つなーたちつまーつむつんな あ、あとあー、あたーうーな
アラビア語が各国の言語を押しのけて最高難易度を誇る理由 そのにっ
多過ぎる人称活用
ドイツ語VSアラビア語バトル再燃~動詞編~
E「アラビア語は性と格の点で言うとドイツ語より簡単だな。ドイツ語は4つの格(主格・属格・与格・対格)で変化するし、性は男性・中性・女性の三種類だ」
アブクール「そうだね。でもアラビア語で難しいところは他にもあるよ。例えば、アラビア語の動詞の人称活用は13個ある」
E・中原「13個!?」
كَتَبَ kataba 「書く」の人称活用
※通常、アラビア語の動詞の辞書形は「彼は書いた」という形で表現される。動名詞は別にある。
كَتَبْتُ katabtu 私は書いた
كَتَبْنَا katabnaa 私達は書いた
كَتَبْتَ katabta あなた(男性)は書いた
كَتَبْتِ katabti あなた(女性)は書いた
كَتَبْتُمَا katabtumaa あなたたち二人は書いた
كَتَبْتُمْ katabtum あなたたち(男性)は書いた
كَتَبْتُنَّ katabtunna あなたたち(女性)は書いた
كَتَبَ kataba 彼は書いた
كَتَبَتْ katabat 彼女は書いた
كَتَبَا katabaa 彼ら二人は書いた
كَتَبَتَا katabataa 彼女ら二人は書いた
كَتَبُوا katabuu 彼らは書いた
كَتَبْنَ katabna 彼女らは書いた
E「確かにこれはすごいな。ドイツ語ではそもそも六個しか人称変化しないし、一人称複数と三人称複数は大体同じ活用になるから」
中原「ほげえー、こんなの覚えられねえよ」
アブクール「あとこれの現在形もある。アラビア語の動詞は規則的に変化するものが多いから、ある程度覚えてしまえばそんなに難しくもないよ」
中原「いやいや、そんなこと言っても主語になる名詞の性とか単数・双数・複数になるかまで気にしなきゃならないのはキ●ガイじみてるわ」
アブクール「あと、アラビア語には十個の派生動詞というのがある」
E・中原「なんだそれ」
アブクール「前も言ったけど、アラビア語の動詞は大体三子音語根からできていて、その語根をもとに一つの動詞に十種類派生形を作れるんだ。第一形は基本形なんだけど、これを第三形にすると相互行為の意味が加わるので、例えば第一形のkatabaを第三形のkaatabaにすると書きあう・文通するみたいな意味になるよ」
E「ワーオ、すごい! ドイツ語でもある動詞から派生して色々動詞は作れるけど、中の母音が入れ替わったりはしないね」
中原「おい待て……全部の動詞が十個派生動詞持ってるのか」
アブクール「いや、そんなことはないよ。むしろ全部の派生形を持つ動詞なんてないし、モノによるかな。例えば كَلَّمَ kallama 『(誰々と)話す』はそもそも第二形、『話す』تَكَلَّمَ takallamaは第五形で同じ語根から派生してるけど第一形は存在しない」
中原「よかった……」
アブクール「時制で言うと、動詞の活用形としては現在と過去しかないしね。他の時制を表すには、別の単語と組み合わせて表現する。例えば未来形なら、『سَوْفَ sawfa+現在形』で表す」
E「ドイツ語もwerden使うから似たようなものだな」
アブクール「ただ、アラビア語には接続法があるね」
E「おお、それはドイツ語もあるよ」
アブクール「さらにそれに加えて要求形というのもある」
中原「よーきゅーけー?^q^」
アブクール「まあ、接続法の亜種だと思って。でもアラビア語の接続法はうしろの母音を-aに変えるだけだし、そんなに難しくないよ。要求形も母音を落とすだけ」
接続法というのは、ヨーロッパの言語に広くみられる法の一つで、普通に使う直説法に対してその動作に確証が持てない場合や達成できない願望などを表す場合に使う。英語だと仮定法に吸収されてしまった。
If it were not for him, the project would fail. これがwereになっているのは接続法の名残です。ウィキペディアより★
アブクール「アラビア語の動詞を動名詞にしようとすると、動詞によってかなり違う形になるからすごく面倒だよ。それにアラビア語はドイツ語とかスペイン語、フランス語みたいな言語と違って受動態は動詞の形自体が変化するからそれも覚えないとだし」
E「ま、ドイツ語には分離動詞やV2語順とか、アラビア語とは違った難しさがあるのさ!」
アブクール「いやいや、アラビア語の動詞を否定文にするともっとややこしくてだな」
中原「あのー」
E「ドイツ語は××」
アブクール「アラビア語は△△」
中原「あうあうあー^q^」
やはり今回も決着はつかないようであった。