漬物石

私は漬物石だ

ただ毎日漬物を漬けるだけのつまらない人生

今日も昨日も漬物を漬けて

明日も恐らくそうなのだろう

自分は何もする事も出来ずただ毎日同じことを続けているだけ

漬物を漬ける以外の目的も持たず

ただ毎日漬物を漬けているだけ

どうせなら死んでしまいたかった

人間には輪廻という概念があるらしい

こんな人生、死んでいるのと同じだ

だから、さっさと死んで新しく漬物石以外の人生を歩みたい

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ある日、毎日のような漬物石の人生に終わりが訪れた

毎晩、漬物を捏ねに来る筈の人が来ないのである

次の日、すすり泣くような声が家中から聞こえた

きっと、死んでしまったのだろう

なんと羨ましいことだろうか

だが、これで遂に私も漬物石を辞めることができる

やっと新しい人生を歩めるのだ

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後日、新しい住人によって漬物石は庭に捨てられ、漬物石としての人生を終えた

漬物石の願いは確かに叶ったのだが、漬物石は唯の庭石になっただけだったのである

確かに、新しい庭石としての人生を始めることは出来たのかも知れないが、庭石という、全ての目的を失いただそこにあるだけの存在になってしまったのである

まだ漬物を漬けるという目的があった方が幸せだったのかもしれない