113.ビー、全部みちゃった。
少し短いです。
* * *
カウンターの奥から意気揚々と笑顔で出てくる大地。その大地に引きずられるようにして続くビー。後から、とてとて~と追いかけるコッコ。
奥のテーブルに陣取る者達から物珍しげな視線に晒されつつも、気にせず進んでいく大地(中身ビー)だったが、急に立ち止まる。
「きゃう」
ドンッとその背にぶつかり、なんとも可愛らしい声を上げるビー(中身大地)。
「ど~したんや?」
鼻を押さえながら怪訝そうに大地を見上げるビー(中身大地)。
「あ、えっとねえ、おトイレなの~」
もじもじしながら答える大地(中身ビー)、その姿はちょっとおカマっぽい。
「行って来たらいいやんか、コッコさん、おトイレってどこかな?」
不思議そうにそう返すビー。
「あの、ビー様?おトイレって何です?」
コッコもその言葉が良くわからなかったため聞き返す。
大抵の言葉は頭の中で自動変換されるのだが、自分から発する場合、カタカナ言葉はうまく変換されずそのまま発してしまうため意味が通じない。
「おトイレって言っても判らんか、ん~と、雉?、厠?、あ、便所ってわかるかな?」
「ああ、便所ならあそこにあります」
コッコはビーに向かって入り口の右奥に黒く塗られた扉を指差した。
「ビー、トイレはあそこらしいで」
「うん、判ったの~、ちょっと、行ってくるの~」
扉に向かって小走りで駆けてく大地(中身ビー)。女子用だろうか男子用に行くのだろうか?
その姿を見送りながら、急に表情が変るビー(中身大地)。
「スト~ップやビー」
扉の前で立ち止まってこちらを見ている。
「ん?なにダイチくん。ビーねえ、そろそろ危ない状態なのよ」
危ないと言う言葉に若干たじろぐビー(中身大地)。待ちきれず決壊したことがあるのだろうか。
「いや、そやけど、それ俺の体や。その、そのまま行ったら俺のなにが・・・」
下を向き、もじもじしながら、もごもご口の中で言うビー(中身大地)。中身が大地でありながらその姿はかわいい。
「だいじょ~ぶなの」
さわやかに返す大地(中身ビー)。
「え?いや」
「ビーねえ、ダイチくんのことならなんでも知ってるからだいじょ~ぶなの」
その笑顔の口元からは、きらりと歯が光っている。
「なんでもって」
「そう、だってこの前、体交換したじゃない。その時ちょっとね」
その言葉の意味に気が付きながらも先を促すビー(中身大地)。
「交換ってあの、俺の体がおかしなってた時やな、でもちょっとって?」
恐そる恐そるではあるのだが聞かねばいられない。
「ん、もう~、言えないよ~、恥ずかしいじゃない。ダイチくんもやったようなことよ~」
恥ずかしいのか、大地(中身ビー)は、両手で顔を隠している。ぜんぜん似合っていない。
「・・・、俺なんもしてへんで」
あらぬ方向を見ながら、口を突き出して答えるビー(中身大地)
「え~、本当に?」
大きく目を見開いて、マジマジとビーを見ている大地(中身ビー)。
「本当、本当」
「でも、記憶セクターに鏡の前でポ-ズつけたりとか~、お風呂で~もみもみとか~あるんだけど・・・」
上目使いでビー見る大地(中身ビー)。やっぱり似合っていない。
「わ~、俺がわるかった~」
「ん、判ればいいの~、さ、行ってこよっと」
「・・・、ストップやビー、それとこれとは違う」
慌てて大地の服を掴むビー(中身大地)、男である大地には譲れない一線があるのだ。
「もう~、ダイチくん。今さら恥ずかしがってもしかたないのに~」
「そやけど」
「ビーはもう見ちゃったし、触っちゃったしね。きゃあ」
真っ赤になりながら、両手で顔を隠しながらいやいやと頭を振っている。
「ビー頼む。元に戻してくれるか」
潤んだ目で大地に懇願するビー(中身大地)。
「もう、しょうがないなあ。また、貸してね」
そお言うと、少し真剣な顔つきで虚空を見つめた次の瞬間、大地の雰囲気が変わった。
「おわ、やべ~。トイレトイレ~」
慌ててトイレに駆け込む大地。
「ダイチくん、漏らさないでなの~。コッコちゃんあっち行こ」
ビーは大地を見送ると、コッコの手を引きながら依頼掲示板にあるいていくのだった。
やっぱり、見ちゃいますよね。




