】は11席。
対して、我々は12名居る。
と言う事は必ず、1人はあぶれると言う事になります」
と言った。
彼は、実年齢は、【古希】だが、【アバター】は美麗なものになっている。
ここに集まっている12名は全員、美しい【美男】、【美女】の【アバター】を使ってる。
性別や口調、声質も含めて、彼等の実際の年齢とは全くの別物となっている。
つまり何から何まで嘘っぱちである。
彼等は連絡を取り合ってはいるが、その正体はお互い認識していない。
認識されれば、弱味を握られ、権力争いから脱落する恐れがあるからだ。
【ウッド・ワーカー(木工職人)】は、
「どういう事ですかな?それは・・・」
と聞いた。
【マエストロ(大巨匠)】は、
「【龍竜体】の出番が近いと言う事です。
我々もいつまでも【禁断体】との契約を保留にしている状況では無くなって来ると言う事ですよ。
そこで、【ゲーム制作部】の【ハロウィン文化祭】と言う【イベント】を利用して何らかの【勝負】をしませんか?
私が言い出しっぺですから、【勝負】の手段については他の方に決めていただくと言う事でどうでしょうか?
私が【勝負】の方法を決めなければ私が細工をしていないと言う事ははっきりしますよね?
ただ、私が注文させていただきたいのは、全員に平等で、公平に、【禁断体】の【契約者】を決める方法を考えていただきたい。
僭越ながら、私は議長として、皆さんの意見をまとめたいと思っております。
それでよろしいでしょうか?」
と言った。
【フラワー・デザイナー(花工夫師)】は、
「何か企んでいそうで怖いんですけど・・・」
と言った。
【マエストロ(大巨匠)】は、
「何も・・・ただ、こういう曖昧な関係にそろそろ決着を付けたいと思っているだけですよ。【龍竜体】と契約する【辰巫女様】が【禁断体】と契約する事の出来る我々の【作品】の【上位互換】を【13作品】作れる様になりますよね。
要は、【辰巫女様】と契約した者が【真の勝利者】となり得るのです。
それを考慮して考えて下さいね」
と言った。
そして、12名による【ゲーム制作部】を巻き込んだ【計画】が決められたのだった。
結局、【マエストロ(大巨匠)】の指定した通り、決着方法は、【辰巫女】を見つけ出し【同盟契約】すると言うことに決まった。
【禁断体】は現時点では、【夢の世界】でしか使えない。
だが、【辰巫女】と【同盟契約】を結ぶ事によって、【現実世界】でも【禁断体】の【力】が使える様になる。
そして、【現実世界】で【力】を【使用】したら、【禁断体】との契約が【完全】になるのだ。
そうなったら、これまでの様に、96名で11体の【禁断体】を使い回すと言うことにはならない。
【イリーガル・イグジスト/存在する非合法】となる【無冠の才覚者】の誰かと【完全契約】となる。
これまでの【選ばれし者】との戦いでは、【4周目】までで、【完全契約】が出来た者は居なかった。
それまでに4回、【覇権】が決まり、【無冠の才覚者】達はリセットされ、また、その時点から、作った【作品】の数で集計される様になっている。
つまり、【イリーガル・イグジスト/存在する非合法】となる【無冠の才覚者】達は、【5周目】の【選ばれし者】の中で【覇者】が出る前に、【辰巫女】と【同盟契約】を結んで、【現実世界】で一度、【力】を使わない限り、自身の力が【無効】になってしまうのである。
そのため、【無冠の才覚者】達は、【選ばれし者達】の動向を注視している。
今回、【ゲーム制作部】の【ハロウィン文化祭】が選ばれたのも、そこに、【選ばれし者】の1人、【芳一】が参加しているからに他ならなかったのであった。
【選ばれし者】の中では一番無難だと評価されていたのだった。
つまり、【芳一】は、舐められているのだった。