係長と主事
「係長、採用に関してのこの文書、これってどういうことですかね」
「要はさ、採用すんのはバカでいいって言ってるのよ。ただ全員バカじゃ回らないから少しは賢いやつ入れろってこと。
この文書以外にも色々通達がきてるわ。死んだら保障が面倒だから家族の少ないやつにしろだとかさ」
「なるほど。結構危険な仕事になるんですかね。」
「なると思う。妖獣なんてどこに出るかわかんねぇし、警察や自衛隊が間に合わなきゃ駆除に向かわなきゃならんしな。
つーかさ、結局のところコスパの良い兵隊が欲しいんだよ。」
「真っ当な人間きますかね」
「来るわけねぇだろ。ちょっと足りねぇやつばっかじゃねぇの」
「ふふっ。そうでしょうね。お荷物な人が集まるんでしょうね」
「ああ、そうだな。ちなみに俺たちは今後、妖防官とかいうのに任用替になるって話だ。」
「ええっ!ボクも!つーかなんすかソレ。」
「半分民間人が危険業務に関わるってのに、市役所の人間が安穏としてるわけにゃいかんだろってことらしい」
「なんでボクらなんですか?」
「お前さ、今日なにやってた?」
「──ケーキ食べながら文書読んだだけです」
「俺はパソコンの電源を入れただけ」
「──お荷物ってことですか」
「かもな……。まぁ腐っても正規職員だ。妖防官って言ってもさ、各妖防分団の調整とかの仕事をやるんじゃねーの」
「具体的に決まってないんですか」
「これから決まるらしい。とりあえず妖防団員と同じように妖防学校で研修受けろってさ」
「はぁ……」