第三章3 【10月29日/初等部4年生活動中】3/【芳一】の元カノ達1
【芳一】の周りが騒がしくなった頃、それを複雑な感情で見ている4人の女性達が居た。
【芳一】の元カノ達である。
彼女達と付き合っている頃の【芳一】は【夢】まっしぐらであり、彼女達との【愛】を天秤に傾けた時、彼の秤は、【夢】の方に傾いてしまった。
結局、交際持続は不可能となり、いずれも破局となっていた。
こう聞いてしまうと【芳一】が圧倒的に悪い様に映るだろうが、元カノ達は、打算で彼と付き合っていた。
彼と付き合えば、いずれは良い思いが出来るかも知れないと言う下心が存在した。
初心な彼を虜にして、自分の思うような【ATM】の代わりとしようとしたと言えなくもない。
だから、両者の間に【愛】は無く、それを微妙に感じ取っていた、【芳一】はいずれも【夢】を選択していた。
【芳一】は、【恩には恩】、【仇には仇】で返す人間である。
彼女達も、【芳一】との交際時、【真実の愛】を向けていたら、【芳一】もそれに答えていただろう。
だから、彼女達の方にも問題があった。
だから、交際は長続きしなかった。
【芳一】も彼女達と付き合っているより、【夢】を追っている方が圧倒的に楽しかったため、【夢】と【恋人】のどちらを取ると言う選択肢を突きつけられた時、迷わず、【夢】を取ったのだ。
それは、彼女達に本当の意味で【愛】されていないと感じ取っていたからである。
まぁ、別れた理由をとやかく言っても仕方がない。
問題は、【芳一】が実際に、世間に認められ出したと言う事である。
【芳一】は、JKとJCに囲まれた時に【芳果】に、
『お前は、変わらぬな。これだけ騒がれれば、普通は有頂天になってもおかしくないであろうに』
と言われた時があるが、
「僕は、変わらないよ。周りが勝手に変わるだけ。
僕は、いつも通り普通に創作活動が楽しくてやっているだけ。
人に認められるか認められないかはオマケだよ。
万人に認められようと、僕自身が認めないものは作りたくないけど、誰も認めなくても僕だけが認められる作品は作りたいと思う。
例え、独りよがりって言われてもね。
僕は僕を満足させる物を作っているだけだ。
それから付属して来るものは僕にとってはあまり意味がないんだよ」
と答えている。
【芳一】にとっては、親切にされたら親切で返し、悪意で返されたら悪意で返す。
そして、愛されたら愛し返す。
ただ、それだけの問題だ。
それが解らないから、元カノ達は【芳一】と別れる事になったのである。
少なくとも彼が自殺を考える程、落ち込んだ、【悪徳出版社】と揉めた時、手をさしのべていれば、結果は変わっていたかも知れない。
だが、彼女達は、【面倒事】はごめんとばかりに知らんぷりを決めていた。
彼女達にとって彼がその程度である様に、彼にとっても彼女達はその程度の関係となっている。
恋愛をしようと言う考えが希薄だった【芳一】も【芳一】だったが、【好奇心旺盛】な【芳一】の感情を理解しない元カノ達も元カノ達であり、両者の間に元々、恋愛は成立しなかったと言える。
今、一番、彼が愛する可能性があるのは、彼の【2次眷属】となった【梁 雪玲日本名隠し名/神娘】だろう。
だが、【雪玲/神娘】は、物につられただけだと彼は思っているから、その思いに答えて居ない。
また、年齢差も少し気にしている。
彼は37歳。【雪玲/神娘】はJKと同じ年齢だ。
【芳果】と【芳寿】が彼の【物語】のヒロインになるのでは無いかと言っていた【金髪の少女】や【銀髪の少女】の年齢も同年代だし、そもそも、直接の面識はまだ2人とも無い。
なので、年齢差等が引っかかってすんなり恋愛関係になりにくい状況が【芳一】の今の環境と言える。
また、【芳果】や【芳寿】、【美和】や【フィナレエンデ】などの同居している存在はいずれも人間ではないため、恋愛対象にはなりにくい。
【雪玲/神娘】以外の【2次眷属】や【3次眷属】達は、【アイドル】と言う立場であるため、恋愛関係は仕事の関係上、難しいとも言える。
つまり、【芳一】の周りで、【直接恋愛対象】となり得る可能性のある【女性】はまだ居ないと言うことになる。
その状況を【元カノ】4人が見逃すはずも無かった。
よりを戻すために、それぞれが動き出していたのだった。