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 放課後の廊下を歩いていると、1年生らしき少年が2枚の書類を手に駆け寄ってきた。顔見知りではないが、顔と名前は記憶している。そしてその書類の内容も察しがついている。


「……締め切りはもう過ぎたはずだけど…?」


 一応、そう窘めてみるが、特に気にした風もなく、少年は書類を差し出してきた。


「遅れてすみません。でも、理由はわかってもらえるはずです。入学して最初の晴れの舞台で、恥をかきたくありませんから」


 そう言って押し付けるように渡された書類に目を通す。不備はない。提出期限以外は。


「……わかりました。受理します。新しい相手の子はお友達かしら?」

「従妹です。気心知れた相手の方がいいでしょう?」


 …つまり書類自体はだいぶ前に用意できていたのか。…まあ、こんなギリギリになるのは予想外だったけど、それ以外は予測の範囲だ。


「そう、それじゃあ、パーティーではめいいっぱい楽しんでね」


 にっこりと微笑みかけてやれば、なぜかビクリとされた。何でだ。

 少年が立ち去った後、もう一度、書類を見る。


「事前に書類を出してきただけマシと思うべきかしらね……」


 ともかく、やることがまた一つ増えた。私は書類を持ち歩いているファイルケースにしまい、生徒会室へ向かった。




 華やかに飾り付けられた校門のロータリーに次々と高級車が停まり、着飾った男女が手を取り合って門をくぐる。受付でもスーツやドレスに身を包んだ執行部の3年生が名簿をチェックしてパーティーのプログラムが載ったパンフレットを渡す。

 その後参加者はメイン会場となる講堂へと移動するのだが、ほとんどの生徒がその場に留まっていた。彼らの視線は校門前に並んで立つ二人の男子生徒に注がれている。女生徒は頬を染めて熱を帯びた視線を送り、男子生徒は嫉妬や憧憬の籠った視線を送っている。

 すらりとした長身をダークブルーのスーツに包み、胸には鮮やかなオレンジ色のチーフを覗かせた青年は時計をちらりと見て溜息をつく。どうやら待ち合わせの相手が遅れているようだ。黄金色の髪が陽の光を受けて煌めき、碧の瞳は穏やかに細められている。

 もう一人は幼さの残る少女めいた顔立ちだが表情は涼やかで、癖のない黒髪はそよ風にすら衣擦れの音を立てそうなほどさらさらと揺れている。小柄で華奢な体躯を黒を基調にグリーンをあしらったスーツに身を包んでいた。


 パートナーの到着を待っているらしい学園の有名人二人の姿に、段々と人だかりができ始める。

 二人とも、注目を浴びることには慣れたもので、気にする様子もなく、声をかけられれば笑顔で挨拶をかわす。その笑顔見たさに女生徒は足を止めてしきりに声をかけ、そのパートナーである男子生徒も留まらざるを得なくなっている。あっという間に正門付近は黒山の人だかりになった。


「篠谷、お前たちはここで待ち合わせなのか?」


 ロータリーに入ってきたシルバーメタリックのベンツから運転手にドアを開けてもらい降りてきた眼鏡の青年、風紀委員長の菅原すがはらなつめが共に車から降りてきた監査委員長、五葉松ごようまつ亜紀あきを伴って二人の前に立つ。ダークブラウンのスーツに身を包んだ菅原と淡い紫のドレス姿の五葉松は美しく、お似合いのカップルにしか見えない。周囲から感嘆の溜息が聞こえてくる。


「おはようございます、棗先輩。亜紀先輩も。今日は一段とお美しいですね」

「ありがとう。あなたも素敵よ。それで? あなたの可愛いパートナーさんはまだなのかしら?」

「女性の身支度が時間がかかるのは世の常です。…そろそろだとは思いますが」

「てっきり迎えに行って一緒に登校してくると思ってたのにな」


 そんな話をしているところへ、黒塗りのハイヤーがロータリーに入ってきて停まった。運転手が降りてきて、後部座席のドアを開ける。中から降りようとする人物を見て、黒髪の少年、加賀谷かがたにそうが小走りに駆け寄った。手を差し述べて、よろけそうになった小柄な少女を支える。

 車から降りてきたのは、淡い桜のちりばめられた西陣織をアレンジして仕立てられたドレスに身を包んだ美しい少女だった。アップスタイルに結いあげられた髪には花のコサージュが飾られ、控えめな薄化粧の施された顔は緊張と恥じらいに桃色に染まり、垂れ気味の大きな瞳は少し驚いたように丸く見開かれ、少年のエスコートに照れくさそうに応える仕草も初々しい。咲き初めの桃の花のような愛らしい姿に、周囲がどよめく。


「おはようございます。葛城かつらぎ桃香ももかさん。僕はB組の加賀谷桑です。今日はよろしくお願いします」

「あ、こ、こちらこそよろしくね。えっと…加賀谷くん」


 改まった挨拶に少女―桃香があわててぴょこんと頭を下げる。そんな仕草も小動物的で愛らしく、加賀谷と並ぶと一対の人形のようだ。

 桃香が加賀谷に手を取られ、車から少し離れると、金髪碧眼の青年―生徒会長の篠谷しのや侑李ゆうりがゆったりとした動作で車へ歩み寄る。桃香と同乗してきたもう一人、彼のパートナーを迎えるためだ。

 そんな中で、車から篠谷の手を借りて降りてきた人物に、周囲から驚きの声が次々と上がった。


「……え………?!」

「なあ…あれって……」

「え?! 何で…??!」

「うそ?!」


 ざわめく周囲の様子を気にすることなく、篠谷は手を取った相手に優しく微笑みかけた。サーモンオレンジのグラデーションのドレスはふんだんにフリルがあしらわれ、妖精のような可憐な雰囲気を醸し出している。頭の左右の高い位置で結いあげられた栗色の髪は一部をくるくると巻いて垂らし、レースとリボンで飾られている。小柄で華奢な身体は緊張の為震えていて、少女を可憐で儚げに見せていた。


「おはようございます。ドレス、良くお似合いですよ、嘉穂かほ

「あ…ありがとうございます」


 篠谷のエスコートに恥ずかしげに俯く小柄な美少女は、胡桃澤くるみざわ嘉穂かほだった。噂では生徒会長は副会長である葛城かつらぎ真梨香まりかと組むことになっていたはずだったというのにと、予想外の光景に校門前は騒然となる。

 動じることなく振舞っているのは、篠谷と加賀谷くらいのものだ。桃香はなぜ周りがここまで騒いでいるのかわからず戸惑っているし、胡桃澤は居心地が悪そうに身を縮めている。

 そんな二人や周囲の様子に気づいているのかいないのか、篠谷は少し大仰に、芝居がかった仕草で胸に手を当て、反対の手で学園の正面玄関を指し示した。


「さあ、ようこそ、桜花学園新入生歓迎パーティーへ。僕はあなた方の入学を心から歓迎いたします」


 そう言って、咲き誇る花々も霞むような、大輪の笑顔を浮かべて見せた。周囲の人込みから、女生徒の黄色い悲鳴が響き渡る。


「え? えっと…、あの、ありがとうございます…?」

「そんな…侑李先輩、あの…」

「二人とも僕の大事な後輩です。歓迎しないわけないじゃありませんか」


 戸惑う少女二人にさらに篠谷が畳みかける。周囲のざわめきが一段と高くなり、騒ぎを聞きつけて、講堂に入っていた生徒まで外に出てくる始末だ。


「……とりあえず、掴みはこんなもんかしら…?」


 校舎の正面玄関の3階、外から死角になっている窓辺に立って下の騒ぎを見下ろしながら、私は呟いた。耳に付けたイヤホンからは篠谷たちの会話が聞こえてくる。

 胡桃澤のパートナーに登録されていた少年がその解消と新しいパートナーとの再登録の書類を持ってきたのは書類の提出期限を過ぎていたのだが、あえて受理をしたのはこの為だ。元々、篠谷のパートナーを引き受けた時、もしもの場合はという事で、篠谷に胡桃澤をエスコートしてもらうようお願いしていたのだ。けれど書類締切になっても胡桃澤のパートナーが解消を申し出てこなかったので、このままいけば、事前の噂通り、私が篠谷にエスコートされていただろう。ただし、あの少年が、最後まで書類を出さず、胡桃澤のエスコートをドタキャンする可能性もあったので、どのみち篠谷に胡桃澤のフォローをしてもらうつもりだったのだが。


 加賀谷少年のポケットに忍ばせた高性能らしいマイクは周囲のざわめきをも拾ってくる。


『…会長の相手って副会長じゃなかったのかよ?』

『いや、でもあの二人って普段から喧嘩が絶えないらしいし、一度組んだものの喧嘩別れしたのかも…?』

『それにしたって…あの胡桃澤を選ぶか…?』

『…待て、よく考えたら、胡桃澤は元々会長や加賀谷とは初等部から一緒だろ? 問題起こしたって言っても、会長たちと縁を切ったとは言い切れないんじゃないか?』

『生徒会は辞めさせられたけど、プライベートでは今まで通りってことか?』

『だろうな…。つまり、胡桃澤に余計なちょっかいかけたら会長と加賀谷を敵に回すって事か…』

『いや、いないだろ、そんな命知らず…』


 概ねこちらの思惑通りの反応を引き出せている。生徒会長として胡桃澤を庇うことはできなくても、プライベートでは仲良くすると見せつければ、周囲は胡桃澤のバックに篠谷がついたと思い込んでくれるだろう。そうなれば、どちらかというと、日和見なタイプの生徒、外部特待生派でも内部生派でもなかった中立派の連中は胡桃澤への嫌がらせを止める筈だ。もちろん、全員がその通りに動くとは限らないが、少なくとも、胡桃澤が逃げ場もないほど追い詰められる展開は避けられるだろう。

 多少の敵が残ったとしても、今の胡桃澤なら耐えて、乗り越えられると信じている。


「それじゃあ、私たちも行きましょうか」


 私は、イヤホンを外して、振り返り、声をかけた。




「それでは、これより今年度の新入生を歓迎するパーティーの開会を宣言します。皆さん、今日は桜花学園生徒の名に恥じないよう、紳士淑女として学年、クラスの垣根を越えて交流を深め、これからの学園生活をより彩りや実りのあるものとしてください」


 壇上で宴の始まりを生徒会長が告げる。例年なら壇上には生徒会役員が全員並んで立つことになっているのだが、なぜか今年は篠谷のみが壇上に立ち、加賀谷は壇の下で桃香と胡桃澤の隣に立っている。他の役員の姿がない。去年までを知る上級生の間で困惑がざわめきとなって広がり始めた時、講堂の入り口が大きく開け放たれた。何事かと振り返った生徒たちの目が見開かれる。


「え…?!」

「副会長……??!」

「後ろにいるのは…今期庶務に任命されたっていう特待生の…」

「他にもいるぞ」

「いや、でもなんで…なんであいつら…」

「あの恰好でパーティーに来るとか…ふざけてるのか?!」

「いや、なんかの出し物かも…?」


 会場中の生徒が驚くのも当たり前で、私は昨年と同じ服装、つまり桜花学園の制服姿だったのだ。更に私の後ろには庶務の梧桐あおぎり宗太そうたくん、執行部員の白木しらき由美子ゆみこさん、錦木にしきぎ奏子かなこさんも制服に身を包んで控えていた。

 ざわざわと困惑と動揺が広がる中、会場中央をまっすぐ突っ切るように進む。驚きと共に蔑むような視線を向けてくるのは主に内部進学の上級生。何が始まるのかと期待するような視線を送ってくるのは特待生の上級生。1年生は殆ど困惑の視線だ。

 突き刺さるような視線の中をまっすぐに進んで、壇上へと上がる。会場全体を見渡せば、ぽかんとした表情の一之宮いちのみや石榴ざくろ吉嶺よしみね橘平きっぺいが見えた。その顔がおかしくて思わず笑みが浮かぶ。笑われたと気付いたのか、一之宮の顔が怒りに赤く染まったように見えたが、今は構っている暇はない。

 私はもう一度全体を見渡し、深呼吸をした。


「新入生の皆さん、このたびは入学おめでとうございます。入学式でも申し上げましたが、もう一度この場を借りて皆さんの入学をお喜び申し上げます。…昨年、私は生徒会役員でも何でもない、一人の生徒として皆さんと同じように会場にいました。今日と同じ、この桜花学園の制服を着て」


 会場がシン…と静まっていく。緊張に震えそうになる声を抑え、見下ろせば、まっすぐに、誇らしそうな顔で私を見つめてくれる桃香と目が合った。途端に肩の力が上手く抜ける。背筋が伸びて、声がするりと喉を通って響く。


「昨年のパーティーは私に様々な出会いをもたらしてくれました。場違いだと笑われた一方で、立場や考え方の違いを越えて共に学園を変えていこうと手を取ってくれた人もたくさんいました。…中にはその過程で袂を別った人もいますが…その人も含め、多くの人に支えられ、私はこの学園で2年目を迎えました」


 あの日、私の手を握って、共に戦おうと言ってくれた沢渡さわたりはもういない。けれど、彼女はきっと今も戦っている。そして私の後ろには一緒に戦ってくれる人が増えた。梧桐君、白木さん、錦木さん。

 ちらりと横を見れば、篠谷が微笑んでいる。いつもの胡散臭い笑顔じゃなくて、どこか、背中を押されているような気分になる、そんな顔だ。壇の下、桃香の傍らでは加賀谷少年がいる。クールな表情を取り繕ってはいるが、内心ハラハラしているのが見て取れる。そのすぐ傍に、いつの間に来ていたのか小林こばやし檎宇ごうが立っている。流石にパーカーは着ていないが、礼服というにはあまりにもパンクな服装で、受付でよく止められなかったな、と思ったが、制服でパーティーに出た自分が言えることでもないか、と思い直す。目が合うと八重歯を見せてニカっと笑うので、苦笑いを返した。


「今日、去年と同じ服装でこの場に立たせていただいたのは、初心に立ち返り、改めて今後、皆さんと共に、桜花学園の誇りと伝統を受け継ぎ、そして新たな未来を作っていく事を誓うためです。皆さんが同じ制服を纏う同志として、学園で心健やかに学び、笑い、手を取り合える学園づくりの為これからも精進していくことを今、この場を借りて誓います」


 静まり返った会場。舞台の傍で、パチ、パチと拍手が聞こえた。見なくても分かった。桃香だ。そこから拍手が広がって、会場全体が割れんばかりの拍手に包まれる。心から拍手している者、雰囲気にのまれて流されている者、もちろん、中には拍手することなく、こちらを睨み付けてくる者もいる。派手な事をすれば反発も大きい。その代り、新しく衝撃的な話題は、派手であればある程、胡桃澤の噂についての印象を薄れさせる。その代り私へ多少攻撃のベクトルが向くかもしれないが、元々一部の生徒からはかなり嫌われているので、構わない。

 もう一度、桃香の顔を見る。彼女の賞賛を受けるに値する姉で在れるよう、彼女を守れる姉で在れるよう、私はもう一度胸を張り、会場の生徒たちに向かって一礼した。



 プログラムの説明を梧桐君と共に終え、校長の祝辞に移り、舞台袖に引っ込むと、篠谷が出迎えてくれた。加賀谷と、彼らのパートナーである胡桃澤と桃香も来ていた。


「…お見事です。と言いたいところですが、少し過激すぎやしませんか? 壇上で制服で並んでいたのが特待生ばかりなので、内部生の中には過剰に反応する者も出ますよ」

「最初は過剰なくらいでいいわ。ひとまずは胡桃澤が自分が立ち会うべき相手にちゃんと向き合うだけの余裕が確保できれば。あの子が責任を取るべき相手は彼女が間接的に傷つけた相手であって、噂を聞いて正義感に駆られているその他大勢ではないもの」

「…その為に本当に学園を真っ二つにするとは思わなかったぞ」


 横合いから割り込んできた声に振り返れば一之宮と吉嶺が近くに来ていた。パートナーや取り巻きの姿はない。


「元々、胡桃澤を犠牲にして学園が一体になったところで意味がありません。彼女が学園からいなくなれば新しいスケープゴートが必要になり、同じことの繰り返しになるだけです。絡まりに絡まった糸を解くには小さな絡みの塊に分けて一個ずつほぐす必要があるんですよ」

「気の長い話だな。…それはそうと、貴様まさか最後までその格好でいるつもりか?」

「そのつもりですが、何か?」


 私の返事に一之宮が苦虫を噛み潰したような顔になる。そう言えば着飾った私を少しの時間侍らせて、パーティーの退屈しのぎをしたいとか言っていたっけ。そうは言われても、制服にドレス用の髪型やメイクをしてくるわけにもいかないし、今から着付けやらヘアメイクやらをやっていたのではパーティーの進行に支障をきたす。そもそもドレスは家に置いてきた。


「~~~~~~~!! 借りの件は保留だ。次の機会には必ず返してもらうからな。それも利子つきで、だ!!」


 一之宮はそう言うと苛立たしげな様子で去って行った。う~ん、借りを返し損ねた上に利子がどうとか言われてしまった。次はどんな無茶ぶりをされるやら…。


「……借り…とはどういうことですか?」


 背後で地を這うような声がして、背中に氷を入れられたような気分になる。しまった、一之宮との約束の件、篠谷こいつに話してなかった。


「お姉ちゃん……今の人って代議会の偉い先輩だよね? …どういうこと?」


 更にもう一人可愛い声なのに、迫力だけは篠谷並に恐ろしげな妹の声もした。うん、こっちにも言ってなかった。バカ殿め、どうせ次の機会に払えというなら、借りの件は口に出さないで欲しかった。この後のお説教フルコースから逃げられる気がしない。

 私はとりあえず、バカ殿がこのパーティーでチョコフォンデュのタワーに頭から突っ込みますように、と心の中で祈りをささげた。ちなみに、実現はされなかった。



 プログラム終盤、各部活動によるパフォーマンスも終わり、パーティも残すところ僅かとなった。

 篠谷と共に来賓のあいさつ回りをした時には、彼のお爺様にも対面したが、ドレス姿でないことに怪訝な顔をされたこと以外は特に問題はなかった。篠谷は胡桃澤を完璧にエスコートして見せていたし、私が幼いときに篠谷にやった仕打ちを謝罪すると、なぜか驚いたような顔でしげしげと見つめられたのち、孫をよろしくと激しいハグと握手で頼まれた。後半はフランス語で何か言っていたので、意味は分からなかったが、篠谷に聞いても教えてくれなかったので、気にしないことにした。

 ついでに、桃香にドレスを着せることに成功したこともあって、桃香は悪目立ちすることもなく(別の意味で注目はされたが)、一之宮達に絡まれることもなく、菅原先輩に助けてもらう必要もなく過ごすことができた。今のところ、このパーティーで予定されていたイベントは一つも起きていない。


 残るは教頭先生が長い演説をやって締め、という所まで来たとき、篠谷が突然壇上に立った。プログラムに無い行動に私も他の執行部員も、そして生徒たちも何事かという顔で壇上の篠谷に注目する。


「これより、当初の予定を変更して、一つ、ゲームを行います」


 篠谷の言葉にざわめきが起きる。職員席では教頭が栗山先生と木田川に宥められている。…長くてつまらないと評判の教頭の演説をキャンセルするための企画だろうか? それなら私に一言相談があってもいいような…。

 そんなことを考えていると、会場内の生徒に1枚の紙が配られた。見たところ、クロスワードパズルのようになっている。


「今から皆さん各自でそのパズルを解いて、キーワードとして出てきた場所に隠された景品を探し当ててください。隠し場所は全部で7か所、景品は学食での限定スペシャルメニューの食券です。この企画の為に学食のシェフに特別メニューを用意してもらいました」


 昔ホテルの三ツ星レストランでシェフをしていたという学食の料理長の作るメニューは評判がいいらしく、その限定メニューと聞いて、学食を普段利用している内部生はもちろん、ただで高級な学食料理を食べられると聞いて特待生も色めき立つ。


「ただし、このクロスワードは一筋縄ではいきません。分からない問題は協力し合って解き進めてください。グループで景品を探し当てた場合は、全員に景品を配布します。それでは始めてください」


 わっと生徒たちが一斉に動き出す。仲のいい者同士で集まり、問題を解き始める。しかしすぐに困惑の声が上がり始めた。


「え…?! 何これ、『桜花学園中等部の中庭にある噴水にまつわるジンクスは?』ってそんなの内部生しか知らないじゃない!」

「えっと…『桜台駅前にある人気のファーストフード店の名前は?』…そんなところ行ったことありませんわ」

「『昨年度、文化祭アンケートで1位を取ったクラスの出し物は何だったか?』これ2年生以上じゃないとわからないだろ」

「『今年度の外部受験生の合格発表日に正面玄関に飾られた植木の種類は?』…ってそんなの覚えてねえよ!!」


 私にもなぜか配られた用紙を見る。問題はこの学園やその周囲にまつわる問題なのだが、妙にマニアックで、偏っている。学食の人気メニューランキングなんて学食常連の内部生か、外部受験でも裕福な家の人間しかわからないし、逆に特待生に付与されている優遇措置の為の規定にまつわる問題もある。これは特待生しか用がないので、内部生は全く知らないだろう。更に上級生しか知らないような過去の大事件や新入生しかわからなさそうな問題もあり、一人で問題を解くのはまず不可能な代物だった。

 問題を解こうと寄り集まっている仲良しグループは、ほとんど内部生は内部生、外部生は外部生、特待生は特待生で固まっているし、同学年のみで集まっている。暫くして、グループの仲間だけではそれ以上問題を解けないという所になって、いくつかのグループが、動き始めた。部活の先輩を頼ったり、内部生と外部生でも日頃親しくしている相手がいる場合はその相手を頼ったり。そういった相手がいないグループも、誘発されたように近くにいる別のグループに声をかけ始める。


「……これは……」


 よく見れば、それでもグループを作れない人間や他のグループに声をかけられないでいるグループもいるのだが、そんな生徒の所にもなぜか人が駆け寄っていって声をかけている。会場内のあちこちで、内部生と外部生、特待生、更に学年の枠を越えたチームが組まれつつあった。

 篠谷の方を振り返ると、何でもない顔で微笑みかえしてくる。今までで一番、華やかで、キラキラしい、胡散臭い笑顔だった。


「……やってくれるじゃない…」


 感嘆とか、賞賛よりも、してやられた気分になるのはどうしてなんだろう。ゲームを使って学園中の生徒を動かして、まんまといがみ合ってる派閥同士を協力し合うよう仕向けるなんて、私にはできなかった。

 企画とか、作戦とか以上に、篠谷の呼びかけだからこのゲームは動いたのだ。彼が生徒皆を扇動した。人を惹きつけ動かす強力なカリスマを見せつけられて、負けた気分になるのもおかしな話だけれど、私はこの時、篠谷に対して、悔しい気持ちと、羨ましい気持ちを確かに感じていた。


 そして、私の近くにいた白木さんと錦木さんもまた、企画を知らされていなかったようで、渡された用紙を二人で困惑気味に見つめ、周囲を見渡していた。

 その視線がある一点で止まる。一人で用紙を手に俯いている胡桃澤だった。ほかのぼっちにはなぜか違う生徒が声をかけていたのに、彼女の周りには誰も近付いていかない。

 加賀谷の姿も見えないのはどういうわけだろう。頭の中でマッシュルーム頭にデコピンしながら一歩踏み出そうとしたときだった。


「………胡桃澤さん、この、3番の問題、分かる?」


 私が足を踏み出すよりも先に、白木さんが胡桃澤に声をかけた。顔は少し青褪め、声も手も震えている。彼女の隣に立つ錦木さんがその手を宥めるように握ると、錦木さんも、胡桃澤の方へ顔を向けた。


「問題を解くのに協力してくれるなら、謝罪をしに通ってくるくらいは認めてあげなくもないわ」

「奏子ったら…本当はもう謝罪を受けるつもりでいるくせに」

「う、うるさいわね。由美子がまだ震えてるから、リハビリ、そう、リハビリの為よ。私は別に許すつもりなんてないけど、由美子の人見知りとトラウマのリハビリに、ちょっとずつなら話を聞く時間を取るってだけの話よ。勘違いしないでちょうだい」


 白木さんにくすくすと笑われ顔を真っ赤にする錦木さんに、胡桃澤の強張った表情がほどける。


「あの、こちらこそ、お願いします!」


 小さな体を二つ折りにするようにして頭を下げる胡桃澤は中々顔を上げなかった。その肩が、震えている。地面にはいくつもの水滴が次から次に零れ落ちていくのが見えた。これはしばらくは彼女たちは動けないかもしれない。


「まあ、ゲームの勝敗は二の次かもしれないわね」


 頭を下げたポーズのまま泣き続ける胡桃澤と、おろおろと彼女を宥める白木さん、ぶっきらぼうに突き放すような言葉を吐きながら、ハンカチを差し出す錦木さんを見つめて、ほっと息をつくと、私は講堂の舞台袖にいるであろう首謀者たちの下へ向かった。



「こ~んな楽しいゲームを男達だけで企てて、私を仲間はずれにするなんてあんまりじゃありませんか?」

「…すみませんね。あなたを驚かせてみたいって言うのが皆の意見で共通してまして」


 そこにいたのは篠谷と加賀谷の他に、梧桐君と小林までいた。小林が篠谷と協力するなんて言うのも驚きだけど、梧桐君にまで謀られるとは思わなかった。


「白木さんはともかく、錦木さんは胡桃澤さんの事、きっぱり突っぱねちゃった手前、きっかけがないと話もできないだろうなと思って」

「それにしたって一言くらい私に相談してくれても…」

「ごめんね」


 ちっとも悪いと思っていない謝罪をくれるビーバーそっくりの少年に苦笑いしか出てこない。梧桐君に謝られたら許さざるを得ないじゃないか。篠谷め、最強の軍師を味方につけやがって。


「センパーイ、俺も頑張って協力したから褒めるか拗ねるかしてよ~」

「なにその両極端な要求は。っていうか、背中に圧し掛かるのはやめてって言ってるでしょう」

「そうです、小林君、仮にも女性に対するふるまいとして失礼です。離れなさい」

「そっちの言動も大概失礼よ」


 結局いつもの言い合いが始まってしまう。適当に白熱したところで、梧桐君が止めに入る。舞台の端から会場を覗けば、胡桃澤と白木さん、錦木さんのグループはいつの間にか桃香や香川さんも加わって、人数が増えていた。楽しそうに問題を解く姿にやっと少しだけ肩の荷が下りた気になる。


「……篠谷君、皆も……ありがとう」

「一緒に頑張りましょう、と言ってくれたでしょう?」

「真梨センパイの為ならいっくらでも頑張っちゃうよ~」

「これからも一緒に頑張ろうね。葛城さん」


 皆が照れくさそうにそう返してくる中、加賀谷がすっと前に出てきた。ここ数日でだいぶ顔つきが引き締まってきた。胡桃澤の為に成長したんだと思うと感慨深い。


「葛城先輩。僕の方こそ、お礼を言わせてください。初めて会ったとき、あんなひどいことを言ったのに、こうして嘉穂の事を助けてくれて…。僕に大事な事を教えてくれました。まだまだ未熟ですが、先輩に早く一人前と認めてもらえるよう頑張りますので、これからもよろしくお願いします!」


 深々と頭を下げられて、なんだか恥ずかしくなる。どうしていいかわからずに、視線で助けを求めれば、篠谷が加賀谷の肩をポンと叩いた。


「桑、真梨香さんが困っていますからその位にしなさい。君の決意は良く分かりました。僕達としても君の成長は喜ばしいので、ビシビシ鍛えさせてもらいます。ええ、僕達が」


 なぜ『僕達』を二回言ったのだろう。気のせいか加賀谷がびくりと震えたような…。

 篠谷の反対側から、小林もなぜか加賀谷の肩に手をかける。


「加賀谷ってば真っ面目~! でもそう言う事なら俺もがんばろ~っと。加賀谷ぐらいはすぐ追い抜けそうだけど、その上とか結構ハードル高そうだし~」

「おや、まるで頑張れば越えられるとでも言いたげですね。そんな低いハードルがうちの生徒会にありましたっけ?」

「自覚ないんだったらむしろ好都合じゃん。気を抜いてる間にひょいっと行けそうじゃね?」

「気を抜くだなんてまさか。越えられるだなんて儚い夢を抱かせたのでしたら申し訳ないな、と思っただけですよ」


 加賀谷が下げた頭の上でそう言う寒々しい睨み合い、やめてあげてほしい。加賀谷、下げた頭があげられないまま震えてるじゃないか。何でこの二人はこんなに相性が悪いんだろうか…?

 ひょっとして桃香を巡る恋敵ライバルとしての睨み合い…? だとしたら、二人の桃香への好感度が思ったよりも上がってるんじゃないだろうか…。

 小林はなんだかんだで同じクラスだから話す機会もあるだろうし、篠谷も私のあずかり知らないところで桃香と気が合ってるような発言もしていたし…。

 出会いイベントのフラグを折ったぐらいでは安心してはいけなかったのかもしれない。


 ……もし、桃香が二人のどちらかをすでに好きになってるとしたら…どうしよう……。ふと、そんな考えが頭をよぎる。桃香が恋をするなら心から応援したい。桃香に幸せになって欲しい。いつも笑っていてほしい。その為なら、いけ好かない男との恋路でも、祝福できる…筈だ。多分、きっと…。


 そんなことを考えて、ちょっと落ち込んでいたら、舞台袖に当の桃香と胡桃澤たちのグループが飛び込んできた。


「キーワードが『どんちょうのうら』だからきっとこっちに…って、お姉ちゃん!! 何してるの?!」


 私がいるのを見て目を丸くした後、一目散に飛びついてきた妹にこちらも驚きながらも抱き止める。つい癖でぎゅっと抱きしめると、桃香が胸に埋もれそうになって少しもがいた。


「も~、お姉ちゃん苦しいってば。窒息するかと思ったよ~」

「ごめんなさい。つい」

「お姉ちゃんってば、胸が大きいからってひどいよ…って、あ…どうも、えっと…姉がいつもお世話になってます」


 文句を言っている桃香の視線が私の後ろにいた4人に向けられる。その表情は見えないが、生徒会役員と小林が揃っていることに驚いているのだろう、困惑気味の声で挨拶をしている。


「こちらこそおねえさんにはいつもお世話になってるよ。それより、キーワード、解いたんじゃなかったの?」

「あ、そうだった! 嘉穂ちゃん、あった?」

「えっと…これかも…あった!!」

「やったじゃない!」


 梧桐君の言葉に桃香が緞帳を調べていたグループの所へ駆けていく。白木さんも、錦木さんも、さっきまでのぎこちなさが取れ、胡桃澤と笑い合っている。桃香も一緒になって楽しそうだ。

 やっぱり桃香の笑顔が一番だ。たとえ彼女が恋をしても、私は姉として、桃香を守って、桃香を泣かせたり傷つけたりする輩から守ればいい。残念イケメンに絆されて桃香との交際を簡単に許したりはしない。桃香を幸せにできると証明しない限り、うちの子は絶対に渡さない。これからもできうる限り彼らとのフラグは折ってみせよう。

 決意も新たに彼らの方を振り返ると、梧桐君以外の3人は何故か少し顔色が悪くなっていた。


「………?」


 はて、まだ邪魔はしてないけど…邪念が伝わってしまったのだろうか。ま、いっか。




 その日の夜、部屋でくつろいでいた私はふとハンガーにかけたドレスに目を止めた。結局、着ることのなかったそれは、ビニールカバーもついたままで壁のフックにかけられている。

 レンタルだから、返してしまえばもう着る機会はないだろう。何となく、惜しくなって、ハンガーから外すと着替えてみた。着物と違って、ある程度自力で着られるのは助かる。

 私だって、ドレスに憧れがないわけじゃない。次にドレスをレンタルする機会があるとすれば、クリスマスか、予餞会だろう。季節が変わるのでその時にはまた違うデザインの物を探す羽目になるだろう。

 桃香が絶賛してくれたドレスは、ふわりと軽く、薄いオーガンジーが広がって、足のラインが上の方まで透けて見えるが、いやらしさはない。何となく鏡を見ながら髪をアップにまとめてみる。引き出しに入れっぱなしになっていた、いつかの少女に預けられた簪を刺せば、何となくそれらしい感じに仕上がった。流石に化粧まではする暇も余裕もないが、何となく浮かれた気分になり、鏡の前に立ってくるくる回ってみたりする。


「似合わない…こともないかしら? でもやっぱり私には可愛すぎる様な…」


 ぶつぶつ言いつつ、何となく窓の外を見て、月明かりがきれいな事に気づいた。そう言えば今夜は満月だった。その光に誘われるように、窓辺に立って、窓を開け、空を見上げていた。

 こんな時間に、表の道を通る人などいないだろうと、そう思っていたのだ。


「葛城…か…?」


 驚きと、困惑が混ざったような、かすれ気味の低い声。こんな所で、聞こえるはずのない声。聞きたくなかった、その声に、心臓が嫌な音を立てる。恐る恐る、ギリギリと関節が削れる音が聞こえる様な動作で下を見下ろすと、短く整えた黒髪に、小柄だが引き締まった体躯と男らしく整った顔立ちの青年が、家の前を通る道に立っていた。ジャージとTシャツといういでたちは、自主的なロードワークの途中だからだろう。アーモンド形の鋭い瞳が驚きに見開かれ、口をぽかんと開けた表情は少し間が抜けているが、整った顔立ちはそれすらも見る者によっては可愛いとか称されてしまうのだろう。美形はずるい。

 そんなことよりも、何でここにこの男、津南見つなみ柑治かんじがいるのだ。

 桃香の所属する剣道部の主将、ゲームの中で、私が片想いをして、思い詰めるあまり桃香を傷つけ、泣かせる原因になった男。もちろん、今では私の中に津南見への特別な感情は一切ない。あるとすれば嫌悪感だけだ。

 よりにもよってこの男に、こんな格好でいるところを見られるなんて…。


「き…きゃあああ!!」


 思わず叫び声をあげながら、窓を閉め、カーテンも引いて、隠れてしまった。思えば隠れたりなどせず、冷静を装ってなぜここにいて、こんな時間に何をしていたのかとでも問うべきだった。女性が苦手な津南見に、パーティーで着られなかったドレスがもったいなくてちょっと着てみましたとか女の子らしい感じで言えば嫌がらせにだってなっただろう。なんせ彼は小さい頃にお姉さんたちによってたかってブリブリのドレスを着させられていたのだから。

 けれど、この時はそんなことを考える余裕もなかった。ただ、みっともない所を見られた恥ずかしさと理由のわからない恐怖に突き動かされて、とにかく逃げることしか考えられなかったのだ。


「お姉ちゃん! 悲鳴が聞こえたけど…って、何してるの?」


 叫び声が聞こえてしまったらしく、桃香が部屋に飛び込んできた。ドレス姿で床にへたり込んでいる私を見て目を丸くしている。


「桃香………えっと、ちょっと、着てみたくなって、試着してみてたら、転んじゃったの」


 咄嗟に嘘を吐いたのは、津南見の事を桃香に話したくなかったからだった。部活が一緒の二人は私よりも接する機会は多いだろうけど、初期のフラグは折っているし、今のところ特別親しくしているという話も聞かない。変にあの男の名前を出して、桃香に意識させたくなかった。


「なんだ、びっくりさせないでよ~」

「ごめんなさい。気を付けるわ」


 胸に手を当てて、ほっとしたように溜息をついた桃香が何かに気づいたように私の頭上に目を止めた。


「あれ、お姉ちゃんそんな簪持ってたっけ?」

「ああ、これは私のじゃなくって、預かりものなの、ちょっと髪をまとめるのに借りちゃった」

「ふうん…。何か…その飾りの形、どっかで見たような気がするんだけど…」

「桜のモチーフだから結構あちこちにあるんじゃない?」

「そうなんだけど…七宝焼きの所の紋様と同じ桜の紋をどっかで見たんだよね…」

「そうなの?流行ってるのかしらね」


 そう言いながら私は簪を外して、桜の模様をひと撫ですると、机の引き出しに戻した。


「あ、折角なら写メ取りたかったのに~!」

「試着の時に散々撮ったでしょ。もう着替えて寝るから。桃香も、明日は朝練、あるんでしょう?」


 名残惜しそうにしている桃香を宥めて、ドレスを脱ぎ、パジャマに着替える。ふと、カーテンの隙間から窓の下を覗いてみたが、もう津南見の姿はなかった。

何となく一区切り、です。次回からはまた新たな問題がお姉ちゃんの前に発生します。

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