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第3章ー1 満州事変

 第3章の始まりです。

 満州事変の原因については、どこまでさかのぼるかによって、研究者の意見は食い違ってくる。

 最も古い原因を求めれば、間島問題にまで求める研究者までいる。


 間島問題とは、中国(満州)と韓国(朝鮮)との国境、豆満江の北方左岸地域、間島を巡る問題のことで、この地に17世紀以降に朝鮮族が住みついたことが発端とされることが多い。

 当時、中国(満州)を統治していた清帝国は、この地を自国領と宣言して、朝鮮族が住みつくことを止めようとしたが、朝鮮族は農地を求めて、間島の開拓を続けた。

 厄介なことに、1882年以降、清帝国は漢民族の間島への移住、開拓を許可したことから、古来から住む満州族のみならず、朝鮮族、新来の漢民族と三つ巴の民族問題にまで、間島問題は発展してしまった。


 その後、日清戦争、日露戦争を経て、1910年に大韓王国が成立すると、大韓王国は、間島は自国領であると宣言、清帝国の猛反発を受けたが、清帝国はすぐに辛亥革命により、中華民国になった。

 日米は南満州鉄道の共同経営等、南満州に権益を持つ一方、大韓王国とも密接な関係を築いていたことから、間島問題に介入せざるを得ない状態になり、日米の調整の結果、1887年に当時の李氏朝鮮が主張した線を、中華民国と大韓王国の暫定国境線とすることが、1912年に定まったが、紛争の火種はくすぶり続けた。


 例えば、1915年の対華14カ条要求の成果については、日本の同盟国である大韓王国にも適用があり、韓国民は満州の土地について日米と同様の特権を持つ、と1916年に大韓王国は主張して、中華民国政府(北京政府)との間が、一触即発の事態にまで至っている。

 この時は、日米の介入により、何とか中国と韓国は、銃火を交えずに済んだということがあった。


 そして、1928年の張作霖爆殺事件後、張作霖の後継者の張学良は、北京の中国新政府に合流したのだが、、間島の朝鮮族に対する迫害が、格段に強化される事態が起きていた。

 例えば、間島に住む朝鮮族が所有している土地について、正式な土地の所有者と証明できない場合は、不当な所有だとして、容赦なく中国の国有地として、没収されるようになった。

 大韓王国政府は、中国新政府に、正式に抗議したが、不当な内政干渉であるとして、中国新政府は聞く耳を持とうとしなかった。


 更に、大韓王国の国民の感情を逆撫ですることがあった。


 中国国民党左派、更に、中国共産党は、中華民族主義を唱えた。

 これは、(かなりの要約になるが)中国に住む国民は、一体の単一民族であるという主張である。

 そして、中国に住む以上、少なくとも間島の朝鮮族は、中華民族の一員ということになる。

 それを敷衍して、朝鮮族全てが中華民族であり、大韓王国は、中国の一部であるという主張が、中国国内に現れだしたのである。


「元山や釜山まで中国領である」

「間島問題等、全く存在しない。何故なら、中国は中華単一民族だからだ」

 

 こういった主張を聞いた大韓王国の国民は怒りを覚えると共に、不安を覚えた。

 いずれ、中国は大韓王国を併合しようと武力侵攻してくるのではないか。

 そうなる前に、機先を制して、満州を日米と共に制圧して自国の防衛を図るべきではないか。


 そういった声が、韓国内において、徐々に高まるようになった。

 そして、実際に不安を覚えた韓国軍の一部の幹部は、米国政府の一部と密接な連絡を取るようになった。

 では、何故、彼らが、日本政府と連絡を取らないのか。


 それは当時、立憲民政党が日本政府を握っており、いわゆる幣原外交が行われていたためだった。

 幣原外交は対中宥和外交として知られていたので、韓国軍の幹部は日本を頼らなかったのである。 

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