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蛍
「今日あたりは・・・・・
こんなに蒸し蒸しするから
きっと見ることができるよ」って彼が
笑顔でそう言った・・・。
本当は・・・・・
わたしはこんなに蒸し暑い日に
よりによってこんなに蚊がいるような
水辺になんか来たくはなかったんだけど
「蛍をちゃんと見たことがない」って
前に言ったわたしの言葉を
覚えていてくれた彼が
誘ってくれたから・・・。
夜の闇のその中を舞う・・・・・
数え切れない光のその中の一つが
わたしの腕に止まったままで光ってて
そんな蛍の光をじっと見つめながら
「熱くないんだね」って微笑むと
彼が隣で笑ってた・・・。




