給水魔法が、どこまで狂っているかを考える
〇まず、魔法無しでどこまでできるか考えよう!
以前の研究から――
普通体格(71kg)の成人男性は毎日、56kgの重量を課せられ5時間の散歩が可能
と判明しています。
これは20日以上続けても痩せ細らない基準ですから、短期間ならもう少しハードにできなくもないですけど――
そもそも56kgの荷物背負って5時間を連日とか、レンジャー部隊クラスだからね?
まあ、とにかく叩き台としては悪くないでしょう。
このムキムキマッチョマンの変態さんがフルチンで――
フルチンで!(大事なことなので二回繰り返しました)
どれだけ遠くまで殴り込みに行けるのでしょうか?
米軍の指針で水は一日に3リットル。
カロリーメイト級な効率の兵糧を確保できたとしても、800gで一日で摂取可能限界の4000kカロリーです。
つまり――
理想状態でも一日活動するのに約4kg必要
となります。
あとは56kgで割るだけなので――
最大で14日間ほど活動可能
です。
そして近代以前の行軍速度は精鋭部隊で30km/日。標準で15km/日だったそうです。
ここは優れた個体なのも加味し24km/日としましょう。
一日に5時間移動の前提なので、これでも時速4.8km!
試したことがある方も多いと思いますが、不動産屋の徒歩〇分ペースだったり!
……あの速度、かなりの早歩きですよね(苦笑)
よって到達距離は24×14で336km!
皇居から考えると――
仙台あたりまで到達!
京都・大阪は圏外となるも、名古屋なら圏内!
しかし、これは机上の計算過ぎます。
そもそもムキムキマッチョマンの変態さんは殴り込みへいく前提なので、殴る日程に一日は必要でしょう。
さらに帰路の分を考えるか、殴り込み失敗でも一日分は食料を確保しておきたいところ。
なので――
往復を考えて156km or 移動に費やすのは12日と考えて288km
でしょうか?
288kmだと名古屋は依然として圏内なものの、仙台へは到達不能に。
156kmでは静岡がギリギリぐらいです。
いやいや!
そもそもフルチンで役に立つのかよ!?
ムキムキマッチョマンの変態・ザ・グレートぐらいでしょ、そんなの!
〇仕方がない。そろそろ服を着るか
上記検討の瑕疵へ触れる前に、簡単な重量目安を
OLさんのバッグは平均で3kg程度だそうです。
そしてコートの平均が1kg。
服はフルセットで0.5kgもいきませんから、つまり冬のOLさんの通勤姿が4kg過重となります。
……超軽装にしか感じられませんが、数字へ直すと意外と重い?
少し前に話題となりましたが、真面目な中高生の通学カバンは10kg超も珍しくありません。
ここでは計算しやすく荷物が多い曜日で8kg程度と考えましょう。
また、8kgというと登山装備から水と食料を抜いたぐらいなので、切り詰めた旅用品の指針ともなります。
ギターなどはケース込みで4kgぐらいだそうです。
真面目な学生でギター担いで音楽やっているような子は、あれだけで12kgぐらい持ち歩いている!?
(これは『20kgにも満たない荷物を担いで、一時間程度の移動すら大変』という指針にもなる。この程度なら誰でも体験しているでしょうし)
また4kgは、それなりの武装に計上できます
剣が1.5kg前後。槍で2kg前後ですし。
これらを目安に考えると最低限度の武器と服、旅用品などは約12kgでしょう。
参考までに、とある時代に歩兵の装備重量が30kgぐらいだったそうです。
意外と盾が重くて5kg前後。剣が1.5kg。槍が2本で4kgか長い槍一本で同程度。
逆算すると服や防具で20kg弱でしょうか?
〇というわけで装備重量12kg。当日と予備日程に2日計上で再計算!
56kgから20kg減らされるので――
36÷4で9日の距離に!
……ついに名古屋もアウト! 浜松とか郡山が限界点に。
帰路も考える場合は120kmとなり、日光や水戸、沼津です。
〇いやいや! ちょ、まてよ? こいつらスタート地点で給水したら、以後は補給なし前提かよ?
考えてみると6kg程度を水分用の余裕に確保しておいて、二日につき一回程度の給水ポイントがあればOKでした。
……意外と給水魔法は代用が効く?
それでも情報が全くない未踏の地や砂漠、小舟クラスの船で海路などは、給水ポイント無しに該当します。
特に海路は給水魔法の恩恵が大きい様な?
食料さえ尽きなきゃ、どこまでも進めるに変わりますから……大航海時代へ突入が早まる可能性すら?
〇56kgの内訳を再検討
装備類が12kg、水用に6kgで考えると残りは38kg。
つまり――
38日!
戦いに1日、予備日1日の計算で864kmまで遠征可能!
なんと皇居から考えると、札幌や福岡あたりまで!
戦いに1日、帰路も自前で用意なら444km!
同じく大阪・京都はもちろん、神戸まで。北は秋田や盛岡すら目前に!
〇まだまだ頭おかしいよ?
でも、それって――
特別急襲チームを招集したら、そのメンバー全員が元コマンドーだった
ぐらいの想定だよね?
現代アメリカならともかく、封建軍にできた訳がありません。
(が、それ前提となる佐藤賢一先生の主張する常備軍は強かった?)
やはり56kgは人という種の限界レベルであり、平均とは言い難かったりも。
そして訓練すれば男なら誰でも到達可能となるのは、背負い重量30kg程度だそうです(ガチ登山系の叩き台となっている)
よって想定は誰でも到達可能な数字と、種としての限界値の平均――43kgぐらいが適当に思えます。
……計算しにくいから44kg?
移動距離も道なりで考えるなら8掛け。速度も速すぎだから1割減で――18km/日ぐらいしょうか。
〇44kg、18km/日で内訳を再検討
装備類が12kg、水用に6kgで考えると、残りは20kg。
つまり――
20日!
……なんか普通。
「慣れた者なら半月程度の山籠もりは可能だ!」ぐらいの感想です。
距離へ直すと戦いに1日、予備日1日の計算で324km。
地名でいったら仙台や伊勢でしょうか?
戦いに1日、帰路も自前で用意なら171km。地名だと焼津や奥尻、いわきなど。
もう少し幅がある感じで――
「とりあえず急行して。とにかく一週間だけ戦線を維持すること。補給物資や援軍は追って出発させる」
で252kmまで。名古屋、富山、福島あたりとなります。
給水魔法があると水用の6kgが積載量に代わるので、その分だけ有利。
でも、それだけでしかないとも。
☆ 意外な結論
給水魔法の恩恵は、それほど大きくなかった
それよりも補給可能かどうかの方が重要。
給水魔法は確定できる点で偉大なのかも。
〇それでも映えるパターン
装備類を30kgあたりまでグレードを上げると、猶予は三日!
しかし、軍隊vs軍隊の想定なら、やはり装備も必須でしょう。もう元コマンドー想定でもありませんし。
短距離だと制限もタイト――給水できるか不明なので、持ち歩く水も増えそうなのがネックでしょうか。
現実の軍隊なども先行部隊は、補給は後続へ任せて突撃らしいですし(とりあえず現着させないと、どんどん戦況が悪くなるんだそうです)
ですが移動に2日、初日以降は戦闘継続に兵糧と水は現地で調達と……かなりの決死部隊です。
(こう考えると命からがら逃げてきた兵士の報告などへ、絶対に即応できない時代といえる。なぜなら至近距離にしか、緊急の援軍は送れないから)
ちなみに皇居から半径36kmというと千葉市や昭島市、川越なので……絶対防衛圏としてはやや広め?
しかし、給水魔法の使い手がいると9kgほど浮くので、つまりは9日間分まで距離が伸びる計算に!
このチームで6日ほど戦線を持ちこたえるとし、移動に6日まで可能ですから――
108km範囲までは、首都防衛部隊が急行可能
などとできる?
やはり皇居から考えると甲府、沼津、前橋、水戸、宇都宮でしょうか。
首都防衛の近衛部隊などでも良さげですが、国境警備隊などでもOKでしょう。給水魔法の恩恵があるだけで、広い範囲を守れます。
☆ 意外な結論2
給水魔法の恩恵は活動日数の延長より、急行可能範囲を広げる方で意義があった。
〇一日3リットル以上の場合
一日に3リットル以上を供給できても、軍事的な変化はありません。……個人レベルでは。
一般的な風呂ぐらいは用意できるが、150リットルと思われます。
ゆったりと湯舟へ入れるレベルで180リットル。擦切りまで張って200リットルです。
さらにシャワーなどまで考えると+50リットル前後。
標準的なろう作品は200リットルと思われるので――
そのレベルで66人分の飲み水を用意できます
封建軍は――
伍 ×2で 小隊 ×2で 中隊 ×2で 大隊
なんてルールですから、一人で歩兵大隊を支えられます。
それなりに軍隊では募集されるし、基本的に守って貰えるでしょう。捕虜になっても高く売れるかと。
〇馬の場合
馬の斤量を多めに見積もって151kgとしましょう。
(個人的には120kg説を推したいところ。これは参考データに幅あります)
乗る前提だと人の積載量はゼロです。
……鞄へ鞄を入れても、その容量は増えません。
よって151-71で、人馬一組の積載量が80kg!
そして馬は一日に水を40リットル、食料を10kg必要とします。
さらに人も一日に4kgの水と食糧を必要とします!
合計すると一日あたり54kg!
80-54で26kg!
26kgで武装や鞍、最低限度の日用品を賄わないと!
しかし、それをクリアしても――
人里から人里を縫っていかねばなりません!
毎日のように水と飼い葉を求めねばならないからです!
もしくは水は持ち歩かないとしても、確実な水場情報を持っているかでしょう。
同基準で給水魔法がある場合、一日に食料11kgだけを人馬は消費していきますから11×5で55kg!
残り25kgで装備や生活用品を賄ったとして――
5日毎にどこかで食料と飼い葉を補給しなければならない
と変わります。
これは凄い!
「毎日水場へ。できれば一日に二か所」は至難でしょうから、それを無視可能となる意味でも恩恵は大きいです。
そして給水魔法で馬の運用が云々とするには、最低でも一日に43リットルだせなきゃ駄目とも判ります。
また、こまめに出せないと、かなり苦しいです。
夜に100リットルだしたところで、翌日の昼間用に20リットルほど持ち歩くようでは、結果的に荷物を積めません。
休憩の度、馬の為に水をだせるレベルの融通性が必須と思われます。
〇馬+荷馬の場合
積載量が151kg増え合計で231kgとなる代わりに、一日の食糧消費量が21kgとなります。
水を携帯するプランの場合、一日に+83kgです。
よって104×2+23(装備類)で231kgとなり――
二日おきに人里で食料と飼い葉&水を補給すればOK
です。
……ギリギリ運用可能レベル?
これが給水魔法で毎日83リットルをフレキシブルに供給可能とすると――
21×10+21(装備類)で231kgとなり――
十日おきに人里で食料と飼い葉を補給すればOK
となります。
時代から考えると、革新的な便利さでしょう!
もう不毛な砂漠や凍土ですら、馬で踏破可能に!
〇馬へ乗らずに牽いた場合
当然ですが71kg分の空きができる上に、人間の積載量も復活――+44kgします。
(しかし、移動速度は人間準拠へ)
よって馬を一匹連れ歩く行商は、100kg以上の商品を楽に扱えるといえそうです。
また、二匹目からは積載量が+151kgであり、商売規模が倍といっても過言ではなさそう。
〇組織的に利用?
騎馬兵2に対し荷馬1を考えましょう。
これは人2に馬3で、一日に食糧を32kg。水を126リットル消費です。
1セットでの積載量は80+80+151で311kg。
しかし、158×2は316、つまり二日目の必要量が足りなくなり――
毎日、人里で食料と飼い葉&水を補給せねばならない
となります。
……意外にも、この程度に荷馬を増やしたところで改善はされません。
少なくとも騎馬と同数以上が必要?
(そのレベルで数を揃えられたのは騎馬民族だけだろうから、運用面でも他民族を圧倒していた?)
給水魔法ありの騎馬は、軍事に詳しい人が聞いたら、噴飯ものでしょう。
モンゴル騎兵は一日に7~80km。他国でもエリート騎兵は60kmは移動できたといいます。
ようするに騎兵な段階で一日に50kmは移動可能だったり。
それが予備の馬無しでも5日間ほど無補給で行動するんですから、予備日一日で戦闘一日と考えても3×50で150km!
騎馬隊がいる都市から半径150kmは、狼煙一発で一週間もしないうちに急行されちゃいます!
例によって皇居から考えると……一都六県はもちろん、その外周部まで防衛範囲!?
とりまの即応騎馬部隊が、関東全域をカバー!
……むしろ狼煙の到達距離を伸ばす工夫を心配かも?
〇そして軍事や流通以外にも
小麦1kgを作るのに、おおよそ2トン――2000倍の水が必要だそうです。
逆にいえば――
200リットルの水で、100gの小麦が作れる
といえます。
そして成人男性が一日に必要な小麦は1ポンド(ざっくり0.5kg)とされてますから――
一日に1000リットル――1トンの水を作れる術者から狂い始めます。
で、ときおりプール一杯分くらいを湧かしてますが――
あれって1000トンぐらいだからね?
毎日1トンを通年で人ひとり分の農業用水に匹敵。
1000トンを毎日なら千人分。
この規模だと村単位で安泰となります。
……干ばつを回避するだけなら、もっと少なくてもいける?
描写にもよりますが「絶対、干ばつ何かに負けない!」な世界の可能性どころか――
冷害に比べたら対処法が確立しているだけマシ。
むしろ日照で成長が促進されるから大歓迎
な場合すら?
ただ、思ったより農業用水は量が必要で、匙加減レベルになりそう。
……昔のお百姓さんは水を巡って殺し合いをしたぐらいなので、一定以上の給水魔法の使い手――トン単位からは『領地』に匹敵する価値やも。
〇水道橋的な施設の充実
水が上から下へ落ちるを利用した施設は多かったりします。
ですが、史実には給水魔法がありませんでした。でも、なろうテンプレにはあります。
毎日高所へ1000トンの水を供給し、それを一人100リットルずつ消費したら一万人分に。
……もう中規模の都市が賄えてしまいます。
〇術者の数にもよる?
まず地下室とか危険でしょう。
生活するとかありえませんし、活用するのも控えめになると思います。
馬鹿な術者のテロで、知らないうちに溺死確定すら?
同じ理屈で海抜ゼロメートル地帯も。
相手はトン単位でいともたやすく水を作ります。下手したら一日もしないうちに水没かと。
(ので逆に、もはや海抜ゼロメートル地域なんて無くなっているかも? 全て誰かに沈められて)
……潜るタイプのダンジョンとかも、絶対にありえないでしょう。
水を大量に作れる魔法があるのなら、どこかのタイミングで必ず沈められます。
世の中に「チャンスがある」と「やるべき」を混同する人がいる以上、もはや定めです。
〇過大評価しすぎじゃない?
給水魔法でトン単位を論じるのは、やり過ぎと考えられるかもしれません。
でも、プール一杯だしたら1000トンですし――
タイダルウェーブとか大海嘯とか、計算投げ出したくなるレベルだからね?
水の四天王とかフィニッシュブローで使ってくる大津波系のアレです!
人の背より高かったりで……あの威力は計り知れません。
※
津波の怖さは、その基本規模――わずか10cmの高さであろうと、それは遥かかなたの沖合までつながっている――だったりします。
なので津波モドキをプシャーな魔法は、津波基準で語るべきではないでしょう。
しかし、3メートルの高さ×10メートルの横幅×10メートルの奥行と控えめに考えても300リューベ!
つまりは300トンで、荷物満載の大型ダンプ10台分に相当します! ……十回も転生させられたら、記憶なんて微塵も残らないよ!?
これが大物になると横へ10倍ぐらいの規模となりますから……うん、城壁とかが一撃なのも納得するしか!?
※
ちなみにダンプ算は、スピードに言及していないので穴があります。
それでも走っても逃げられないぐらいの速度はありそうだから……時速50km以上でしょうか?
馬に乗っていれば逃げられるとか、なんだか締まらない感じになりますし。
で、時速50km前後だとしたら、暴走トラックの1/3でしょう。
そして水流系攻撃魔法の恐ろしいところは――
この水量が一瞬のうちに出現しているところ!
もし使い手たちに「のんびりでいいから、とにかく多く水を」と頼めば、どこまで作りだせるのやら!?
そして定番の雨!
水の量という観点で、雨はとんでもありません!
まちがいなく雨だなと感じられるのが一時間に1ミリ程度。
しっかりした雨で10ミリ。20~40で注意報。40~60で警報。50ミリ以上から災害レベル。記録的豪雨が100ミリ。
よって魔女の呪いで雨が止まないとかなら1~5ミリ程度。
魔法でなんとか雨を呼べたで1ミリ程度。
戦略的な攻撃に使われたら、最低でも20ミリでしょうか?
逆算的に「1ミリの雨を1時間ほど1000トン分降らしたら、どれくらいの広範囲となるか?」を考えてみました。
1000トンは1000リューベですから、10メートル四方の水です。
これの高さが0.001メートルだと広さは1万メートル平方となります。
つまり、1000トンの給水魔法レベルですら――
100メートル×100メートルの広さへ1時間に1ミリの雨
でしかありません!
でも、雨魔法……これで雨魔法?
これでも凄いじゃんとおっしゃる方もおられるでしょうし、作者もそう思います。
しかし、雨魔法ではないと言いたい!
最低限度でも、この百倍! 1km四方の範囲へ1時間に1ミリの雨を降らせられると設定したい!
ですが、それって――
1時間で10万トンの水を作ると同意義だったり!?
小麦へ直したら、5トン作れる量!
さらにピンポイント方向で困る使い方できたりも。
つまり――
10メートル平方に範囲を絞れば水量は100倍!
1時間に100ミリとか記録的大雨だから!
などを敵国の川でやった日には。
現代ですら決壊の危険があるので、未開世界では絶望的でしょう。
……下手したら治水工事が意味なさ過ぎて、誰もやらない可能性も?
それとも土魔法などが幅を利かし、現代レベルに匹敵とするべき?
※
河川氾濫は、広範囲から雨水が流れ込むので怖いとも。
このピンポイント攻撃では足りない可能性あり。
〇給水魔法も使えぬのに騎士とな?
そして常識も変わるでしょう。
世界観にもよりますが、騎士と名乗るのであれば――
誰だろうと一日に43リットル以上の給水魔法が使える
な可能性すら!
騎手の一人一人が自分の分を用意できれば、中世基準では異常な機動能力といえます。
簡単にいうと――
無補給で200km先まで襲撃可能
です。
独立機動部隊として敵国での破壊工作に従事させたら、なんと――
国境から100kmが襲撃可能範囲!
こうなると国境とか国境警備とか、戦争の不文律とか……ありとあらゆる事象が変化せざるを得ないと思われます。
ちょうどナチスドイツが戦争を変革したのにも似て?
騎士本人が給水魔法を使えないとしても、封建世界であれば給水魔法の使い手を雇い入れると思われます。
ようするに――
ちゃんとした騎士であれば、43リットル級の給水魔法士を伴うものだ
みたいな常識となるでしょう。
もし雇っていなければ、それは軍馬を持っていないレベルの恥とか?
〇簡単なグレード付け
・一日に3リットル未満
無駄ではない。が、明確に有利な指針も思い付かず
・3リットル以上
単独での行動が保証。
これを前提とした特別部隊などの設立もあり得る。
冒険者には必須?
・6リットル以上、42リットル以下
自分以外を支えることが可能になる。ここからが本領発揮
10人前後の小集団を支えられれば用途も広い。
・43リットル以上
馬を支えられるようになる。
専門の給水魔法士、上級騎士、特別騎兵と多様性が生まれる。
・43×n
一人で数頭の馬を支えれてしまう。
なろう標準200リットルでは5頭弱。騎兵部隊の伍を一人で支えられる計算。
世界によっては騎兵長的な前提条件とか? それとも部隊に数名確保?
歩兵で考えても10名単位となり、異常な支持力。
これを奴隷などで考えたら世界観にもよるが、おそらく軍馬より高い。
軍事的にも電撃戦という概念が生まれるはず。
・1トン級
水源のない地域でも農耕が可能に。
砂漠緑化とか、現代でも難しい問題解決すら?
おそらく科学を魔法が超える境界線。
・10トン級
1000人単位の軍隊が、給水を考えずに行動を開始する。
歴史に名高い『ハンニバルのアルプス越え』級な奇策の温床に。
この世界では敵軍の侵攻ルートを特定するのが至難の業。
・100トン級
基本、軍隊は給水を考えなくなる。
干ばつ被害の消失。
テラフォーミング級の環境改善が可能に。
いわゆる水計が、えげつないことに。
簡易的な上水道または中水道が確立可能に。
・1000トン級
雨が降らなくても生存可能に。村とか街単位で影響を。
技術力にもよるが、なんの脈絡もない場所に運河を作れる。汽車や車、馬車連絡網より発想が容易だし、それでいて流通革命どころじゃない。
……かなぁ?
これはトン単位から術者は存在しない世界観の方が良いかも。
なろう標準である200リットルですら、見たものが腰を抜かすレベルでないと苦しそう。
〇水準の例
・4人に1人は水魔法の素養があって、修行すれば水を作ることができるよ!
・その内で10人に1人が3リットル以上の水を!
・さらにその中でも10に1人が、6リットル以上42リットル以下の水を!
・さらにさらにその中でも10に1人が43リットル以上を!
・43×n? 貴様は人間か!? うごーっ!
これだと43リットル超級が人口の1/4000。
総人口100万の大国であっても、250人しかいない計算に!
この程度な人数であれば、超機動騎兵部隊が結成されても、それほど世界が歪まないで済む?
6~42リットル級も2500人ですから、特殊部隊としては成立しても、世界標準とはならずに済むでしょう。
3リットル級は25000人と多いですが、激しく世界を歪まさないだろうから耐えきれる……かな?
なろう水準200リットル超は、引き続き驚かれてください(苦笑)
※
しかし、3リットル級を333人雇用すれば、疑似的な1トン術者に匹敵!
3333人で10トン級! 任務によっては日数で掛け算すら!?
……城レベルの防衛機構は、必ず水堀をもっているすら常識に!?
王お抱えの給水部隊が、干ばつの村を救うとか?
軍隊用に、どこへでも給水基地を設営できたり!?
……さらに水準を1/10するべきやも。
〇制限の例
同じ場所で頻繁に給水魔法を使うと、周囲の水のマナが枯れてしまって、しばらく使えなくなるんじゃ!
……これで大量の水を活用できない理由付けに。
同時に「給水魔法で農業用水問題解決!」が出来なくもなる。
でも、導入しとくべきだと思います。
〇津波モドキをプシャー!
・まず大前提として、これは伝説級の大魔法だ!
・実際に水として作り出されたのは200リットル程度(なろう級)
・残りの約95%は水のマナが一時的に現界しただけで、すぐに消滅する
・連発? はは、御冗談を。できる訳ないでしょ。
〇雨レベルの魔法
・基本的に人間単独では不可能
・大精霊や神、亜神、半神、魔王などの助力を必要とする
・使うだけで超存在から要注意扱いレベル
とすれば、世界から雨魔法を失わさず制御可能でしょう。
ファンタジー世界なのに無かったら悲しいですし。
〇蛇足的閃き
水の加護がある国とかは、給水魔法の使い手も多くなるはずで、つまりは超機動騎兵部隊も作れる?
意外と斬新な特徴づけかも。
あ、版権フリーなんで欲しい方は持っていってください(苦笑)
そして『津波モドキ』のミニマム版な1/10~1/30程度でも、なんと――
暴走トラック一台分の破壊力が!ww
基礎攻撃魔法ウォーターみたいなのは定番ですが、予想以上に強力かも?
ビジュアル的に指先から水鉄砲みたいな感じでも、その衝撃はヘビー級ボクサーのパンチに匹敵かも。
……本気で撃ったら力士のぶちかまし!?
☆☆ 結論 ☆☆
・3リットル級以下は、少人数の環境なら激変しない
・それでも通常では不可能な挙動が可能に
・3リットル級以下では、補給確定と考えると実情に沿う?
・不毛地や海路の開拓は進む
・6~42リットル級が多いと、歩兵運用も激変
・43リットル級は個人でも激変させる。集団なら尚更
・超機動騎馬軍団から、戦争が変わる。中世ファンタジーの域を出てしまう
・場合によっては干ばつ被害のない世界へ
・カリオストロの城なみに水が利用されることも(街を水没とか楽勝)
・トン単位の術者は危険なので設定しない方が無難
・津波プシャーは特殊設定山盛り安定
・雨魔法は超存在重点
・同じ場所で頻繁に使えない制限を推奨
・3リットル級以下でも、3桁以上の雇用で世界を変える
かな?
まあ、最初の叩き台程度には?
〇あとがき的なナニカ
しかし、まだ完全上位互換すら可能な『収納魔法』というラスボスが!ww
……仮に200kgほど収納できるとするでそ?
つまりは水40リットル×5と見做せるから――
それって40リットル級の給水魔法を兼ねてますよね?
といえます!
しかも、なぜか収納魔法界では小物もいいところだよ、200kg級とか!?
でも、まあ……さすがに40リットル級に準じれる程度で、完全コンパチとはいきませんが。
(201リットル目から汲みに戻らなきゃならないし、そもそも水源が必要)
でもねぇ、200kg級の収納能力とか……――
本当に給水魔法も必要だったんですか?
レベルの話かも。
201kgほど水へ積載スペース使うと、3リットル×61で二か月分の水に匹敵します。
どころか、それで風呂にでも入ったら――
150リットル級以下ではできないことを実現している
ことになります。
(よって給水魔法と収納魔法の複合能力者が、風呂入りたくて貯水という奇天烈なことするやも。あ、版権フリーで!)
……毎日入らせたかったら、150リットル級の給水魔法だけど。
でも、毎日風呂へ入りたい。もしくは、そうでなければ主人公へ感情移入しにくいのであれば――
ファンタジー作品は向いてないんじゃない?
とも思います。
人間、一週間やそこいら風呂へ入らずとも死にはしません!
それぐらいのワイルドさが中世ファンタジーでは必要と思わなくもなかったり。
まあ、毎日風呂へ入っていそうな石鹸の臭いがするヒーローが好きというのも、つきつめたら趣味の問題かなぁ。
ワイルドさを求めたい作者と同じく、人それぞれの好みですし?
とにかく!
ラスボスへ挑む元気がてたら……続編?