#2
「トオル様ですね。私はクリスとお呼び下さいませ」
王女クリス……が略称を提案してきたが、何故か周りがザワついてる。
「…王女が呼び捨てを認めているだと…⁉️」
「…誰にも略称を認めてなかったのに‼️」
「…王女に豚と罵られたい!」
何か変なのも聞こえた気がするが、まぁ気のせいだろう。
「わかった。で、クリス。この世界での状況を教えて欲しい」
一瞬嬉しそうな顔をするも、眉間に皺を寄せる。
「状況は芳しくありません。災厄と申しましたが実際には『魔王』が存在しているのを確認し、攻勢を受けています。最初は魔物の異常発生かと思っていたのですが、魔国との国境にある領地が壊滅しました。現時点では防壁と挙兵で小康状態にあります。ですがいつ攻勢にかけられてもおかしくない状態です」
まぁ、ある意味予想通りか。
異世界の者が呼ばれるって時点でそうなんだろうとは薄々理解してはいたけどさ。
でも、今の俺には何の力も知識も無い。
「クリス、今後の予定は?俺はどうすれば良い?この世界での知識も力も無いんだが」
問いかけながら、先程の魔導士と隣に居る鎧を着込んでいる男……騎士か?……を見る。
「……そうですわね、暫くは魔法の修練と剣の鍛練でしょうか。魔法は魔導士が、剣はこの騎士団長が教えて下さいますわ」
やっぱり騎士だったか。う~む、厳つい。
「あ、午後は眠くなるから剣の鍛練で頼む」
鼻で笑われた。くっそ、今に見てろよ。
「トオル様、お部屋を用意しますので暫しお待ち下さいませ。あなた達、くれぐれも粗相の無い様にして下さいませ」
姫さんは指示を出すと忙しそうに動き廻っている。
優雅なのも悪くないが、アクティブな姫さんも魅力的だなぁ。
ん?誰か近づいてきたぞ。
「トオル様、先程姫様が申していた魔法の修練は私がさせて頂きます」
「こんな子供で大丈夫なんですかねぇ。おっと失礼。剣の鍛練は自分が受け持ちますので」
魔導士と騎士団長がやってきたが、団長は厳つい割には皮肉屋でもあるのか?
「はは、すいませんね子供で。まぁ、出来る範囲でやっていくつもりなので宜しくお願いします」
この先、師匠になる人物であり、現時点での立場でも上位でもあるので素直に頭を下げる。
あんまりキツくなければ良いんだけど……多分無理だろうなぁ。
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