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処女作ですので、優しい目でお読みください。

「あ、あああ、あの、すすす好きですッ!!!」

「え?」

カウンターの女の子の怪訝そうな顔が目に映る。

「あっ!!い、いえ!すすすスマイルくださいッ!!!」

「あ、はい!ありがとうございます」

女の子は一瞬驚いた顔をしたものの、その言葉と同時に花が咲いたような可愛らしい笑顔を向けてくれた。

 俺は足下から沸き上がってくる熱が徐々に顔までくるのを自覚すると、どうしようもなく胸が苦しくなって女の子に背を向け、目的だったハンバーガーのセットも注文するのも忘れて自宅に走って帰ってしまった。




 お気に入りのテディベアを抱きしめ、ベッドに横になる。

 3日前の、あの女の子の笑顔を思い出すと今も熱が顔に集まり胸が苦しくなる。あの子にまた笑いかけてもらいたくなる。しかし、どうしてあんな言葉を言ってしまったのかという羞恥が彼女のいるファーストフード店にいくことを阻むのだ。

「どうしよう」

なぜあんなことになってしまったのか。

週末の学校帰り。頼まれて行ったファーストフード店。ほとんどの学生は部活をしている時間のため店内はガランとしており、店員も少なくカウンターには女の子が一人。

「いらっしゃいませー」

女の子独特の声が店内に響くと、店内には俺とカウンターを隔てて向こうにいる彼女の二人だけであるかのような感覚になり、気づけば告白まがいな言葉を口にしてしまっていたのである。


彼女に会いたい。でもどんな顔して会ったらいいのかわからない。

「どうしたらいいんだ…」

両手に抱き上げたテディベアをばふっと思い切り抱きしめた。同時に部屋のドアが開く音がし、目だけをそちらに向けた。

「あらあらあらあら、どうしたのなっくん?」

おっとりした口調、黒い艶やかで長い髪が特徴的な女が頬に手を当て小首を傾げて立っていた。

「百合姉さん!ノックくらいしてよ!」

「したわよぅ、何度も何度もなっくんのこと呼びながら」

「…え」

…あ。

百合と抱きしめたテディベアを見比べ、自分の状況を把握すると先ほどとは違う羞恥に襲われる。

テディベアを見てからまた百合を見ると、百合は憐れみの目を俺に向けていた。


嫌な気がした。

「…や、違う!違うから!!!」

咄嗟に否定したけれど!何に対して否定したのか俺もわかんないけど!でも良からぬことを考えていることはわかる!!


「なっくん…。なっくんにぬいぐるみとアレコレするような趣味があろうとなかろうとお姉ちゃんはなっくんの見方よ。大丈夫。だからとりあえずそのぬいぐるみから離れなさい。」

アレコレってナニ!?離れろってどういうこと!?

「えッ、ちょッ…!」

「それにね、なっくん。お姉ちゃんおなかすいた。ご飯、まだ?」

誤解を解こうと言葉を紡ぐも、後の百合の言葉にスッと頭が冷えた。

「…今何時?」

「6時半よ、夜の。」

ヤバイ

 血の気が引くのを感じて身体が固まるが、あの人が帰る前に夕飯の支度が終わってなかったときの恐怖を考えると身体は勝手に入り口を塞ぐ百合を押し退け、キッチンに向かって駆けていた。



いざキッチンに立っても献立を何も考えていなかったことに気づき再度固まってしまう。

とにかく冷蔵庫を開け、中身を確認する。

 どうしよう。急がなければ。

「どうしたら」

「私はぁ、ナツお手製の煮込みハンバーグがいいなぁ?」

背後から死刑執行に代わる声がした。

「ぁう、ささ桜姉さん早いお帰りだね」

ガツッ

「いッ!イダダダダダ」

振り向き様に左右のコメカミを中指第二関節でグリグリされ、痛みに悶える。

「アンタ三日前も夕飯遅らせて私に無駄な労力使わせたの忘れたわけ?」

「桜ちゃん、労力って?」

「怒り」

「や、桜姉さんはいつも怒って」

「あ?」

「ごめんなさいすいませんでした」

桜の両手は確実に俺のコメカミを捉えていた。


「もういいじゃないの。ね、桜ちゃん。お腹すいたし、作れるのなっくんだけだし」

「ナツ、煮込みハンバーグじゃなくてもいいわ。早くしてよね」

百合のお陰で事なきを得た。


はぁ

拝読ありがとうございました。

ゆっくり投稿しますが、何卒何卒。

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