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18  作者: 杏子鮫
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高校入学

私の誕生日は国民の祝日だ。


週末に誕生日を控えたある年、校門でBちゃんが私のことを待っていた。Bちゃんは中学生になってもっと暗い子になっていた。前髪は顎よりも長かった。あまり話しもしなかったので驚いたが、Bちゃんは私にお菓子を手渡して、笑顔でお誕生日おめでとうと言った。


私は許された気持ちになった。焦って笑顔を作ってありがとうと言った。来年はBちゃんにプレゼントあげるねと言った。


帰り道、ふと私は自分の傲慢さに、彼女の態度にも恐怖を感じたのを覚えている。Bちゃんは忘れちゃいけないんだよ。Bちゃんはあの時からも、私だけにはよく話しかけた。


高校に入ってから駅でBちゃんに会ったときも、Bちゃんから話しかけてくれた。穏やかな話しぶりだった。髪の毛は一度も切ってないみたいにとても長かった。



私は高校入試が終え、第一志望に合格した。途端に謎の虚無感に襲われ、高校では何も要らないし作らないと決めた。

変わった校風で、クラスが無かった。馴れ馴れしく人々が作り笑顔で声を掛けてニコニコし合うのに吐き気を覚えた。見た目もどうでも良くなった。気づいたら一人だった。

でも、本質的に臆病な私は孤独に耐えられなかった。


友達を作るために無理してダンス部に入部した。ダンスなんて大嫌いで、半年間なんの目標も持ち合わせずにやった。

けれど友達は獲得した。


友達を獲得して、友達の友達が増えた。その内の一人のFちゃんに、顔がデカイと揶揄された。


私は自分がブスなことを小学三年生から自覚していた。毎回のクラスで自分が何番目に可愛いかを数えていた。いつもビリから3番目以内には自分を入れていた。そうやって自分を守っていた。


今思えば、私は絶望的なブスではなかったが、Fちゃんのその言葉で私は完全に自信を失った。入学当初からの虚無感と混ざり合い、いたずらに悲観的になることに気持ち良くなった。


電車の車体に写る自分の顔の大きさが隣の人を上回るとトイレに駆け込み自分の顔を殴った。青アザが出来るまで殴ると不思議と自分の顔が凹んだ気がして心が落ち着いた。自分が精神異常者みたいで面白かった。

精神異常者の自分で全てを片付けたい。面白おかしい。


ダンス部で手に入れた友達はとても良い子達だった。側にいるだけでキュークツで常識が彼女たちの根底に流れてるのが気に入らなかった。私は、異端へ自分を追い込みたいと常に思っているのかもしれない。

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