↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でハーレム作るつもりだったのにゴーレム作ることになった  作者: maru
第2章 ハーレム?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
74/159

73.そばにいてもらわないと困ります

 探索部隊と通信している間に、アル様は、適当な大きさの木材をとって、なにやら作りはじめていた。


 私は、なにもすることがない。すこし木材でも描き足しておくか。アル様を邪魔しないよう、そうっとPCの前に座った。


「すごいですね」


 不意に、アル様が話しかけてくる。


「え? なにが!?」

「その通信装置という箱ですよ。はるか遠くにいる相手と、声や姿を送り合う。しかも、瞬時に。日本というのは、おそろしく文明の発達した国なのですね」

「ああ……」


 『チェリ占(せん)』の舞台は、日本で言うと、織田信長の時代。アル様たちは、五百年近くタイムスリップしたようなものだから、二十一世紀の科学技術に驚くのも当然といえば当然。


 いや、二十一世紀じゃすまないのか。「貴族の館」号は『宇宙艦隊ギルボア』に登場する星間輸送船、つまり、二十三世紀のもの(ただし架空の)だし……。


「一度、この眼で見てみたいものです」

「なにをですか?」

「話聞いてました?」

「もちろん。でも、見たいって、なにを?」

「日本という国をぜひ見てみたいということですよ」

「ああ……『福音をひろめる』ため、でしたっけ?」


 アル様は、ピタリと手を止め、じっと私の顔を見る。なんかまずいこと言ったか、私?


「いえ別に、そういう理由(わけ)では……」

「?」


 それだけ言うと、なにごともなかったかのように、アル様は作業に戻った。


     ◇


 やっぱり、二人きりはちょっと気まずい。


 アル様は、真剣な目つきで、彫刻刀と木づちを使っている。かなり手慣れた感じだ。


 手持ちぶさたになったところへ、探索部隊からまた連絡が入る。五百円玉星が見える位置まで来たけど、砲撃はないとのこと。


「私の推測は、誤っていたようだ」


 報告の最後に、レオ様が言う。もしミチャがターゲットなら、今ごろ攻撃を受けているだろう。予想が裏切られて、レオ様は、心なしかホッとしているようにも見えた。


「ですから、ミチャのせいでないと言いましたのに!」


 画面の外から聞こえるフェリーチャの声。疑問は解決してないけど、攻撃を受けたのは、偶然が重なっただけかもしれない。ミチャが狙われていたんじゃないなら、ひとまず安心か。


「この後、マッテオ殿の操縦で、もうしばらく北東方面に進む予定だ」

「了解です!」


 通信が終わると、また部屋のなかは静かになった。


 それにしても――なにか、気になる。


 ふと気がつくと、こちらをまっすぐ見つめるアル様と目が合った。鋭く刺さるような視線に、思わず目をそらす。


 ああ。ぼうっとしてないで、仕事をしろと? はいはい。もうすこし木材、描いちゃいますか。私はまた、タブレットに向かった。


「……」


 うーむ、まだ見られてるような気が……。私がゆっくり顔を向けると、案の定、アル様はずっと私を目で追っていた。


「ええと……」


 当惑した私に、アル様は軽く微笑みを返してくる。ちょ、なに、そのスマイル!? 正直、怖いんですけど!


「ど、どうかしました?」

「いえ? まったく」


 イヤイヤイヤ、絶対なんかあるでしょ、その態度! ひょっとして、怒ってたりします?


「あの……私がいると、お邪魔でしょうか?」

「とんでもない! むしろ、そばにいてもらわないと困ります」


 それって、どういう意味だ? まさかとは思うけど、アル様、私に?


 ン?


 よく見ると、いつの間にやら木の塊は、人の頭ほどの大きさに削られ、顔らしい凹凸ができていた。もしや、この輪郭……。


「つかぬことを伺いますが、それ、なにを作ってるんですか?」

「さて、なんでしょう?」


 素知らぬ顔で、作業を続けるアル様。なんだか、イヤな予感がする。


「私の顔を彫っているように見えるのは、気のせいですよね?」

「おや、正解! よくわかりましたね」


 これほどうれしくない正解も、そうそうない。


「私の彫像でよろこぶ人は、あんまりいないと思うんですけど」

「そうともかぎりません」


 アル様は、出来ぐあいを確かめるように、木の塊をいろいろな角度から眺める。


「普段なら見たくないようなものでも、絵とか像にすると楽しむことができる、と古代の哲学者も言っています」

「ちょっと! それ、どういう意味ですか!」

「あ、もちろん、カナさんのことじゃありませんよ!」


 アル様はクスクス笑っている。からかわれてるんだろうけど、なんか腹立つなあ。


「そう! そういう表情が欲しかったんです」


 そう言って、私の顔と見比べながら、ササッと木彫りの像に手を加えていく。


「変な顔の像、作らないでくださいよ」

「わざわざ変な顔にはしませんが、その人らしい表情でないと」

「え、私って、いつも怒ってるイメージ?」

「と言いますか、表情が豊かな人だと思っていました」

「はあ」


 まあ、感情が顔に出やすいっていうのは、よく言われるけど。ていうか、なんで私の顔なのよ?


 それにしても器用だ。作業も早い。見る見るうちに、顔の細かいところまで彫り上げていく。アル様、こんなスキルも持ってたとは。


「カナさんは」

「あ、はい!」

「ペトルス・リプシウスのどこが好きなんですか?」


 え……? まさかの恋バナ!?


「こ、これはまた、突然ですね」

「……イヤ、ですか?」

「イヤってわけじゃないですけど」


 もう! この人の行動、ほんとうにわからん!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。