最初のプレイヤー
プレイヤーのレイはステータス画面を閉じると、そのままガチャの画面を開く。
「確か110回まで回せるんだったか?」
「はい。毎日、装備やキャラクター、アルカナが出るガチャを回せます!なのでぜひ毎日来てください。」
アルカナは、キャラクターに装備することで、ステータスアップができる。
彼はユランの説明を聞いてからガチャを回すと、SSR確定演出が発動する。すると、金色の桜吹雪とともに赤い髪の好青年が現れた。
「やあ、君が新しい僕の主かな?僕の名前はラグゼス。赤龍の騎士って呼ばれるくらいには剣の腕には自信があるよ。ぜひとも旅のお供に連れて行ってくれ。」
「リンカだよ〜!ヒュー!お兄さんかっこいい〜。怪我したらリンカに言ってね。何でもしちゃう。」
「ナ、ナズナです。あの、ボクは魔法薬の研究してます。恨みのある人はいませんか?へ、へへへ。」
今回いくつかの武器と共に出てきたキャラクターは僕の他にはこの3人だった。
「えっと…」
レイは順番にステータスを確認する。
「わ、ラグゼスも剣士なんだ…。なんか攻撃力が結構高いね。」
「おう、まあな。スピードもある方だぜ。」
「それはいいな!使えそうだ。」
リンカはプレイヤーの腕にまとわりつく。
「ねぇねぇ、お兄さん。リンカのステータスも見てよ〜。」
「わ、分かった。分かったから。え、えっと…。」
明らかにレイは動揺している。何があったのだろうかと不思議に思っていると、彼はステータス画面を切り替える。
「回復か!」
「そうだよぉ〜。リンカ頑張るから、回復して欲しいときはリンカに言ってね☆リンカ頑張っちゃう!」
レイのアバターが耳まで真っ赤になる。
「あ、お兄さん真っ赤になっちゃった。」
リンカは腕を外すと腕を後ろで組む。
「むむむ……。」
後ろで冷たい視線を向けているのは最後に召喚されたナズナだ。
「ボクを差し置いて御主人様とイチャイチャしようなんて許せません!」
「わっ。」
ナズナはレイに近寄るとペタッとくっつく。彼女は身長が低いのでレイを見上げる形になる。
「分かった。ナズナもみよう。えっと…デバフが中心なのか。」
ナズナは嬉しそうにはにかみながらコクコク頷く。
「まずはチュートリアルですね。」
ユランが話題をふる。
すると、リンカはレイの手を握る。
「リンカが色々教えてあげる〜!ねね、クルクルの森に行こうよ!」
クルクルの森…。
クルクルという名前の丸い卵型モンスターが多く発生することから名付けられた森で初心者にはもってこいの場所だ。
「うわ、重っ。ちゃんと重量とかもあるのか。」
先程手に入れたバーサーカーの武器を装備したレイが驚きの声を上げる。
「まあ、最初はみんなそんなもんさ。僕だって剣を握りたての頃は持ち上げることすらできなかった。」
ラグゼスはレイを励ます。
「そういうもんなのか。よし、レベル上げ頑張るか。」
こうして僕らは旅に出た。
この時、まだ僕は知らなかった。
まさか、僕があんなにも弱くて『最弱のハズレキャラ』と呼ばれるようになるなんて。「知識」にだけは自信があったのに、こんなにもうまく行かないなんて。