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110.ビー、・・・秘する小さき布の探求者って

称号、燃えますね。厨二病がうずうずと。


* * *


 ビーが大地を従え、ギルドの正面に戻ってくると、頬を膨らませたコッコが、仁王立ちしていた。


 大地は慌てて、両手を付いて謝っている。


「も~、大地さん、困りますの。あんな、わた、私の、あの、その、ショーツ・・・、とにかく、あんなことされてはダメです。折角、ビー様に頂いたスキルなのに、・・・頂いたスキルですよね?」


「う、うん、ごめんなさい」


 平謝りの大地。


「・・・ところで、その格好はなんですか?」


 コッコは土下座を知らなかった。知らないコッコにしてみれば自分の方を見ずただ地面に手を付いている格好はなんとも不思議な格好だった。


 大地の代わりにビーが答える。


「コッコちゃん、この格好はね、謝る気持ちを伝える最大の姿勢を表しているの~」


「ごめんなさい」


「そうなんですか?不思議な格好ですの」


「だいじょうぶなの、今後、ダイチくんは、あんなことは、ビーにしかしないから、ね、ダイチくん」


 笑顔のビーに、なんとも言えない表情で返すコッコ。



「えっと、ビー様に対してもダメですよ、あんなハレンチな事は、とにかく、ダメです。いいですね」


「はい重々承知してますです」


 窓口にもどってみると、そこには、コベニが、なんとも言えない顔をして座っていた。手はスカートの真ん中を強く押さえている。


「あの~」


 おずおずと大地がコベニに声を掛けた。


「・・・この水晶珠に手をかざしてください]


コベニは事務的に感情を殺した声で応答する。


「えっと、コベニさん、大地さんも反省しているようですので・・・」


 コッコが声をかける。


「後がつかえておりますので早くお願いします」


「コベニさん?」


 コベニは相当に怒っているようで。コッコでも取り付くしまがなかった。


「はあ、仕方がありません。また、今度お詫びに来てくださいね、大地さん。それでは、この水晶珠に手をかざして下さい。この水晶、魔道具なんです。ギルドカードにその人のスキルなどが転写されるものなんですよ」


 大地は不思議そうにその水晶珠を見ている。


「へ~、如何にもファンタジーやね」


 ビーもしげしげと、その水晶珠を見ていたが、大地と違って、その構造などの解析も行なっているようだ。


「ふむふむ、あ、・・・ふ~ん。おもしろいねえ」


「ほいっと」


 大地が水晶珠に手を乗せると、少しだけ輝きが増したが、直ぐに消える。


「なんか、もっと、こう、如何にも魔道具ですって光って欲しいものやけど・・・、これやったら、LED球やね」


「LED球って、なんです?よくわかりませんが。はい、次はビー様の番です」


 ビーが水晶珠にそっと手を乗せる。


「は~い、これでいいの?」


 突然七色の光の渦が水晶珠から飛び出し、辺りを光の渦で満たす。


「へ~、綺麗なの~」


「おお、これやこれ、ファンタジーやったらこうならなかん。しかし、綺麗やな。ビーだけええなあ、そんな綺麗なんで」


「こ、これは!ギルドマスターに伝えないと・・・、ギルマス!ギルマス~」


 コベニは、叫びながら扉の奥に消えた。


「なんか、あかんかったんかな?」


「よくわかりませんけど、直ぐに戻ってくるのではないでしょうか」


 暫くしてから、コベニが奥から小走りで出てきた。


「すいません、こちらにお越し願えますか?ギルドマスターがお会いになられます」


 コベニが、すまなそうに声を掛ける。もちろん、その対象は大地を除いてだ。


 カウンターの脇を通って奥に通される。廊下を進んだ先の突き当たりにギルドマスターの部屋があった。


 コンッコンッ


「ギルドマスター、お連れしました」


 コベニがやや緊張した面持ちで扉をノックする。


「おう、入ってもらって」


 扉の中から、女性の声が帰ってきた。


「はい、失礼します」


 コッコは大地たちを部屋の中に案内する。


 部屋の中央に竹のような材質でできた、椅子が数脚と、小さなテーブル、その向こうに、大きな机がおかれていた。机の向こうに女性が座っている。


「皆さん、そちらにお掛けください」


 大地たちは言われるままに椅子に腰掛ける。


「おう、あんたたちかい、水晶珠の限界を超えさせた強者は」


 ゆったりとした深い緑のローブに身を包んだ、赤い髪の女性が机の向こうから声を掛けてきた。なんとも言えない迫力がある。


「こちらの方がビー様、コッコさんはご存知ですね、そして・・・大地様。こちらの方が、このギルドのギルドマスターのグミノ・ハラツです。」


 コベニがにそれぞれ紹介する。大地のところですこし沈黙しているのは仕方がない。


「私がグミノだ、このギルドを任されている。それで、どいつが光らせたんだい?ああ、コベニは戻っていいよ、後は、こっちでやっとくから」


「はい、よろしくお願いします」


 コベニはそそくさと戻っていった。


「えっと、こちらのビー様ですの」


 コッコが応える。


 グミノは遠慮なしに頭から足先までじろじろと見てから、机の上に置いてあったギルドカードについて話す。


「これが、あんたたちのカードだ。持ってきな」


 グミノは如何にも可笑しそうにしている。


「みりゃ判るだろうが、男の方はまあ、いい。いろいろと問題ありそうだがな、とりあえずはおいとこうか、一応、人レベルだしな」


「もうひとりの女の方は・・・、あんた、何者だい?」


「えっと、ビー様は大精・・・」


 グミノが、コッコの言葉を遮る。


「称号欄を見りゃわかるだろうが、『叡智の牢獄の虜』、『因果律を司りし魔女の弟子』、『滅びし4世界の幼き神』その如何にもな称号の数々、あんた、何者だい?ああ、いい、言わなくて良いよ。」


「・・・ビーはビーなの」


「わたしゃ、知らん、知りたくもない。力ある奴が、このギルドに加わった、それでいいさ。有能な奴は大歓迎だ。しかし、全項目計測できんとはいやはや・・・」


(神なら納得せざるおえんさ、しかし、新たな神が現れるとは・・・、まあ、幼き神?ここは静観かねえ)


「誰彼かまわずそのカードは見せないようたのんどくよ」


「うん、わかったの」


「ビーのギルドカードはマル秘やね」


「おまえさんにも問題ありさ」


 片方の眉毛だけを上げながらグミノが話す。


「え、俺?」


「そう、お前さん、加護を受けておるだろう。2柱の神から加護など受けておる奴はまずいないさ、まあ、スキル自体はあまり貰ってないようだけどな。ほら、そこに書かれているだろう」


 大地が自分のカードを見てみると、そこにはこう書かれていた。


『滅びし4世界の幼き神の加護』、『因果律を司りし魔女の加護』、また、称号として『秘する小さき布の探求者』、『覗き見る者』と書かれている。当然、スキル欄には『アポーツ』、『イントロスコピー』とあった。


「幼き神って・・・、ビーのことなんかな?因果律ってなんやろ?」


 大地は不思議そうな顔をしている。横からビーが覗き込んでいたが、訳知り顔で答えた。


「あ、それ、ミネラちゃんのことなの~、ミネラちゃんねえ、因果律の操作が得意なのよ。ビーもできるけどね、でもビーは全然ダメダメなの~」


「因果律?ほ~、良くわからんけど、まあいいか」


 続けて出されたビーの言葉で硬直する大地。


「ダイチくん、『秘する小さき布の探求者』って・・・」


「小さき布?えっと、下着?あ~、せ~へんで」


 ビーの険しい視線を見て、慌てて付け加える。


「・・・・ビーにしかな」


「よろしい」


 グミノは興味深そうに大地をみている。手には、投擲用ナイフを持ち、くるくると回していた。


 大地は良く手が滑らないなあと歓心してみている。


「お前さん、力や知力、体力など、標準以下なんだねえ。どこが、神の目に留まったのか興味深い。なにか秘密があるんだろうねえ。スキルはなかなか変わったものを持っているようだねえ。称号はこりゃダメだね、まあ、ほどほどにしな」


「はあ」


「さて、それじゃあ、あんたたちの力を見せてもらおうかね。ああ、これは、拒否できないよ。ギルド加入への試験みたいなもんだ。ある程度の力のある奴じゃなきゃ、仕事はこなせないからねえ、全員にやってることさ」


 グミノは徐に立ち上がり、スタスタと扉からでていった。


「コッコさんもその試験受けたんか?」


「ええ、私も受けましたですよ。私の担当は高レベルの冒険者の方でしたけど。大地様たちは特別ですね。ギルドマスター直々ですもの」


 大地たちは慌ててグミノについていく。

お読みいただきありがとうございます。

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