オーロラの夜
「ヒロノ一佐、これで片付きました。」
「ひどいもんだな、損害はどんなものだ。」
「三人殉職です。」
「そうか。たった一体に三人やられるのか……。事前情報のとおりだな。」
「ええ、火器も一切効きませんでした。結局、ポン刀で。
止めを刺したのはサイトウです。少し錯乱しているので休ませます。」
「ふーん。サイトウがね。死んだ三人は剣道、居合それなりだったんだろ。」
「そうです。ただ……相手が鬼じゃ厳しいですよ。」
「これから増えるよな。こういうの。」
「間違いないでしょう。中国やロシアなんかの外れじゃ、うじゃうじゃ出てるって話ですよね。最も情報統制されてるんでしょうけど。
それで、県警が説明を求めてますけど、どうしますか。死人が出てるんで検死も必要なんでしょうか。
それと、総務省のヤマガタ課長補佐も説明がほしいと。県の危機管理部の女の子も同じように。」
「情報本部を通してもらってくれ。」
「わかりました。」
「ところでキクチくん。」
「はい。なんですか」
「君は妖防団教官任用科とかいうの行くんだって。」
「はい。今後新設される民間防衛組織の教官になるようで。」
「そっか。重要な仕事になるかもよ。これから国とか地方組織も妖獣メインで再編成されるかもな。
キミ、ちょっと熱意に欠けるところあるから心配だなぁ。」
「そ、そんなことないっすよ。自衛隊で学んだことを生かして取り組みます。」
「良いねえ。でも今の時代に民間人を集める妖防団なんてろくな人間集まりゃしねぇだろうな。」
「そんなこと言わないでくださいよ。それなりに使えるようするため、やれることはやりますよ。」
「そっか。まぁお互い頑張ろうや。」