理由
職員室には、担任の 坂崎尚弥 先生がいた。「坂崎先生。」坂崎先生は私が要件を話す前に口を開いた。「分かった。名賀の事だろ?」名賀とは、彼のことである。
名賀アキラ。彼とは高校入学からずっと隣の席の関係だ。
私が一度彼の家に行ったら、彼は私に優しくキスをした。でも、それ以上は行かなかった。と言うか、行かせてくれなかった。
私が、「私の事好きなの?」って聞いても、「別に。」私が、「私はあんたの事嫌い。」
って言っても、「あっそ。」って。
彼は良く分からなくて、でも近寄りたかった。気持ちをコントロール出来なかった。
彼の隣が、居心地良かった。
「それで、名賀君はなんで学校に来ないんですか?」
「名賀は、今入院してんだ。」
「え?!なんかの病気なんですか?!」
「いや、そこまでは分かんないんだよ。」
「病院、何処ですか?」
私、なんでこんなに必死なの?
「それは教えられないな。」
「何処ですか?…」
名賀の事好きじゃ無いのに。
何してんの…。
行ったって帰されること位わかってんのに。
「先生…。教えてくださいよ。」
いつの間にか、私の瞳は涙で溢れかえっていた。
…恥ずかしい。
「…病院。」
「…え?」
「坂下病院。早く行ってこい。言ってやった代わりに、今度一緒にデートしてくれよ!」
「ありがとう、先生…。デートは考えておきます!」
坂崎先生は、
若い女の子が好きらしい。その理由もあって教師になったとか…。
私は急いで坂下病院へ向かった。ちゃんと履いてない靴なんてどうでも良くて、ただただ、一刻も早く彼に会いたかった。
学校から坂下病院は駅で二駅位の距離。
そうこうしてるうちに、坂下病院に着いた。