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97.ビー、今日から、知的なお姉さんキャラで攻めると決めたの。

ギャップはだいじです

* * *


 その日の夜、食事が終わった寛ぎの時間、いつもの様に、ミネラが来ている。


 すでに、暖かくなっているので、コタツはかたずけられていた。かたずけると言っても、ただ、コタツ布団を剥ぎ取っただけで、そ のままテーブルとして使っているのだ。

 

 各人のテーブルの上には大小様々な皿に、スプーンで乱雑に取り分けられたバニラアイスクリームが置かれている。傍らには、これまた不揃いなスプーンが添えられていた。


 ミネラの前には、置かれてそれほど時間も経っていないにも関わらず、既に、固形物は無くなっていた。皿の底に残った溶けたアイスクリームをも舐めるような勢いだ。目は大地の皿へとロックオン状態。


 大地がおもむろに、話し始める。


「今日、ラートの従者ガルポンと言う女に会ったんや」


 少し驚いた表情で、大地を見るミネラ。


「ん?今、なんと言ったのじゃ、わしには、ラートと聞えたのじゃが、気のせいかのう」


 1拍ほど 遅れて、口を出すビー。ミネラに比べて、少し変なところを注目している。


「・・・ダイチくん、女の人と会っていたの?浮気、浮気なの」


 大地の袖を軽く掴んで、くいっくいっと引っ張っている。


「ははははっと、ビーは少し黙っとこうか。ミネラさん、合ってるで、ラートの従者っちゅう奴にあったんや」


「むう、ダイチくんが冷たいの・・・。この前、キ、キスもしてくれたのに。・・・おでこだったけど。これが長年連れ添った夫婦の倦怠期と言うものなの」


 口を尖らかせて、抗議の上目使いで見ているビー。


「ビー、おまえなあ、それ、何所で覚えてくるんや?まあええわ。ミネラさん、そいつがこんなこと言ってきたんや」


 ビーは俯いて、 ぼそぼそなにやら呟いている。


「路線かえなきゃだめかなあ?ろりろりはミネラちゃんだし、ビーもろりろりだけど、えっちな事を言うろりろりのミネラちゃんには負けるもの。ろりろりだけどえっちと言うギャップがいいんだわ。ビーはどうしたら、ろりろりの反対?そうだわ、これよ、これなのよ。思いついたの、やっぱり、ここは、知的なお姉さんで攻めないとダメよね。でも少し胸が小さいかしら、い~え、ここはこれで押すべきなの。胸が小さいけどもお姉さんって言うギャップが良いのよ。ガンバルの。ビーちゃんファイトッ」


 ビーは、胸の前で軽く拳を握り、なにやら、うんうんと頷いている。


「ダイチくんはもうメロメロなのよ。今でもメロメロだけどね」


「と言うわけや、お~い、ビー、聞いてるか?」


 ビーの心あらずな様子に、ちょっとだけ心配になった大地が、ビーの顔の前で、手をひらひらとさせる。


 それまで、中空を見つめていたビーの目の焦点が大地に合う。


 背筋をピンと伸ばして、咳払いをひとつ。


「ん?こほん。なにかな、ダイチくん。ビーお姉さんは、なんでも答えてあげるの~」


 眼鏡を掛けているつもりだろうか、眉間に指を添えて、ずれた眼鏡を押すような仕草をする。


「ビーお姉さんてなんや?まあ、ええわ。それでビーは、どう思う?」


 少し眉根を寄せて、おでこに拳を宛てて、さも考えているようなポーズをとる。これが、ビーの考える、知的なお姉さんが、考えているポーズな のだろうか。


「ビーお姉さんは、こう思うのね、ビーには少し色気がたりないのじゃないかしらと。可愛さはこれ以上無いくらいに備わっているし、性格もよし。小さな処にも気がきくし、それなのに、ダイチくんに好き好き光線出しているのに、ダイチくんの反応、今ひとつなの。だからこれからは、ろりろり路線はミネラちゃんに任せて、お姉さんキャラ で、色気だしてダイチくんの心を鷲掴みに・・・」


 呆れて眺める大地。


「ビー、お前はなにを言うとるんや」


 口元を手で押さえて、さも心外である風を装うビー。


「いや、あのね、どうしたら、ダイチくんが堪らなくなって、思わず襲ってくるかの考察・・・」


「はぁ~、もうええわ。ミネラさんはどう思う?」


 大地は呆れた顔で溜息を吐き、ミネラに話を振った。


 ミネラは、なにやら一生懸命考えているように見えたが、大地の隙を突いて、いつのまにか、自分の皿と大地の皿を交換し、口をもごもご動かしていた。


「なるほどのう、もぐもぐ。それは的を射てる考えのようじゃ。ごくん。わしは、このまま、ろりろり路線で行くがの、ろりろりとお姉さんの対決と言うわけじゃな。うむうむ、どちらが先に大地ちゃんのを受け入れることができるかじゃな。ふむふむ、いや、まて、わしの体の準備が整のうておらぬ。整うにはまだ、数年かかるのじゃ。わしが、不利じゃ。成長を早めるべきか」


 ミネラはそんな事を真面目な顔で話している。


「いやいや、考えようによっては、未熟な体に、無理矢理というのも、捨てがたいはずじゃ、う~む。悩むのう。大地ちゃんは、どちらが良いかのう?」


「そりゃ~決まってるで、俺はやっぱり・・・あ、ゴホンッ、ミネラさんまで・・・」


* * *

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